[P-DM-01-3] 転移性骨腫瘍に対する腫瘍用人工骨頭挿入術後,子宮摘出術,化学療法を継続して施行した症例の多職種連携と理学療法経験
Keywords:がんリハビリテーション, 多職種連携, 骨転移
【はじめに,目的】
近年,骨転移や病的骨折患者は増加傾向である。今回,原発の子宮体がん,左大腿骨転移性骨腫瘍と診断され,疼痛や歩行能力の改善目的に人工骨頭挿入術を施行した症例を経験した。更にその後,患者は整形外科から産婦人科へ転科し,原発の子宮摘出術,化学療法を継続して行い,自宅退院を目指した。そのため多職種連携による情報共有が重要な症例であった。がんリハビリテーション普及のために多職種連携は重要と考え,その連携内容や経過について報告する。
【方法】
症例は50歳代女性(体重78.6kg,BMI34),入院前はADL自立,performance status(PS)1~2であった。現病歴は数年前から不正出血を認め,左股関節痛と咳嗽が出現。咳嗽の継続を主訴に近医受診し,同日当院紹介となる。子宮体がん,転移性肺腫瘍,左大腿骨転移性骨腫瘍疑いで入院となり,Mirelsスコア12点,新片桐スコア5点であった。入院翌日から緩和ケアチーム介入,疼痛管理にセレコックス,MSコンチン(定期),オプソ(レスキュー)が処方された。各科主治医同士の相談は適宜行われ,入院1週間後にまず左大腿骨腫瘍摘出術,腫瘍用人工骨頭挿入術が施行され,術後2日目に理学療法開始となる。
【結果】
開始時所見は,術後2週間左股関節自動運動禁忌,左下肢免荷であり,NRS2~3,PS4,FIM54点であった。移乗はPTとNSの2名介助で行い,疼痛や易疲労性のため徐々に車椅子座位時間を延長し,廃用予防を行った。術後7日目に産婦人科へ転科,NSと左下肢自動運動禁忌,免荷,脱臼など禁忌事項の確認や介助方法の統一を図った。10日目に子宮及び両側付属器摘出術が施行され,翌日から離床を再開した。15日目に左下肢自動運動許可,左股関節周囲筋MMT1~2,SPPB1点,歩行器歩行開始(全荷重許可),ポータブルトイレ導入,FIM71点となった。同日,がんリハチーム回診があり,その後がんリハ研修を修了したNSが受け持ちNSのサポートに当たった。病棟でもNS見守り下にて歩行練習を開始した。22日目に退院調整NSによる介護保険の説明が患者と家族に行われた。24日目に化学療法Weekly TC(Taxol,Carboplatin)1クール目開始,29日目に退院調整NS,受け持ちNSによる理学療法場面の見学があり,家屋の図面と写真をもとに退院時に必要な福祉用具を検討した。受け持ちNSには更衣動作練習を依頼した。35日目にNRS0~2,PS2~3,MMT2~3,SPPB8点,FIM115点,10m歩行テスト12.9秒,杖歩行,階段昇降自立となった。この頃,レスキューの使用はなかった。37日目に自宅外出,39日目に自宅退院,外来リハ,外来化学療法へ移行した。
【結論】
多職種連携の重要性を再確認した。患者,家族を含めた各診療科スタッフの情報共有は理学療法を実施する上で必要不可欠である。
近年,骨転移や病的骨折患者は増加傾向である。今回,原発の子宮体がん,左大腿骨転移性骨腫瘍と診断され,疼痛や歩行能力の改善目的に人工骨頭挿入術を施行した症例を経験した。更にその後,患者は整形外科から産婦人科へ転科し,原発の子宮摘出術,化学療法を継続して行い,自宅退院を目指した。そのため多職種連携による情報共有が重要な症例であった。がんリハビリテーション普及のために多職種連携は重要と考え,その連携内容や経過について報告する。
【方法】
症例は50歳代女性(体重78.6kg,BMI34),入院前はADL自立,performance status(PS)1~2であった。現病歴は数年前から不正出血を認め,左股関節痛と咳嗽が出現。咳嗽の継続を主訴に近医受診し,同日当院紹介となる。子宮体がん,転移性肺腫瘍,左大腿骨転移性骨腫瘍疑いで入院となり,Mirelsスコア12点,新片桐スコア5点であった。入院翌日から緩和ケアチーム介入,疼痛管理にセレコックス,MSコンチン(定期),オプソ(レスキュー)が処方された。各科主治医同士の相談は適宜行われ,入院1週間後にまず左大腿骨腫瘍摘出術,腫瘍用人工骨頭挿入術が施行され,術後2日目に理学療法開始となる。
【結果】
開始時所見は,術後2週間左股関節自動運動禁忌,左下肢免荷であり,NRS2~3,PS4,FIM54点であった。移乗はPTとNSの2名介助で行い,疼痛や易疲労性のため徐々に車椅子座位時間を延長し,廃用予防を行った。術後7日目に産婦人科へ転科,NSと左下肢自動運動禁忌,免荷,脱臼など禁忌事項の確認や介助方法の統一を図った。10日目に子宮及び両側付属器摘出術が施行され,翌日から離床を再開した。15日目に左下肢自動運動許可,左股関節周囲筋MMT1~2,SPPB1点,歩行器歩行開始(全荷重許可),ポータブルトイレ導入,FIM71点となった。同日,がんリハチーム回診があり,その後がんリハ研修を修了したNSが受け持ちNSのサポートに当たった。病棟でもNS見守り下にて歩行練習を開始した。22日目に退院調整NSによる介護保険の説明が患者と家族に行われた。24日目に化学療法Weekly TC(Taxol,Carboplatin)1クール目開始,29日目に退院調整NS,受け持ちNSによる理学療法場面の見学があり,家屋の図面と写真をもとに退院時に必要な福祉用具を検討した。受け持ちNSには更衣動作練習を依頼した。35日目にNRS0~2,PS2~3,MMT2~3,SPPB8点,FIM115点,10m歩行テスト12.9秒,杖歩行,階段昇降自立となった。この頃,レスキューの使用はなかった。37日目に自宅外出,39日目に自宅退院,外来リハ,外来化学療法へ移行した。
【結論】
多職種連携の重要性を再確認した。患者,家族を含めた各診療科スタッフの情報共有は理学療法を実施する上で必要不可欠である。