[P-DM-03-1] 糖尿病透析予防指導対象者の腎症病期における身体機能比較及び関連性についての検討
Keywords:糖尿病透析予防指導, 身体機能, 年齢
【目的】糖尿病透析予防指導とは,外来通院患者でHbA1cが6.5%以上または内服薬及びインスリン製剤を使用,かつ早期腎症期以降の者が対象となる。専任の医師,看護師または保健師,管理栄養士に加えて薬剤師,理学療法士の配置が望ましいとされている。当院では該当者において理学療法士が個別で運動指導を行っている。糖尿病治療ガイド2016-2017の糖尿病腎症生活指導基準では早期腎症期以前は原則糖尿病の運動療法を行うとされているが,顕性腎症期以降には運動制限を設けている。その内容は病期・病態による大まかなものであり,具体的な指標となり得るものは存在しないのが現状である。実臨床では運動の推奨または抑制並びにその程度の指導は,個々の身体機能も加味する必要がある。そこで今回,糖尿病透析予防指導対象者の腎症病期における身体機能比較及び関連性を検討することを目的とした。
【方法】2015.1~2016.3の糖尿病透析予防指導対象者72例のうち運動指導を実施し,なおかつ身体機能評価が可能であった45例を対象とした。糖尿病性腎症病期分類で早期腎症期の32例を2期群,顕性腎症期及び腎不全期の13例を3-4期群の2群に分類しそれぞれ患者特性として年齢,性別,糖尿病罹病期間,運動に関する問診結果,HbA1c,eGFR,BMI,身体機能評価として握力,歩行速度,5回起立時間,SPPB,TUGについて2群間比較を行った。さらに全例において各身体機能評価項目と年齢,糖尿病罹病期間,運動に関する問診結果,HbA1c,eGFRとで相関分析を実施した。なお問診結果は運動習慣の有無等の5項目を1~3点で採点し,合計15点満点で評価したものを採用した。
【結果】2群間比較の結果すべての項目において有意差は見られなかった。相関分析においてそれぞれ年齢とTUG r=0.58 p=0.0002,握力r=-0.34 p=0.0245,SPPB r=-0.35 p=0.0172,5回起立時間r=0.53 p=0.0004とに有意な相関関係が認められた。その他の項目には認めなかった。
【結論】結果より,糖尿病透析予防指導対象者において腎症病期による身体機能の違いは認められなかった。また,糖尿病罹病期間,HbA1c,eGFRといった糖尿病性腎症の主な病態評価指標と身体機能にも関連性はなかった。その一方で,年齢と身体機能との間に関連性を認め,高齢になる程身体機能が低下しているということが分かった。日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会の高齢者糖尿病の血糖コントロール目標で示されているように糖尿病治療目標は,患者の年齢,認知機能,身体機能,併発疾患,重症低血糖のリスク,余命などを考慮して個別に設定すること。また患者中心の個別性を重視した治療を行うとされていることからも,糖尿病透析予防指導対象者における糖尿病性腎症の運動指導には,糖尿病ガイドにある病期・病態指標による運動強度の決定はもとより,年齢並びに身体機能に留意し,症例個々の能力に応じて運動指導行う重要性が示唆された。
【方法】2015.1~2016.3の糖尿病透析予防指導対象者72例のうち運動指導を実施し,なおかつ身体機能評価が可能であった45例を対象とした。糖尿病性腎症病期分類で早期腎症期の32例を2期群,顕性腎症期及び腎不全期の13例を3-4期群の2群に分類しそれぞれ患者特性として年齢,性別,糖尿病罹病期間,運動に関する問診結果,HbA1c,eGFR,BMI,身体機能評価として握力,歩行速度,5回起立時間,SPPB,TUGについて2群間比較を行った。さらに全例において各身体機能評価項目と年齢,糖尿病罹病期間,運動に関する問診結果,HbA1c,eGFRとで相関分析を実施した。なお問診結果は運動習慣の有無等の5項目を1~3点で採点し,合計15点満点で評価したものを採用した。
【結果】2群間比較の結果すべての項目において有意差は見られなかった。相関分析においてそれぞれ年齢とTUG r=0.58 p=0.0002,握力r=-0.34 p=0.0245,SPPB r=-0.35 p=0.0172,5回起立時間r=0.53 p=0.0004とに有意な相関関係が認められた。その他の項目には認めなかった。
【結論】結果より,糖尿病透析予防指導対象者において腎症病期による身体機能の違いは認められなかった。また,糖尿病罹病期間,HbA1c,eGFRといった糖尿病性腎症の主な病態評価指標と身体機能にも関連性はなかった。その一方で,年齢と身体機能との間に関連性を認め,高齢になる程身体機能が低下しているということが分かった。日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会の高齢者糖尿病の血糖コントロール目標で示されているように糖尿病治療目標は,患者の年齢,認知機能,身体機能,併発疾患,重症低血糖のリスク,余命などを考慮して個別に設定すること。また患者中心の個別性を重視した治療を行うとされていることからも,糖尿病透析予防指導対象者における糖尿病性腎症の運動指導には,糖尿病ガイドにある病期・病態指標による運動強度の決定はもとより,年齢並びに身体機能に留意し,症例個々の能力に応じて運動指導行う重要性が示唆された。