[P-ED-06-3] 当院における臨床実習教育の現状と課題の検討について
疾患別グループでの見学・模倣・実施からみた指導内容
キーワード:臨床実習教育, 指導内容, 疾患別グループ
【はじめに,目的】
臨床実習教育の目標に「理学療法の対象者に対して,基本的理学療法を経験し実践できる」が掲げられている。しかし,臨床実習時間(単位数)の減少,患者権利意識や個人情報保護の高まり,臨床実習指導の質の担保困難といった社会情勢の変化によって基本的理学療法の経験と実践が難しくなっているが,詳細な報告は少ない。また急性期施設である当院では疾患別の業務体系にて運用しているため,臨床実習学生は配置されるグループによって経験する疾患やその理学療法評価や訓練にも差が生じると考える。今回は当院における疾患別グループごとの基本的理学療法の経験と実践の現状を把握し,臨床実習教育への対応を検討する。
【方法】
平成28年4月1日から10月31日の間で当院にて臨床実習(6週間以上)を行った臨床実習学生15名(大学6校,短期大学3校,4年専門学校2校,3年専門学校4校)を対象とし,当院の運動器,脳血管,内部障害,循環器のグループに配置させた。臨床実習の基本的理学療法の評価項目としてバイタルサイン,関節可動域測定,徒手筋力検査法,感覚検査,基本動作とし,訓練項目として関節可動域訓練,筋力増強訓練,運動療法,物理療法,日常生活動作訓練とした。一日に介入した患者ごとに経験と実践した両項目を見学,模倣,実施として記載させた。
【結果】
運動器にて臨床実習の総日数は120日,介入した患者の述べ人数は984名,見学と実践の総回数は2995回であり,その内評価見学,訓練見学,評価模倣,訓練模倣,評価実施,訓練実施の順で16%,75%,0%,2%,5%,2%であった。脳血管にて総日数は130日,述べ人数は909名,総回数は3473回であり,同様に19%,53%,0%,2%,15%,11%であった。内部障害にて総日数は130日,述べ人数は694名,総回数は2367回であり,同様に20%,44%,2%,8%,10%,16%であった。循環器にて総日数は111日,述べ人数は1095名,総回数は3358回であり,同様に13%,29%,0%,5%,28%,25%であった。
【結論】当院での臨床実習では見学が66%,模倣がわずかに5%,実施が29%と見学の割合が高かった。疾患別では運動器,脳血管,内部障害,循環器の順で訓練の見学の割合が低く,評価と訓練の実施の割合が高かったことは注目すべきことであると考える。当院の臨床実習教育において病態変化に基づく適切なリスク管理下で基本的理学療法の経験と実践を行う必要がある。基本的理学療法の獲得を目的にしたスキルチェック表と当院の疾患別の患者に対して,評価では短時間で安全かつ効率的に実施できる方法と臨床実践で適応できない場合の応用方法,そして訓練では日々の体調や訓練中の変化に即時に対応し,継続,変更,中止の指示基準が必要であると考える。
臨床実習教育の目標に「理学療法の対象者に対して,基本的理学療法を経験し実践できる」が掲げられている。しかし,臨床実習時間(単位数)の減少,患者権利意識や個人情報保護の高まり,臨床実習指導の質の担保困難といった社会情勢の変化によって基本的理学療法の経験と実践が難しくなっているが,詳細な報告は少ない。また急性期施設である当院では疾患別の業務体系にて運用しているため,臨床実習学生は配置されるグループによって経験する疾患やその理学療法評価や訓練にも差が生じると考える。今回は当院における疾患別グループごとの基本的理学療法の経験と実践の現状を把握し,臨床実習教育への対応を検討する。
【方法】
平成28年4月1日から10月31日の間で当院にて臨床実習(6週間以上)を行った臨床実習学生15名(大学6校,短期大学3校,4年専門学校2校,3年専門学校4校)を対象とし,当院の運動器,脳血管,内部障害,循環器のグループに配置させた。臨床実習の基本的理学療法の評価項目としてバイタルサイン,関節可動域測定,徒手筋力検査法,感覚検査,基本動作とし,訓練項目として関節可動域訓練,筋力増強訓練,運動療法,物理療法,日常生活動作訓練とした。一日に介入した患者ごとに経験と実践した両項目を見学,模倣,実施として記載させた。
【結果】
運動器にて臨床実習の総日数は120日,介入した患者の述べ人数は984名,見学と実践の総回数は2995回であり,その内評価見学,訓練見学,評価模倣,訓練模倣,評価実施,訓練実施の順で16%,75%,0%,2%,5%,2%であった。脳血管にて総日数は130日,述べ人数は909名,総回数は3473回であり,同様に19%,53%,0%,2%,15%,11%であった。内部障害にて総日数は130日,述べ人数は694名,総回数は2367回であり,同様に20%,44%,2%,8%,10%,16%であった。循環器にて総日数は111日,述べ人数は1095名,総回数は3358回であり,同様に13%,29%,0%,5%,28%,25%であった。
【結論】当院での臨床実習では見学が66%,模倣がわずかに5%,実施が29%と見学の割合が高かった。疾患別では運動器,脳血管,内部障害,循環器の順で訓練の見学の割合が低く,評価と訓練の実施の割合が高かったことは注目すべきことであると考える。当院の臨床実習教育において病態変化に基づく適切なリスク管理下で基本的理学療法の経験と実践を行う必要がある。基本的理学療法の獲得を目的にしたスキルチェック表と当院の疾患別の患者に対して,評価では短時間で安全かつ効率的に実施できる方法と臨床実践で適応できない場合の応用方法,そして訓練では日々の体調や訓練中の変化に即時に対応し,継続,変更,中止の指示基準が必要であると考える。