第52回日本理学療法学術大会

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[P-ED-08] ポスター(教育)P08

2017年5月13日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-08-4] 3年次臨床実習における理学療法学生のソーシャルスキルとストレス対処方略との関連性

樋口 大輔1, 越後 あゆみ2 (1.高崎健康福祉大学, 2.東北メディカル学院)

キーワード:臨床実習, ソーシャルスキル, ストレス対処方略

【はじめに,目的】

臨床実習におけるストレス対処方略の中で問題解決を先送りする回避型方略を頻用する人ほどストレス度が高いことが分かっているが,その回避型方略を使用する傾向にある人を事前に予測できるかどうかの検証はなされていない。そこで,本研究の目的を,臨床実習において回避型方略を使用し,高ストレス状態におちいるリスクのある人を事前に予測できるかどうかを検討することとし,日常のソーシャルスキルと臨床実習中の接近型方略・回避型方略との関連性を検証した。

【方法】

4年制理学療法士養成校2校の理学療法学科3年生で,評価実習に取り組んだ人を対象とした。ただし,評価実習を途中で中断した人は除外した。評価実習終了1週以内の対象者に無記名式アンケート調査用紙を配布した。日常のソーシャルスキルは「日常生活スキル尺度(大学生版)」,ストレス対処方略は「3次元コーピング尺度」を用いて調査した。日常生活スキル尺度は計画性,情報要約力,自尊心,前向きな思考,親和性,リーダーシップ,感受性,対人マナーに分類され(各3~12点),前4者は個人的スキル,後4者は対人スキルとされる。3次元コーピング尺度は情報収集,肯定的解釈,計画立案,カタルシス,放棄・諦め,回避的思考,気晴らし,責任転嫁に分類され,前4者は接近型方略,後4者は回避型方略とされる。なお,得点が高いほどソーシャルスキルが高いまたは対処方略の使用頻度が高いことを表す。日常生活スキル尺度の下位尺度の得点分布を確認したのち,3次元コーピング尺度の下位尺度の得点とのスピアマンの相関係数を求めた。なお,相関係数の算出にあたっては性別を統制変数とした。

【結果】

76人中56人(73.7%)から完全な回答が得られた(年齢の中央値21歳;男性27人,女性29人)。計画性,情報要約力,自尊心,前向きな思考,親和性,リーダーシップ,感受性,対人マナーの中央値(四分位偏差)はそれぞれ6(1.0)点,6(1.0)点,7(1.1)点,7(1.5)点,9(1.5)点,6(1.0)点,9(1.0)点,10(1.0)点であった。個人的スキルは接近型方略との正の相関を認めた一方で(rs=0.31[情報要約力vs計画立案],p=0.02;rs=0.41[自尊心vs肯定的解釈],p=0.00),回避型方略との負の相関を認めた(rs=-0.33[情報要約力vs放棄・諦め],p=0.01;rs=-0.28[自尊心vs放棄・諦め],p=0.04)。対人スキルである親和性はいくつかの接近型方略(rs=0.28~0.40,p=0.00~0.04)とともに回避型方略のひとつである気晴らし(rs=0.31,p=0.02)とも正の相関を認めた。

【結論】

われわれの調査対象においては,対人スキルと比較して個人的スキルが低かったうえ,情報要約力や自尊心が低い人ほど臨床実習関連ストレスに対して回避型方略を頻用していた。この知見は,これらの個人的スキルが低い人は臨床実習において高ストレス状態となるリスクが高い人であることを示唆する。