The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-03] ポスター(教育)P03

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-03-1] 理学療法実技分野への動画教材による復習への取り組み
―視聴期間と成績別に着目して―

小野田 公1, 糸数 昌史1, 丸山 仁司2 (1.国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科, 2.国際医療福祉大学)

Keywords:ICT, 動画教材, 学習

【はじめに,目的】

医療系大学でのInformation and Communication Technology(以下ICT)の授業への取り組みが多く報告されている。具体的な取り組みとして反転授業やインターネットを利用した授業資料や演習用動画を用いた教授法が一定の学習効果があることが報告されている。本研究では,実技講義を撮影した動画教材を復習のためにインターネット配信し,視聴状況を成績別に分析し,その効果を明らかにすることを目的とした。

【対象】

国際医療福祉大学理学療法学科2年生の必修科目である「理学療法診断学I」履修者101名(男性50名,女性51名)を対象とした。

【方法】

配信動画は,「理学療法診断学I」での関節可動域測定についての授業で収録した。説明時に用いたビデオカメラで同時に教員の解説を録画し,その記録動画を復習用教材として動画配信サイトYOUTUBEを利用し,配信した。配信は,実技試験2週間前に動画のURLとそのQRコードを印刷した紙を配布した。視聴期間は,配信直後(実技試験9~14日前),配信中間(実技試験8~5日前),試験直前(実技試験4日~実技試験当日)の3つの期間に分け,集計した。対象者の成績による 視聴の違いを確認するためにComputer Based Testing(以下CBT)の結果を点数の高い順番に並べ,成績上位群,成績中間群,成績下位群の3群に分けた。配信動画の視聴回数,視聴時間を調べて,成績別各群を経時的に集計した。期間別と成績別群の視聴回数および視聴時間をKruskal-Wallis検定にて分析した。

【結果】

期間別の総視聴時間は,試験直前が配信直後および中間より有意に増加していた。また,総視聴回数は,試験直前が配信直後および中間より有意に増加していた。成績別の総視聴時間は,成績下位群が成績上位群および中間群よりも増加傾向(p=0.063)を示した。

【結論】

結果より視聴時間や視聴回数は,配信直後よりも試験直前に増加していた。また,成績別では他の群よりも成績下位群が多く利用する傾向を示した。これは,成績下位群を理解度の低い学生とすると理解度を高めるために今回の動画を視聴したことが考えられる。このことより復習動画の配信は理解度の低い学生の個別学習にも有用ではないかと考えられる。また,配信動画はスマートフォンなどで視聴可能であり,学生は動画を確認しながら実技練習を実施していた。この学習方法は場所を選ばず学習できることが示唆された。

【理学療法学研究としての意義】

本研究では理学療法分野の教育でICTを利用した授業の復習のための動画を配信した。結果より試験対策のためや理解度の低い学生が多く利用していることが示唆された。今後の実技演習の授業を多くもつ理学療法分野での教育方法として活用できるのではないかと考えられる。また,スマートフォンなどのモバイル端末から簡単に視聴できることから新たな学習方法として利用ができるのではないかと考えられる。