[P-DM-02-5] ステップエクササイズによるトレーニングが高齢者の身体組成へ及ぼす影響
Keywords:ステップエクササイズ, 骨格筋量, 筋厚値
【はじめに,目的】
近年,日本糖尿病学会では,自宅でも可能なステップエクササイズ(SE)などを推奨している。SEは下肢筋力および最大酸素摂取量を増加させると報告しているが,身体組成に及ぼす影響については十分に検討されていない。そこで本研究では,高齢肥満者を対象に短時間のSEトレーニングが身体組成に及ぼす影響を検討した。
【方法】
対象者は,運動習慣のある高齢女性24名を肥満群(11名,年齢:67.8±5.4歳,BMI:25.5±1.9kg/m2)および非肥満群(13名,年齢:69.0±8.7歳,BMI:20.9±1.1kg/m2)に割付した。健康教室は,週2回の開催であり,ウォーミングアップ,SE,クールダウンから構成した。また,SEはアメリカスポーツ医学会で推奨されているレペティションエクササイズ形式で,3分間の中強度運動,1.5分間の休息時間から構成され,%HRmaxを用いて各セット終了時の脈拍から昇降ペースの調整をして合計6セット実施した。さらに,トレーニング期間中の食事内容,身体活動量(ライフコーダGS)は一定にするように指導した。トレーニング前後の測定は,ほぼ同一時刻にしており,等尺性膝伸展筋力(BIODEX),身体組成(in Body)をそれぞれ測定した。また,筋厚は超音波診断装置(HITACHI EUB-8500)を用いて大腿長50%点にて大腿中央部で長軸方向にて測定筋の筋膜から大腿骨までの距離から算出した。すべてのデータは平均値±標準偏差,各条件の比較には二元配置分散分析後にBonfferroni検定を用いた(SPSSver24.0)。なお,危険率は5%未満を有意水準として採用した。
【結果】
トレーニング前後の肥満群および非肥満群の体重には変化がみられず,大腿直筋の筋厚値は,35.1±8.7から36.8±7.1mm,28.6から30.0mm,Skeletal muscle mass indexは,8.6±0.5から8.9±0.5kg/m2,7.9±0.5から8.2±0.6kg/m2,基礎代謝は,1169±99から1191±106kcal,1106±66から1126±76kcalおよび内臓脂肪面積は,117.5±14.9から111.9±12.9cm2,94.8±14.0から87.2±16.3cm2であり,それぞれトレーニング前後において有意な差が認められた(P<0.05)が,両群間では有意な差は認められなかった。大腿四頭筋筋力については,198.4±43.8から186.7±36.0Nm/kg,207.5±41.1から223.1±38.2Nm/kgであり,両群間で有意差が認められた(P<0.05)。
【結論】
本研究の8週間の短時間SEトレーニングにより,肥満および非肥満にかかわらず筋肉量などの増加が認められた。先行研究では,1週間に150分程度のSEで最大酸素摂取量および筋力が増加したと報告されているが,身体組成には週2回,18分/回程度の運動時間でも改善できることが示された。したがって,サルコペニアおよび糖尿病などの発症予防に効果的な運動処方として推奨できる可能性が示唆された。
近年,日本糖尿病学会では,自宅でも可能なステップエクササイズ(SE)などを推奨している。SEは下肢筋力および最大酸素摂取量を増加させると報告しているが,身体組成に及ぼす影響については十分に検討されていない。そこで本研究では,高齢肥満者を対象に短時間のSEトレーニングが身体組成に及ぼす影響を検討した。
【方法】
対象者は,運動習慣のある高齢女性24名を肥満群(11名,年齢:67.8±5.4歳,BMI:25.5±1.9kg/m2)および非肥満群(13名,年齢:69.0±8.7歳,BMI:20.9±1.1kg/m2)に割付した。健康教室は,週2回の開催であり,ウォーミングアップ,SE,クールダウンから構成した。また,SEはアメリカスポーツ医学会で推奨されているレペティションエクササイズ形式で,3分間の中強度運動,1.5分間の休息時間から構成され,%HRmaxを用いて各セット終了時の脈拍から昇降ペースの調整をして合計6セット実施した。さらに,トレーニング期間中の食事内容,身体活動量(ライフコーダGS)は一定にするように指導した。トレーニング前後の測定は,ほぼ同一時刻にしており,等尺性膝伸展筋力(BIODEX),身体組成(in Body)をそれぞれ測定した。また,筋厚は超音波診断装置(HITACHI EUB-8500)を用いて大腿長50%点にて大腿中央部で長軸方向にて測定筋の筋膜から大腿骨までの距離から算出した。すべてのデータは平均値±標準偏差,各条件の比較には二元配置分散分析後にBonfferroni検定を用いた(SPSSver24.0)。なお,危険率は5%未満を有意水準として採用した。
【結果】
トレーニング前後の肥満群および非肥満群の体重には変化がみられず,大腿直筋の筋厚値は,35.1±8.7から36.8±7.1mm,28.6から30.0mm,Skeletal muscle mass indexは,8.6±0.5から8.9±0.5kg/m2,7.9±0.5から8.2±0.6kg/m2,基礎代謝は,1169±99から1191±106kcal,1106±66から1126±76kcalおよび内臓脂肪面積は,117.5±14.9から111.9±12.9cm2,94.8±14.0から87.2±16.3cm2であり,それぞれトレーニング前後において有意な差が認められた(P<0.05)が,両群間では有意な差は認められなかった。大腿四頭筋筋力については,198.4±43.8から186.7±36.0Nm/kg,207.5±41.1から223.1±38.2Nm/kgであり,両群間で有意差が認められた(P<0.05)。
【結論】
本研究の8週間の短時間SEトレーニングにより,肥満および非肥満にかかわらず筋肉量などの増加が認められた。先行研究では,1週間に150分程度のSEで最大酸素摂取量および筋力が増加したと報告されているが,身体組成には週2回,18分/回程度の運動時間でも改善できることが示された。したがって,サルコペニアおよび糖尿病などの発症予防に効果的な運動処方として推奨できる可能性が示唆された。