[O-YB-08-6] 地域在住自立高齢者における社会参加の規定要因
Keywords:地域在住高齢者, 社会参加, 介護予防
【はじめに,目的】
近年,高齢者の社会参加が要介護状態の発生と関連することが明らかにされ(Kanamori, et al., 2014),介護予防においても社会参加の促進に重点が置かれるようになってきた。従って,高齢者における社会参加の規定要因を多角的に検証することは,介護予防において高齢者の社会参加を促進するための効果的な方法論を構築するための有益な情報になると考えられる。本研究の目的は,地域在住自立高齢者において,社会参加の規定要因を身体・精神心理要因から検証することとした。
【方法】
要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者212名(平均年齢70.8±4.3歳,男性44名)を対象とした。対象者は地域の広報誌にて募集した。社会参加については,JST版活動能力指標(鈴木,2013)の社会参加に関する下位尺度4項目を用い,4項目中の1項目以上に該当する場合を社会参加ありと定義した。身体的要因としてTimed Up and Go(TUG),5m快適歩行時間,握力,Chair Stand Test,四肢骨格筋量,精神心理的要因として抑うつの有無,転倒関連自己効力感尺度(FES-I),Trail Making Testを調査した。その他,基本情報として,年齢,性別,体格指数,慢性疾患の有無,疼痛の有無,服薬状況に加え,高次生活機能として老研式活動能力指標(老研式)を調査した。社会参加の有無と各変数の関連を単変量解析にて分析し,その後,社会参加の有無を従属変数,単変量解析において社会参加と有意な関連を示した変数を独立変数としたロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行った。統計的有意水準は5%とした。
【結果】
対象者のうち159名(75%)が社会参加ありと定義された。単変量解析の結果,社会参加の有無と統計学的有意な関連を示した変数は,老研式,TUG,5m快適歩行時間,抑うつの有無,FES-Iであった。その他の変数については,いずれも社会参加との有意な関連が認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,老研式の点数が高いこと(p<0.001),TUGが速いこと(p<0.05),抑うつがないこと(p<0.05)が,社会参加があることと統計学的有意に関連していた。なお,年齢,性別で調整後も結果に変化はなかった。
【結論】
本研究の結果から,高齢者の社会参加には高次の生活機能と身体・精神心理要因の両側面が関連していることが明らかとなった。特に,身体的要因についてはTUGのみが社会参加と独立した関連要因として抽出された。地域で自立した生活を送る高齢者において,TUGは社会参加を反映する指標となりうるとともに,歩行・バランス能力の維持・向上が社会参加の促進に寄与しうると考えられた。
近年,高齢者の社会参加が要介護状態の発生と関連することが明らかにされ(Kanamori, et al., 2014),介護予防においても社会参加の促進に重点が置かれるようになってきた。従って,高齢者における社会参加の規定要因を多角的に検証することは,介護予防において高齢者の社会参加を促進するための効果的な方法論を構築するための有益な情報になると考えられる。本研究の目的は,地域在住自立高齢者において,社会参加の規定要因を身体・精神心理要因から検証することとした。
【方法】
要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者212名(平均年齢70.8±4.3歳,男性44名)を対象とした。対象者は地域の広報誌にて募集した。社会参加については,JST版活動能力指標(鈴木,2013)の社会参加に関する下位尺度4項目を用い,4項目中の1項目以上に該当する場合を社会参加ありと定義した。身体的要因としてTimed Up and Go(TUG),5m快適歩行時間,握力,Chair Stand Test,四肢骨格筋量,精神心理的要因として抑うつの有無,転倒関連自己効力感尺度(FES-I),Trail Making Testを調査した。その他,基本情報として,年齢,性別,体格指数,慢性疾患の有無,疼痛の有無,服薬状況に加え,高次生活機能として老研式活動能力指標(老研式)を調査した。社会参加の有無と各変数の関連を単変量解析にて分析し,その後,社会参加の有無を従属変数,単変量解析において社会参加と有意な関連を示した変数を独立変数としたロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行った。統計的有意水準は5%とした。
【結果】
対象者のうち159名(75%)が社会参加ありと定義された。単変量解析の結果,社会参加の有無と統計学的有意な関連を示した変数は,老研式,TUG,5m快適歩行時間,抑うつの有無,FES-Iであった。その他の変数については,いずれも社会参加との有意な関連が認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,老研式の点数が高いこと(p<0.001),TUGが速いこと(p<0.05),抑うつがないこと(p<0.05)が,社会参加があることと統計学的有意に関連していた。なお,年齢,性別で調整後も結果に変化はなかった。
【結論】
本研究の結果から,高齢者の社会参加には高次の生活機能と身体・精神心理要因の両側面が関連していることが明らかとなった。特に,身体的要因についてはTUGのみが社会参加と独立した関連要因として抽出された。地域で自立した生活を送る高齢者において,TUGは社会参加を反映する指標となりうるとともに,歩行・バランス能力の維持・向上が社会参加の促進に寄与しうると考えられた。