[P-ED-03-3] 理学療法学科学生における認知症高齢者のイメージに関する縦断研究
キーワード:認知症高齢者, 理学療法学科学生, イメージ
【はじめに,目的】
急速な高齢化に伴って認知症高齢者はますます増加し,多くの人々にとって自分自身あるいは家族が認知症になることが身近な問題になってきている。また,理学療法士は,認知症高齢者と関わりを持つことが多く,認知症高齢者に対する適切な対応をするために,学生のうちから各人が認知症について肯定的なイメージ,意識を持つことが重要であると考えられる。理学療法学科学生を対象とした認知症のイメージを調査した先行研究では,上級学年の方が認知症高齢者に対して親密性,活力性で肯定的なイメージを有していることが明らかになっている。しかし,この研究は横断研究であり,学年間比較をするためには学年の進行によって,認知症高齢者のイメージがどのように変化するかを明らかにすべきである。そこで本研究では,理学療法学科学生の学年の進行に伴った認知症高齢者のイメージの変化を縦断的に調査し,どのように変化するかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,1年生(2015年)~2年生(2016年)70名,2年生(2015年)~3年生(2016年)51名,3年生(2015年)~4年生(2016年)52名であった。対象者に対して,認知症高齢者のイメージに関するアンケートを自記式で実施した。認知症高齢者のイメージは,26の形容詞対についてどちらに該当するかを質問し,先行研究を参考にしてSemantic Differential Method(SD法)を用いて数値化した。アンケート実施時期は2015年6月上旬と2016年6月上旬であった。アンケート結果は,多重比較を用いて各学年間で比較した。
【結果】
認知症高齢者に対する1年間のイメージの変化を形容詞ごとに比較したところ,4年生では「尊厳性」に分類される項目4「愚かな-賢い」,項目7「正しくない-正しい」,「親密性」に分類される項目14「冷たい-暖かい」に有意差が認められた。3年生では「尊厳性」に分類される項目1「ひどい-すばらしい」,項目2「醜い-美しい」,「活力性」における項目15「悲しい-嬉しい」に有意差が認められた。2年生では「尊厳性」に分類される項目1「ひどい-すばらしい」,項目6「だらしない-きちんとした」,活力性に分類される項目15「悲しい-嬉しい」,項目16「病気がち-元気な」,項目17「弱い-強い」に有意差が認められた。いずれも上級学年の方が肯定的なイメージを有していた。
【結論】
本研究の結果から,理学療法教育を受けることによって,認知症高齢者のイメージが肯定的に変化することが明らかとなった。また,認知症高齢者のイメージが変化した項目が最も多いの1年生から2年生へ進級した学年であったことから,イメージが最も変化するのは,1年生6月から2年生の6月に開講される講義を受講することにより,認知症高齢者に関する正しい知識・見識を得ることによるのではないかと考えられた。
急速な高齢化に伴って認知症高齢者はますます増加し,多くの人々にとって自分自身あるいは家族が認知症になることが身近な問題になってきている。また,理学療法士は,認知症高齢者と関わりを持つことが多く,認知症高齢者に対する適切な対応をするために,学生のうちから各人が認知症について肯定的なイメージ,意識を持つことが重要であると考えられる。理学療法学科学生を対象とした認知症のイメージを調査した先行研究では,上級学年の方が認知症高齢者に対して親密性,活力性で肯定的なイメージを有していることが明らかになっている。しかし,この研究は横断研究であり,学年間比較をするためには学年の進行によって,認知症高齢者のイメージがどのように変化するかを明らかにすべきである。そこで本研究では,理学療法学科学生の学年の進行に伴った認知症高齢者のイメージの変化を縦断的に調査し,どのように変化するかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,1年生(2015年)~2年生(2016年)70名,2年生(2015年)~3年生(2016年)51名,3年生(2015年)~4年生(2016年)52名であった。対象者に対して,認知症高齢者のイメージに関するアンケートを自記式で実施した。認知症高齢者のイメージは,26の形容詞対についてどちらに該当するかを質問し,先行研究を参考にしてSemantic Differential Method(SD法)を用いて数値化した。アンケート実施時期は2015年6月上旬と2016年6月上旬であった。アンケート結果は,多重比較を用いて各学年間で比較した。
【結果】
認知症高齢者に対する1年間のイメージの変化を形容詞ごとに比較したところ,4年生では「尊厳性」に分類される項目4「愚かな-賢い」,項目7「正しくない-正しい」,「親密性」に分類される項目14「冷たい-暖かい」に有意差が認められた。3年生では「尊厳性」に分類される項目1「ひどい-すばらしい」,項目2「醜い-美しい」,「活力性」における項目15「悲しい-嬉しい」に有意差が認められた。2年生では「尊厳性」に分類される項目1「ひどい-すばらしい」,項目6「だらしない-きちんとした」,活力性に分類される項目15「悲しい-嬉しい」,項目16「病気がち-元気な」,項目17「弱い-強い」に有意差が認められた。いずれも上級学年の方が肯定的なイメージを有していた。
【結論】
本研究の結果から,理学療法教育を受けることによって,認知症高齢者のイメージが肯定的に変化することが明らかとなった。また,認知症高齢者のイメージが変化した項目が最も多いの1年生から2年生へ進級した学年であったことから,イメージが最も変化するのは,1年生6月から2年生の6月に開講される講義を受講することにより,認知症高齢者に関する正しい知識・見識を得ることによるのではないかと考えられた。