[P-ED-06-4] 文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」における臨床実習の充実を図る学部教育の取組みが職業的アイデンティティの形成におよぼす効果
キーワード:課題解決型高度医療人材養成プログラム, 臨床実習, 職業的アイデンティティ
【目的】長崎大学医学部保健学科(本学科)では,平成26年度に文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」事業に採択され,職業的アイデンティティ形成を目的とした学部教育の充実を図っている。具体的には,臨床実習における大学教員-実習指導者-学生間の相互連携が不十分である課題に対し,これを解消し新たな教育指導体制の構築を目指している。本研究では,臨床実習の充実を図る学部教育の取組みを紹介し,学生の職業的アイデンティティ形成におよぼす効果を検討した。
【方法】本学科での長期臨床実習は,4週間の総合臨床実習I(3年次後期開講)とそれぞれ7週間の総合臨床実習II・III(4年次前期開講)から構成されている。臨床実習教育の充実を目的に,実習指導者を非常勤講師に任用し臨床実習前教育を強化するとともに,臨床実習後の学内セミナーに実習指導者も参加する取組みを行っている。そして,このような取組みを通して学生の職業的アイデンティティの形成を教育目標としている。本研究では,総合臨床実習を完遂したPT専攻4年次18名を対象に,本取組みの効果を検討した。職業的アイデンティティは,大橋らによって報告された質問紙(20項目)に一部項目を追加した質問紙(26項目)を用いて評価した。本質問紙は,各項目に対して7段階「1:全くあてはまらない,2:あてはまらない,3:あまりあてはまらない,4:どちらとも言えない,5:少しあてはまる,6:あてはまる,7:非常にあてはまる」での回答を求めるものであり,総合臨床実習I開始前と総合臨床実習III終了時に実施した。分析は,実習開始前と終了時の質問紙合計得点ならびに各項目得点についてWilcoxonの符号付順位検定を用いて比較するとともに,学内セミナーに参加した実習指導者と学生から本取組みに対するコメントを聴取した。
【結果】実習終了時の質問紙合計得点(平均147.7点)は,実習開始前の質問紙合計得点(平均124.5点)に比べ有意に増加していた(p=0.001)。また,項目別には「多職種協働」や「患者や社会への貢献」以外の項目において実習前後で得点が有意に増加していた。次に,学内セミナーに参加した実習指導者は,実習Iでは18施設中9施設11名,実習IIでは18施設中11施設13名,実習IIIでは18施設中5施設9名であり,そのコメントは,「学内での指導内容を知る貴重な機会となった」「他施設の指導内容や取組みは参考になった」等の良好なコメントが多かった。また,本取組みについて「とても有用である」と回答した学生は9名(50%),「有用である」と回答した学生は9名(50%)であった。
【結論】本学科における臨床実習の充実を図る学部教育は,大学教員-実習指導者-学生間の相互連携が強化できており,学生の職業的アイデンティティの形成に有効であることが示唆された。今後は,「チーム医療」や「社会貢献への志向」を高める取組みを検討する必要がある。
【方法】本学科での長期臨床実習は,4週間の総合臨床実習I(3年次後期開講)とそれぞれ7週間の総合臨床実習II・III(4年次前期開講)から構成されている。臨床実習教育の充実を目的に,実習指導者を非常勤講師に任用し臨床実習前教育を強化するとともに,臨床実習後の学内セミナーに実習指導者も参加する取組みを行っている。そして,このような取組みを通して学生の職業的アイデンティティの形成を教育目標としている。本研究では,総合臨床実習を完遂したPT専攻4年次18名を対象に,本取組みの効果を検討した。職業的アイデンティティは,大橋らによって報告された質問紙(20項目)に一部項目を追加した質問紙(26項目)を用いて評価した。本質問紙は,各項目に対して7段階「1:全くあてはまらない,2:あてはまらない,3:あまりあてはまらない,4:どちらとも言えない,5:少しあてはまる,6:あてはまる,7:非常にあてはまる」での回答を求めるものであり,総合臨床実習I開始前と総合臨床実習III終了時に実施した。分析は,実習開始前と終了時の質問紙合計得点ならびに各項目得点についてWilcoxonの符号付順位検定を用いて比較するとともに,学内セミナーに参加した実習指導者と学生から本取組みに対するコメントを聴取した。
【結果】実習終了時の質問紙合計得点(平均147.7点)は,実習開始前の質問紙合計得点(平均124.5点)に比べ有意に増加していた(p=0.001)。また,項目別には「多職種協働」や「患者や社会への貢献」以外の項目において実習前後で得点が有意に増加していた。次に,学内セミナーに参加した実習指導者は,実習Iでは18施設中9施設11名,実習IIでは18施設中11施設13名,実習IIIでは18施設中5施設9名であり,そのコメントは,「学内での指導内容を知る貴重な機会となった」「他施設の指導内容や取組みは参考になった」等の良好なコメントが多かった。また,本取組みについて「とても有用である」と回答した学生は9名(50%),「有用である」と回答した学生は9名(50%)であった。
【結論】本学科における臨床実習の充実を図る学部教育は,大学教員-実習指導者-学生間の相互連携が強化できており,学生の職業的アイデンティティの形成に有効であることが示唆された。今後は,「チーム医療」や「社会貢献への志向」を高める取組みを検討する必要がある。