[P-ED-04-1] Communication Style Inventoryによる4つのタイプと学習観の関係性について
キーワード:CSI, 学習観, アナライザータイプ
【はじめに,目的】Communication Style Inventory(以下CSI)によるタイプ分け(コントローラータイプ;以下CT,アナライザータイプ;以下AT,プロモータータイプ;以下PT,サポータータイプ;以下ST)は,人材育成の一助として,対象となる個人の思考パターンやコミュニケーション方法などの特徴を把握する上で有用なツールとして知られている。しかし,これらのタイプと学習観との関係性についての報告はない。そこで今回,我々は,学生を4つのタイプに分け,理学療法に関する内容を学ぶにあたり学習観との関係性を明らかにし,学内教育として役立てることを目的とした。
【方法】対象は,本校理学療法学科3年生78名(平均年齢21.0歳±2.6歳,男性48名,女性30名)に「coach21のタイプ分け自己診断テスト(40項目)」を用いてタイプ分けを行ない,2種以上のタイプを示さなかった71名とした。学習観の調査には市川の「学習方法についての自己評定項目(24項目)」を採用し,質問紙法にて5段階尺度で回答を求めた。結果は①失敗に対する柔軟性(間違うことで理解不足に気づき,よりよく分かるようになる),②思考過程の重視(結果がよくても悪くても,その理由を考えることが大切である),③方略志向(勉強のやり方や,自分に合った勉強方法を工夫することを重視する),④意味理解志向(学習内容の意味を考え,解き方や考え方を確かめながら学習を進める)のカテゴリーに分け,各カテゴリーの得点を算出した。統計処理にはR2.8.1を使用し,全てのタイプと各カテゴリー間において分散分析に一元配置分散分析,および多重比較にTukey法を用いた。尚,危険率は5%未満とした。
【結果】学生個々の特徴は,CT11名,AT19名,PT16名,ST25名に分かれた。これらのタイプと学習観における各カテゴリー間では,①,②,④との間には有意な差はなかった。しかし,③において,CTとAT間に有意な差はなかったが,PTとAT,STとAT間に有意な差を認めた(P<0.01)。
【結論】市毛らによれば4つのタイプは「自己主張」と「感情表出」という二軸を基に特徴づけられ,特にCTとATは,共に感情表出は低いが,CTは自己主張が強く,ATは弱い傾向に,PTとSTは,共に感情表出が高いが,PTは自己主張が強く,STは弱い傾向にあるとしている。よって,今回,「方略志向」においてATがCT間で有意な差はなく,PTならびにST間で有意な差を認めたことについては,感情表出の高低が大きく関与していることが考えられた。また,ATの学習観として勉強方法の在り方を重視する傾向にあることが明らかとなったことで,このタイプの学生は,成績が不振であっても周囲に助言を求めることなく,勉強方法の見直しを優先して図り,勉強量を増やす考えには発展しにくいことが考えられた。そのため,指導に際しては,できる限り学生との接触機会を増やしながら,本人からの表出を通して学生自らが選択した方法を吟味すると共に,十分な勉強量が確保されているかを適宜確認する必要があると考えられる。
【方法】対象は,本校理学療法学科3年生78名(平均年齢21.0歳±2.6歳,男性48名,女性30名)に「coach21のタイプ分け自己診断テスト(40項目)」を用いてタイプ分けを行ない,2種以上のタイプを示さなかった71名とした。学習観の調査には市川の「学習方法についての自己評定項目(24項目)」を採用し,質問紙法にて5段階尺度で回答を求めた。結果は①失敗に対する柔軟性(間違うことで理解不足に気づき,よりよく分かるようになる),②思考過程の重視(結果がよくても悪くても,その理由を考えることが大切である),③方略志向(勉強のやり方や,自分に合った勉強方法を工夫することを重視する),④意味理解志向(学習内容の意味を考え,解き方や考え方を確かめながら学習を進める)のカテゴリーに分け,各カテゴリーの得点を算出した。統計処理にはR2.8.1を使用し,全てのタイプと各カテゴリー間において分散分析に一元配置分散分析,および多重比較にTukey法を用いた。尚,危険率は5%未満とした。
【結果】学生個々の特徴は,CT11名,AT19名,PT16名,ST25名に分かれた。これらのタイプと学習観における各カテゴリー間では,①,②,④との間には有意な差はなかった。しかし,③において,CTとAT間に有意な差はなかったが,PTとAT,STとAT間に有意な差を認めた(P<0.01)。
【結論】市毛らによれば4つのタイプは「自己主張」と「感情表出」という二軸を基に特徴づけられ,特にCTとATは,共に感情表出は低いが,CTは自己主張が強く,ATは弱い傾向に,PTとSTは,共に感情表出が高いが,PTは自己主張が強く,STは弱い傾向にあるとしている。よって,今回,「方略志向」においてATがCT間で有意な差はなく,PTならびにST間で有意な差を認めたことについては,感情表出の高低が大きく関与していることが考えられた。また,ATの学習観として勉強方法の在り方を重視する傾向にあることが明らかとなったことで,このタイプの学生は,成績が不振であっても周囲に助言を求めることなく,勉強方法の見直しを優先して図り,勉強量を増やす考えには発展しにくいことが考えられた。そのため,指導に際しては,できる限り学生との接触機会を増やしながら,本人からの表出を通して学生自らが選択した方法を吟味すると共に,十分な勉強量が確保されているかを適宜確認する必要があると考えられる。