The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-04] ポスター(教育)P04

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-04-3] 学生の立場からみた質の高い教員像に関する検討

山際 清貴, 原田 憲二, 佐野 純平, 谷出 敦子, 小関 博久 (専門学校東都リハビリテーション学院)

Keywords:学生の立場, 教員の質, アンケート

【はじめに,目的】

近年,理学療法士の増加に伴い,質の担保が危惧されている。質の担保に関する問題は臨床現場に限ったものではなく,教育現場においても同様である。現在,教員における質の担保の具体例としては,より高位の学位を取得することや養成施設教員等講習会の参加などが推奨されている。しかし,これらは教育者の立場に基づいた見解であり,教育を受ける側である学生の意見は反映されていない。今回,学生の立場からみた質の高い教員像を具体化するための調査を行い,若干の知見を得たので報告する。

【方法】

本学院1~3年生(昼間部)の135名(男性99名,女性36名,平均年齢19.7歳)に対し,無記名式のアンケートを実施した。アンケートでは,性別と年齢に加え「あなたの思う質の高い教員とは,どのような教員ですか?」と尋ね,回答方法は自由記載とした。抽出されたコードを,同様の研究経験のある教員複数名と共にKJ法を用いてカテゴリー化した。

【結果】

得られたコードの総数は,222件だった。大カテゴリーとして[教員のパーソナリティ]と[指導の技術]の2項目に分類した。[教員のパーソナリティ]の中カテゴリーは①学生本位,②平等性,③親近感,④人望の4項目に分類した。さらに①は「気配り(18)」「支援(13)」「学生目線(7)」「傾聴(5)」,②は「モラル(21)」「差別(11)」,③は「オンとオフの切り替え(10)」「話しやすさ(8)」「適度な距離感(3)」「明朗(3)」,④は「尊敬の念(8)」「知識量・技術量(8)」「叱咤激励(7)」の小カテゴリーに分類した。[指導の技術]の中カテゴリーは①授業展開,②授業のわかりやすさ,③授業の雰囲気の3項目に分類した。さらに①は「授業のペース(15)」「質問への対応(15)」「多彩な指導方法(10)」「授業内容以外の指導(5)」「体験談の提示(4)」,②は「理解しやすい説明(16)」「難解な用語の平易化(7)」「資料の工夫(4)」「声の大きさ(4)」「板書の能力(2)」,③は「楽しい授業(13)」「興味の持てる授業(5)」の小カテゴリーに分類した。

【結論】

今回の結果から,学生の立場からみた質の高い教員像には,指導の技術が巧みであることに加えて,教員のパーソナリティも関与していることが明らかとなった。すなわち,学生を指導するうえでは,学生本位の見解で平等性と親近感を担保し,なおかつ一個人として尊敬されるような人格を形成するよう心掛けることが肝要であることが示唆された。文部科学省は,優れた教師の条件として①教職に対する強い情熱,②教育の専門家としての確かな力量,③総合的な人間力の3要素を掲げている。今回の結果は,表現こそ異なるものの,本質的にはこの報告を肯定するものとなった。質の高い教育を提供するためには,教員自体の質を高く維持する必要があることに議論の余地はない。今後は対象施設を増やし,より質の高い教育の提供を目的として詳細な調査を継続すべきであると思われる。