[P-ED-06-2] 臨床実習における実習形態の違いが理学療法実習生の身体的・精神的活動量に与える影響
キーワード:臨床実習, 身体活動量, 自律神経活動
【はじめに,目的】
本来,実習の目的は,学生が実習指導者(指導者)の下で患者に対し,理学療法を体験・実施することを通じて,学び得た知識・技術を統合し身につけることである。我々は,これを能動行動型実習と呼んでいる。しかし,近年における実習形態は,指導者の行う理学療法を見学し,理学療法実習生(実習生)はその内容をレポートに書いて理解するという形態が多く見られる。我々は,これを受動行動型実習と呼んでいる。臨床実習中の実習生の身体活動量や自律神経活動変化などの客観的データは,これまで報告されていなかったが,我々は,第45回日本理学療法学術大会において,見学中心の受動行動型実習における臨床実習中の実習生の身体活動量,自律神経活動パターン,心拍数を経時的に計測し,受動行動型実習では実習前半は過度の緊張状態を呈していることを明らかにした。本研究では,能動行動型実習時の実習生の身体活動量,自律神経活動パターン,心拍数を経時的に計測することを第一の目的とし,さらに,過去に報告した受動行動型実習との比較を行い両者の違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,病院臨床実習を行う実習生8名を対象とした。指導者に対しては,能動行動型実習を心がけるように指示を与えた。アクティブとレーサーを用いて,臨床実習中の心拍数,身体活動量,自律神経活動を定期的に記録した。併せて,実習行動記録を記載し,見学時間の算出を実施した。得られたデータは,測定週ごとの平均を算出し,比較した。統計学的解析は,SPSS(Ver.17.0)を使用し,データの正規性,等分散性を確認後,Two-way Repeated ANOVAを行い有意差が認められた場合にpost hoc comparisonsとしてTukey-kramer testを行った。有意水準5%未満を有意差有りとした。
【結果】
1日の実習時間に占める見学時間の割合は,受動行動型実習が85%,能動行動型実習が35%以下であった。見学時間割合が減少した能動行動型実習では,受動行動型実習に比較し,身体活動量は次週前半に有意に高値を示した。また,心拍数においても能動行動型実習では,受動行動型実習に比較し,次週前半に有意に高値を示した。しかし,交感神経活動においては,有意な差は認めなかったが,副交感神経活動は受動行動型実習が有意に高値を示した。我々の過去の報告より,見学中心の受動行動型実習では実習初期の過緊張状態が示唆された。しかし,能動行動型実習で実習初期から身体活動量を提供することで,緊張状態であることに変化はみられなかったが,交感神経・副交感神経活動バランスの是正に関与することが示唆された。
【結論】
実習形態による実習中の実習生の身体・精神的活動量が明らかとなった。能動行動型実習は身体活動量を増加させ,身体活動量に見合った交感神経活動,心拍数を示すことが示唆された。
本来,実習の目的は,学生が実習指導者(指導者)の下で患者に対し,理学療法を体験・実施することを通じて,学び得た知識・技術を統合し身につけることである。我々は,これを能動行動型実習と呼んでいる。しかし,近年における実習形態は,指導者の行う理学療法を見学し,理学療法実習生(実習生)はその内容をレポートに書いて理解するという形態が多く見られる。我々は,これを受動行動型実習と呼んでいる。臨床実習中の実習生の身体活動量や自律神経活動変化などの客観的データは,これまで報告されていなかったが,我々は,第45回日本理学療法学術大会において,見学中心の受動行動型実習における臨床実習中の実習生の身体活動量,自律神経活動パターン,心拍数を経時的に計測し,受動行動型実習では実習前半は過度の緊張状態を呈していることを明らかにした。本研究では,能動行動型実習時の実習生の身体活動量,自律神経活動パターン,心拍数を経時的に計測することを第一の目的とし,さらに,過去に報告した受動行動型実習との比較を行い両者の違いを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,病院臨床実習を行う実習生8名を対象とした。指導者に対しては,能動行動型実習を心がけるように指示を与えた。アクティブとレーサーを用いて,臨床実習中の心拍数,身体活動量,自律神経活動を定期的に記録した。併せて,実習行動記録を記載し,見学時間の算出を実施した。得られたデータは,測定週ごとの平均を算出し,比較した。統計学的解析は,SPSS(Ver.17.0)を使用し,データの正規性,等分散性を確認後,Two-way Repeated ANOVAを行い有意差が認められた場合にpost hoc comparisonsとしてTukey-kramer testを行った。有意水準5%未満を有意差有りとした。
【結果】
1日の実習時間に占める見学時間の割合は,受動行動型実習が85%,能動行動型実習が35%以下であった。見学時間割合が減少した能動行動型実習では,受動行動型実習に比較し,身体活動量は次週前半に有意に高値を示した。また,心拍数においても能動行動型実習では,受動行動型実習に比較し,次週前半に有意に高値を示した。しかし,交感神経活動においては,有意な差は認めなかったが,副交感神経活動は受動行動型実習が有意に高値を示した。我々の過去の報告より,見学中心の受動行動型実習では実習初期の過緊張状態が示唆された。しかし,能動行動型実習で実習初期から身体活動量を提供することで,緊張状態であることに変化はみられなかったが,交感神経・副交感神経活動バランスの是正に関与することが示唆された。
【結論】
実習形態による実習中の実習生の身体・精神的活動量が明らかとなった。能動行動型実習は身体活動量を増加させ,身体活動量に見合った交感神経活動,心拍数を示すことが示唆された。