[P-DM-06-1] 2型糖尿病モデルNSYマウスの骨密度について
Keywords:NSYマウス, 血糖値, 骨密度
【はじめに】2型糖尿病は,遺伝的要因を背景として,過食,運動不足などの生活習慣により発症する疾患であり,その患者数は近年,増加傾向にある。一方,高齢化社会を迎えつつあるわが国では,骨粗鬆症の患者数も急増している。これまで,糖尿病と骨粗鬆症は独立した疾患であると考えられてきたが,近年,糖尿病が骨代謝にも影響を及ぼすことが明らかとなり,糖尿病によって2次的に引き起こされる骨粗鬆症は,生活習慣病関連骨粗鬆症として認知されつつある。既報において,2型糖尿病は,骨密度が同等もしくは高値であるにも関わらず,骨折リスクが高いことがメタアナリシスによって示されているが,臨床研究および基礎的研究において骨密度が減少するとの報告もあり,一致した見解が得られていないのが現状である。そこで,基礎的研究として,骨の脆弱性に関する報告のない2型糖尿病モデルNSY(Nagoya Shibata Yasuda)マウスが,糖尿病と骨密度の関係性を見出すモデル動物になりうるかについて検討したので報告する。
【方法】NSYマウスと対照のICRマウスを購入し,60週齢まで飼育した。両マウスの随時血糖値測定および糖負荷試験を実施した。また,骨密度スキャン装置を用いて,右大腿骨近位部および骨幹部の骨密度と骨塩量を測定した。
【結果】NSYマウスの随時血糖値は,ICRマウスに比して有意に高値であった。糖負荷試験の結果,NSYマウスの糖負荷前(空腹時),糖負荷30分後,60分後および120分後の血糖値は,ICRマウスに比して有意に高値であり,耐糖能異常を認めた。NSYマウスの右大腿骨近位部および骨幹部の骨密度は,ICRマウスに比して有意に低値であった。また,NSYマウスの右大腿骨近位部および骨幹部の骨塩量は,ICRマウスに比して,有意に低値であった。随時血糖値と,大腿骨近位部および骨幹部の骨密度との間に,負の相関を認めた。また,空腹時血糖値と,大腿骨近位部および骨幹部の骨密度との間にも,負の相関を認めた。
【結論】随時血糖値および空腹時血糖値と大腿骨骨密度との間に負の相関を認めたことから,慢性的な高血糖は,大腿骨の骨密度を減少させることが示唆された。以上より,NSYマウスは,高血糖抑制効果をもつ運動負荷や栄養摂取による骨密度の変化を検討するためのモデル動物となりうると思われる。多くの2型糖尿病モデルマウスは,骨の成熟を待たずして2型糖尿病を発症することから,骨の成熟後に2型糖尿病を発症することの多いヒトの病態と比較することは困難であった。しかし,NSYマウスは,骨の成熟後に2型糖尿病を発症することから,糖尿病による骨への影響は,他の2型糖尿病モデルマウスよりも,ヒトに近い病態を示すものと思われる。
【方法】NSYマウスと対照のICRマウスを購入し,60週齢まで飼育した。両マウスの随時血糖値測定および糖負荷試験を実施した。また,骨密度スキャン装置を用いて,右大腿骨近位部および骨幹部の骨密度と骨塩量を測定した。
【結果】NSYマウスの随時血糖値は,ICRマウスに比して有意に高値であった。糖負荷試験の結果,NSYマウスの糖負荷前(空腹時),糖負荷30分後,60分後および120分後の血糖値は,ICRマウスに比して有意に高値であり,耐糖能異常を認めた。NSYマウスの右大腿骨近位部および骨幹部の骨密度は,ICRマウスに比して有意に低値であった。また,NSYマウスの右大腿骨近位部および骨幹部の骨塩量は,ICRマウスに比して,有意に低値であった。随時血糖値と,大腿骨近位部および骨幹部の骨密度との間に,負の相関を認めた。また,空腹時血糖値と,大腿骨近位部および骨幹部の骨密度との間にも,負の相関を認めた。
【結論】随時血糖値および空腹時血糖値と大腿骨骨密度との間に負の相関を認めたことから,慢性的な高血糖は,大腿骨の骨密度を減少させることが示唆された。以上より,NSYマウスは,高血糖抑制効果をもつ運動負荷や栄養摂取による骨密度の変化を検討するためのモデル動物となりうると思われる。多くの2型糖尿病モデルマウスは,骨の成熟を待たずして2型糖尿病を発症することから,骨の成熟後に2型糖尿病を発症することの多いヒトの病態と比較することは困難であった。しかし,NSYマウスは,骨の成熟後に2型糖尿病を発症することから,糖尿病による骨への影響は,他の2型糖尿病モデルマウスよりも,ヒトに近い病態を示すものと思われる。