[P-ED-03-2] 反転授業導入に伴う学生の負担感についての調査
Keywords:反転授業, 負担感, 学修方略
【はじめに,目的】
近年,ICTを用いた教育手法として反転授業が注目されており,授業以外の時間でWeb上の予習用動画を視聴し,授業では能動的学修課題を通して,知識理解を深めていくことが特徴の一つである。しかし,他分野に比べてカリキュラムが過密である医療系大学では,課外時間に動画を視聴するタスクを強いることで学生の負担が増えるデメリットもある。そこで,本研究では反転授業の導入に必要な予習動画視聴における学生の負担感を調査した。また,授業への取り組み,授業内容の理解に着目して,反転授業と従来型授業の違いを学生の評価から検討した。
【方法】
対象は本学理学療法学科3年生100名,2年生101名であった。3年生は2年次に一部の科目にて反転授業の経験があった。実施科目は平成28年度前期の装具学(3年),理学療法評価学(2年)とした。予習用動画の作成はCamtagia2を使用し,YouTubeの限定視聴形式にてアップロードした。動画配信はGoogle Classroomを用い,学生個々にログインして閲覧できるシステムを構築した。全15コマ中7コマ終了後に,学生へ無記名方式でアンケート調査を実施した。調査方法はGoogle Formを用いたWebアンケートを作成し,学生はそのURLにアクセスして回答できるようにした。聴取項目は「事前に動画を視聴することの負担感」を10段階で聴取した。また,「授業の取り組みやすさ」,「授業内容の理解しやすさ」で良いと感じるものを,1.従来の授業 2.どちらかというと従来の授業 3.どちらでもない 4.どちらかというと反転授業 5.反転授業の5項目中から1つを選択させた。アンケート結果は各項目別に集計し,数値化した負担感はMann-WhitneyのU検定を用いて学年間の比較を行った。授業の取り組み,および授業内容の理解については,各項目の回答数の割合を算出した後,反転授業と従来型授業の2つに関連する解答の割合を抽出し,x2検定でその関連をみた。統計処理はSPSS ver23.0を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
動画視聴の負担感の中央値(25パーセンタイル-75パーセンタイル)は,3年が5(3-6),2年が3(2-5)であり,学年間では3年生が有意に高かった。授業の取り組みと授業内容の理解の項目では,反転授業を良いと回答した割合は両学年で有意に多かったが,学年間では3年生に比べて,2年生で有意に少なかった。
【結論】
本研究の結果から,3年生は反転授業導入に伴う動画視聴の負担を2年生よりも重く感じているが,授業への取り組みやすさや内容の理解については従来型授業よりも反転授業のほうが良いと評価していることが明らかになった。一方,2年生では負担感は3年に比べて低いものの,従来型授業が良いと回答した学生の割合も多く,学年間で差が認められた。このことから2年生は反転授業による学修に慣れていないことも示唆され,導入に際して,反転授業の目的や学修方略について繰り返し説明と確認を行う機会が必要と思われる。
近年,ICTを用いた教育手法として反転授業が注目されており,授業以外の時間でWeb上の予習用動画を視聴し,授業では能動的学修課題を通して,知識理解を深めていくことが特徴の一つである。しかし,他分野に比べてカリキュラムが過密である医療系大学では,課外時間に動画を視聴するタスクを強いることで学生の負担が増えるデメリットもある。そこで,本研究では反転授業の導入に必要な予習動画視聴における学生の負担感を調査した。また,授業への取り組み,授業内容の理解に着目して,反転授業と従来型授業の違いを学生の評価から検討した。
【方法】
対象は本学理学療法学科3年生100名,2年生101名であった。3年生は2年次に一部の科目にて反転授業の経験があった。実施科目は平成28年度前期の装具学(3年),理学療法評価学(2年)とした。予習用動画の作成はCamtagia2を使用し,YouTubeの限定視聴形式にてアップロードした。動画配信はGoogle Classroomを用い,学生個々にログインして閲覧できるシステムを構築した。全15コマ中7コマ終了後に,学生へ無記名方式でアンケート調査を実施した。調査方法はGoogle Formを用いたWebアンケートを作成し,学生はそのURLにアクセスして回答できるようにした。聴取項目は「事前に動画を視聴することの負担感」を10段階で聴取した。また,「授業の取り組みやすさ」,「授業内容の理解しやすさ」で良いと感じるものを,1.従来の授業 2.どちらかというと従来の授業 3.どちらでもない 4.どちらかというと反転授業 5.反転授業の5項目中から1つを選択させた。アンケート結果は各項目別に集計し,数値化した負担感はMann-WhitneyのU検定を用いて学年間の比較を行った。授業の取り組み,および授業内容の理解については,各項目の回答数の割合を算出した後,反転授業と従来型授業の2つに関連する解答の割合を抽出し,x2検定でその関連をみた。統計処理はSPSS ver23.0を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
動画視聴の負担感の中央値(25パーセンタイル-75パーセンタイル)は,3年が5(3-6),2年が3(2-5)であり,学年間では3年生が有意に高かった。授業の取り組みと授業内容の理解の項目では,反転授業を良いと回答した割合は両学年で有意に多かったが,学年間では3年生に比べて,2年生で有意に少なかった。
【結論】
本研究の結果から,3年生は反転授業導入に伴う動画視聴の負担を2年生よりも重く感じているが,授業への取り組みやすさや内容の理解については従来型授業よりも反転授業のほうが良いと評価していることが明らかになった。一方,2年生では負担感は3年に比べて低いものの,従来型授業が良いと回答した学生の割合も多く,学年間で差が認められた。このことから2年生は反転授業による学修に慣れていないことも示唆され,導入に際して,反転授業の目的や学修方略について繰り返し説明と確認を行う機会が必要と思われる。