[P-ED-02-1] 「基礎学習論」がメタ認知および学内成績に与える影響
キーワード:メタ認知, 学習方法, GPA
【はじめに,目的】Schrawによると,メタ認知を育成するためには「教師がメタ認知の重要性を学生に説き,メタ認知を意識するように仕向ける」「メタ認知的知識(自分自身の認知能力,課題や方略の有効性などに関する知識)を教授する」等が重要とされている。このようなことも踏まえ,本校では今年度より「基礎学習論」という科目を立ち上げ,メタ認知の育成や学習方法の修得を目的とした内容を15コマ中6コマ実施した。この科目実施後,メタ認知の育成や学習方法の習得がなされることによって成績へも好影響を及ぼすことが予測されることから,本研究では実施前後でのメタ認知への影響および,前期終了時の成績への影響を確認し,よりよい教育へつなげることを目的とする。
【方法】対象はA専門学校第1学年にて本科目を受講した80名(理学療法学科40名,作業療法学科40名)で,方法は本科目の開始前(4月上旬),実施直後(5月上旬)にアンケート調査を実施した。内容は,阿部らによる「成人用メタ認知尺度(以下:メタ認知)」を用い,28項目の質問に対する6段階評価(1:全くあてはまらない,から6:とてもよくあてはまる,まで)を使用し,自己評価にて実施した。また,成績については1学年前期末(9月)の学内成績をGrade Point Average(以下GPA)にて算出した。開始前と実施直後のメタ認知の差については,28項目の中央値をウィルコクソンの差の検定にて確認した。また,個人毎に開始前と実施直後のメタ認知自己評価28項目についてウィルコクソンの差の検定を実施し,有意差の有無で2群に分けた。2群間で前期末のGPAに差があるかについて,シャピロ・ウィルクの正規性検定の結果正規分布に従ったため2標本t検定を実施した。統計処理はR2.8.1を使用し,危険率5%未満をもって有意差とした。
【結果】欠損値のある3名を除いた有効回答77名の分析結果として,メタ認知自己評価における開始前中央値と実施直後中央値において有意な差を認めた(p<0.05)。また,メタ認知自己評価の講義前後における個人内差を認めたものは17名(GPA2.59±0.49),差を認めなかったものは60名(GPA2.48±0.62)で,2群間でのGPAは有意差を認めなかった。
【結論】本科目開始前における学生の状態として,メタ認知に対する理解が薄いことから自己評価の中央化(どちらともいえない)が起こり,科目実施直後にはメタ認知的知識や技術に関する理解が深まった結果,自己評価が明確になり差が出たことが推測される。一方で,その差が成績の差につながるとは言えず,科目を経て得られた気づきがメタ認知の育成や学習方法の習得につながり成績を向上させるためには,定着を図るための更なる検討が必要であることが示唆された。
【方法】対象はA専門学校第1学年にて本科目を受講した80名(理学療法学科40名,作業療法学科40名)で,方法は本科目の開始前(4月上旬),実施直後(5月上旬)にアンケート調査を実施した。内容は,阿部らによる「成人用メタ認知尺度(以下:メタ認知)」を用い,28項目の質問に対する6段階評価(1:全くあてはまらない,から6:とてもよくあてはまる,まで)を使用し,自己評価にて実施した。また,成績については1学年前期末(9月)の学内成績をGrade Point Average(以下GPA)にて算出した。開始前と実施直後のメタ認知の差については,28項目の中央値をウィルコクソンの差の検定にて確認した。また,個人毎に開始前と実施直後のメタ認知自己評価28項目についてウィルコクソンの差の検定を実施し,有意差の有無で2群に分けた。2群間で前期末のGPAに差があるかについて,シャピロ・ウィルクの正規性検定の結果正規分布に従ったため2標本t検定を実施した。統計処理はR2.8.1を使用し,危険率5%未満をもって有意差とした。
【結果】欠損値のある3名を除いた有効回答77名の分析結果として,メタ認知自己評価における開始前中央値と実施直後中央値において有意な差を認めた(p<0.05)。また,メタ認知自己評価の講義前後における個人内差を認めたものは17名(GPA2.59±0.49),差を認めなかったものは60名(GPA2.48±0.62)で,2群間でのGPAは有意差を認めなかった。
【結論】本科目開始前における学生の状態として,メタ認知に対する理解が薄いことから自己評価の中央化(どちらともいえない)が起こり,科目実施直後にはメタ認知的知識や技術に関する理解が深まった結果,自己評価が明確になり差が出たことが推測される。一方で,その差が成績の差につながるとは言えず,科目を経て得られた気づきがメタ認知の育成や学習方法の習得につながり成績を向上させるためには,定着を図るための更なる検討が必要であることが示唆された。