[P-DM-02-3] 2型糖尿病患者における血糖コントロールと運動習慣についての検討
Keywords:糖尿病, 運動習慣, 血糖コントロール
【目的】2型糖尿病(DM)患者の血糖コントロールの良否は,合併症の発症・進展リスクに影響し,運動療法は食事療法とともにDM治療の中心的役割を担っている。2型DM患者の運動習慣定着には,健康行動理論の視点を用いた介入が推奨されているが,血糖コントロールと健康行動理論による運動習慣の有無について患者背景因子を含めた報告はなされていない。本研究は,血糖コントロールの良否と運動習慣の有無を含む患者背景因子の関連について検討した。
【方法】研究デザインは横断研究とした。対象は,2015年4月1日から2016年9月30日までに,当院にてDMに対する運動療法指導の指示があった入院及び外来患者連続74例のうち,2型DM患者67例(男性42例,女性25例,年齢61.5±13.8歳,罹患期間8.9±10.5年,HbA1c値8.7±2.9%)とした。患者背景因子は,年齢,性別,DM罹患期間,Body Mass Index(BMI),インスリン療法の有無を診療録より調査した。運動習慣は,「自らの健康のために行っている運動習慣」をトランスセオレティカル・モデルの行動変容の段階を用いて分類し,無関心期から準備期までを「運動習慣なし」,行動期と維持期を「運動習慣あり」と定義した。また運動習慣あり群では,同じく聴取した運動の内容,頻度などの身体活動量について,健康づくりの運動指針2006を参考に1週間のエクササイズ量の合計(単位:Ex)として算出した。統計学的解析は,血糖コントロール良否の指標としてHbA1cを用い,75歳未満では7.0%未満を,75歳以上では8.0%未満をコントロール良好群とし,2群間における各項目の比較をMann-WhitneyのU検定及びχ二乗検定にて検討したうえで,ロジスティック回帰分析を用いて血糖コントロール良否に関連する因子を検討した。また,運動習慣あり群にて,血糖コントロール良好群と不良群の間での1週間のエクササイズ合計値の比較をMann-WhitneyのU検定を用いて行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】コントロール良好群(n=26,HbA1c:6.6±0.5%)は不良群(n=41,HbA1c:10.0±2.9%)と比較し,高齢で(65.9±13.6歳vs58.8±13.3歳,p=0.03),運動習慣を有する割合が高かった(87.5% vs. 47.4%,p=0.001)が,BMI(23.8±4.6 vs26.7±6.1,p=0.05),罹患年数(11.0±12.9年vs7.5±8.4年,p=0.41),インスリン療法の割合(34.6% vs36.4%,p=0.87)に差は認められなかった。ロジスティック回帰分析では,運動習慣の有無が独立して選択された(オッズ比12.05,95%信頼区間2.03-71.64,p=0.006)。運動習慣を有する患者における血糖コントロール良好群と不良群の間で,身体活動量に差は認められなかった(15.0±12.1Ex vs. 15.3±10.1Ex,p=0.70)。
【結論】2型DM患者における血糖コントロール良否には運動習慣の有無が独立して関連した。一方,運動習慣を有する者では,血糖コントロール良好群と不良群間での身体活動量に差は認められなかったことから,運動内容に関わらず,健康行動として運動の習慣化を促すことが重要であることが示唆された。
【方法】研究デザインは横断研究とした。対象は,2015年4月1日から2016年9月30日までに,当院にてDMに対する運動療法指導の指示があった入院及び外来患者連続74例のうち,2型DM患者67例(男性42例,女性25例,年齢61.5±13.8歳,罹患期間8.9±10.5年,HbA1c値8.7±2.9%)とした。患者背景因子は,年齢,性別,DM罹患期間,Body Mass Index(BMI),インスリン療法の有無を診療録より調査した。運動習慣は,「自らの健康のために行っている運動習慣」をトランスセオレティカル・モデルの行動変容の段階を用いて分類し,無関心期から準備期までを「運動習慣なし」,行動期と維持期を「運動習慣あり」と定義した。また運動習慣あり群では,同じく聴取した運動の内容,頻度などの身体活動量について,健康づくりの運動指針2006を参考に1週間のエクササイズ量の合計(単位:Ex)として算出した。統計学的解析は,血糖コントロール良否の指標としてHbA1cを用い,75歳未満では7.0%未満を,75歳以上では8.0%未満をコントロール良好群とし,2群間における各項目の比較をMann-WhitneyのU検定及びχ二乗検定にて検討したうえで,ロジスティック回帰分析を用いて血糖コントロール良否に関連する因子を検討した。また,運動習慣あり群にて,血糖コントロール良好群と不良群の間での1週間のエクササイズ合計値の比較をMann-WhitneyのU検定を用いて行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】コントロール良好群(n=26,HbA1c:6.6±0.5%)は不良群(n=41,HbA1c:10.0±2.9%)と比較し,高齢で(65.9±13.6歳vs58.8±13.3歳,p=0.03),運動習慣を有する割合が高かった(87.5% vs. 47.4%,p=0.001)が,BMI(23.8±4.6 vs26.7±6.1,p=0.05),罹患年数(11.0±12.9年vs7.5±8.4年,p=0.41),インスリン療法の割合(34.6% vs36.4%,p=0.87)に差は認められなかった。ロジスティック回帰分析では,運動習慣の有無が独立して選択された(オッズ比12.05,95%信頼区間2.03-71.64,p=0.006)。運動習慣を有する患者における血糖コントロール良好群と不良群の間で,身体活動量に差は認められなかった(15.0±12.1Ex vs. 15.3±10.1Ex,p=0.70)。
【結論】2型DM患者における血糖コントロール良否には運動習慣の有無が独立して関連した。一方,運動習慣を有する者では,血糖コントロール良好群と不良群間での身体活動量に差は認められなかったことから,運動内容に関わらず,健康行動として運動の習慣化を促すことが重要であることが示唆された。