第52回日本理学療法学術大会

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[P-ED-04] ポスター(教育)P04

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-04-2] 理学療法士学生における身体活動量・強度と学習成績,抑うつ度との関係について

永吉 啓吾, 瀧川 梓紗, 山本 英作, 山本 葉月 (大阪医療福祉専門学校)

キーワード:身体活動量, 身体活動強度, 理学療法士学生

【はじめに,目的】

少子高齢化社会の到来に向け健康寿命の延伸が大きな社会課題である。身体活動量を増加させることが生活習慣病等の罹患や,加齢に伴う生活機能低下のリスクを軽減させることが明らかになっている。しかし,身体活動強度について先行研究は少なく,心拍数を測定して身体活動強度を調査した研究は見当たらない。中程度の運動負荷である有酸素運動には,学習成績の向上,不安や抑うつ感の軽減などの効果が言われている。今回,本校理学療法士学科昼間部2年生42名の身体活動量・強度を調査し,学習成績と抑うつ度との関係性を検討した。




【方法】

対象者は,本校理学療法士学科昼間部2年42名(男子27名,女子15名,平均年齢19.8±0.9歳)とした。測定項目は,①身体活動量・強度,②学習成績,③抑うつ度とした。①身体活動量・強度は,WristableGPS SF850(EPSON社製)を用いて身体活動量(歩数),身体活動強度(高強度活動:最大心拍数に対して80~100%,中等度強度活動:最大心拍数に対して60~80%,低強度活動:最大心拍数に対して30~60%,これら3項目の時間数)を測定した。最大心拍数は,206.9-(0.67×年齢)とした。平日5日間装着し,測定器配布日と回収日を除く3日間の平均値を解析に用いた。②学習成績の評価は,計測の直近である2年生前期授業成績の総合点数とした。③抑うつ度の評価としてBDI-II(ベック抑うつ尺度)を使用した。統計解析として,身体活動量計で測定した各数値(歩数,各身体活動強度時間)と学習成績,抑うつ度それぞれについてピアソンの相関関係を用いて検証した。有意判定基準は5%未満とした。




【結果】

身体活動量に関して1日の歩数は平均8510.3±3706.0歩,身体活動強度に関して1日の高強度活動時間は平均0.0±0.1分,中等度強度活動時間は平均40.3±30.0分,低強度活動時間は平均89.2±38.8分であった。BDI-IIは,平均11.8±11.1点であった。身体活動量(歩数),身体活動強度(高強度,中等度強度,低強度)と学習成績,抑うつ度それぞれについていずれも関連性は認められなかった。




【結論】

平成26年の厚生労働省の調査では平均歩数が20代男性で8015歩,20代女性で7028歩であった。「健康日本21」では,20~64歳では男性9000歩,女性8500歩を目標と挙げている。今回の結果から本校理学療法士学科昼間部2年生の身体活動量は全国平均並みであるが,厚生労働省の目標値には不足していることがわかった。また,身体活動量(歩数)や活動強度(高強度活動時間,中等度活動時間,低強度活動時間)と学習成績,抑うつ度には関連性が認められなかった。