The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本糖尿病理学療法学会 » ポスター発表

[P-DM-02] ポスター(糖尿病)P02

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本糖尿病理学療法学会

[P-DM-02-1] 低血糖を頻発していた2型糖尿病患者における理学療法士の積極的な関わり

久場 美鈴1, 高橋 隆2, 山城 裕子2, 安里 恵美子2, 多和田 千秋1, 諸見里 恵一3, 新里 光1, 下里 綱1 (1.大浜第一病院リハビリテーション科, 2.大浜第一病院糖尿病センター, 3.沖縄リハビリテーション福祉学院)

Keywords:低血糖, 運動療法, 患者教育

【はじめに】糖尿病の運動療法は,身体機能,運動習慣,合併症など把握し,個々の症例に適した運動を実施することが重要である。適切な運動処方は合併症を予防し,代謝コントロールを改善することから,理学療法士(以下,PT)の糖尿病チーム医療への積極的な介入が必要である。今回,低血糖を頻発していた2型糖尿病患者において他職種で情報を共有し,低血糖改善に向け運動負荷や方法など専門的な立場からPTが介入した結果,良好な血糖コントロールが得られた経験を報告する。【倫理的配慮】対象者には事前に本研究の趣旨と内容を説明し,書面にて同意を得た。【症例】70歳代男性,糖尿病罹患25年(内服治療20年,インスリン歴1年)。合併症として糖尿病性網膜症,腎症III期,神経症,高血圧症。BMI19.8kg/m2,HbA1c9%。全身筋肉量43.6Kg。【入院までの経過】糖尿病罹患後25年間,日常生活では常に毎日1万以上の歩行を目標とし(万歩計管理),加えて運動習慣として1時間半以上速歩されていた。また血糖・血圧値は毎日記録する等自己管理に努めていた。今回,低血糖頻発により当院入院し,2週間の薬物・食事療法後に退院したが,3か月後に再度低血糖を頻発し血糖コントロール目的で再入院した。【治療経過】入院約1週間後にPT介入。「運動はできているから」と運動指導に対し拒否的な意見が聞かれたが,体力測定や体組成の結果をフィードバックすることで,運動指導の受け入れが良好となった。ターゲスの結果,反応性低血糖が疑われたため1600kcalから1800Kcal/日,5回食へ食事を変更となった。持続血糖モニタリング(以下,CGM)を用いて,食事・運動に伴う血糖変動を,管理栄養士,看護師(以下,Ns),PTで3日間観察を行い,同時に低血糖時の対処法やフットケアに対する指導をNsと連携し実施した。運動強度・時間における血糖,血圧,脈拍の変動についてはPT主導で確認した。本人からの聴取と歩行評価より,入院前の運動強度は4~6Mets程度,脈拍数120~140以上と過負荷であったことが分かった。運動指導として,今後は最適と考えられる「となりの人と会話ができる」2~3Mets程度,脈拍数100以下での運動強度と1日30分の2回に分けて行うように指導した。またCGMを用いて運動前値約120mg/dl,運動中~後で80~110mg/dlと低血糖が起きていない事を本人とともに確認し,2週間の加療後自宅退院となり,退院後6か月間が経過した後も低血糖なし。【結論】血糖,血圧,脈拍の変動を確認しながら最適な補食時間・量,運動強度・時間の検討を繰り返した。治療経過より,過負荷での運動が低血糖の要因の一つになっていた。運動指導の専門職としてPTが医療的管理のもと運動負荷量,生活活動量に対し治療的介入することは安全で質の高い運動療法を提供する上で非常に意義がある。また専門職が多角的視点で課題点を抽出し,解決法を模索する事でより質の高い糖尿病治療が提供できる。