[P-ED-14-5] 当院リハビリテーション科におけるリハビリ中の転倒・転落事例分析
Keywords:転倒転落, 事例分析, 安全管理
【はじめに,目的】
当院リハビリテーション科(以下リハ科)では平成28年度よりリハ科の転倒転落委員会によって,リハビリ中の転倒転落事例に対して当事者とカンファレンスを行うこととした。
今年度に入り,リハビリ中の転倒事例が現在に至るまで12件,昨年度総数23件の事例が挙げられた。本研究は平成27年度から平成28年10月までに提出された事例報告書に対して分析を行い,当院リハ科の事例の傾向,危険因子を調査し転倒転落の防止対策を検討することを目的とした。
経験年数や職種間,患者状況や事故の発生状況の傾向を調査しリハ科の安全管理について検討したので報告する。
【方法】
対象は2015年4月~2016年9月までに提出されたリハビリ介入中に発生した転倒転落事例報告書35件とした。35件の事例に対してセラピスト概要(職種・経験年数),対象患者の概要(年齢・診療科・認知症の有無),事故の発生状況(患者の動作,介助量)について内容分析,比率分析を行った。
事例報告書35件中記載漏れのなかった23件の事例報告書を経験年数(1~3年目,4~6年目,7年目以上)と転倒時の患者の動作(歩行,立ち上がり,立位,座位)・介助量(自立,見守り,軽介助,全介助)で群分けし,それぞれの関連性を比較した。統計学的手法はMann-WhitneyのU検定を用い,解析にはR2.8.1を使用した(有意水準5%)。
【結果】
対象期間内に提出された事例報告書総数280件中転倒事例は35件(12.5%)。
35件中,PTが26名(74.3%),OTが9名(25.7%),STは0名,1年目が全体の43.5%を占めていた。患者概要では脳外科が18名(51.4%),認知症を有するものが14名,視力障害2名,高次脳機能障害3名,病識の欠如2名。年代別では70~90代で31名(88.6%)。事故の発生状況は発生場所としてリハビリ室で14件(40%),患者の動作では歩行中が13件(37.1%),立ち上がり・立位時に8件(22.8%)。動作の介助レベルは自立3件(8.6%),見守り18件(51.4%),軽介助13件(37.1%),全介助1件(2.9%)であった。
経験年数と転倒時の動作・介助量それぞれに有意差はみられなかった(n.s)。
【結論】
転倒事例の傾向として職種間では新人のPTの介入中に多くみられた。当院リハ科のPTの在籍数も全スタッフ92人中60名とPTの割合が多く,新人も27,8年度と各10名以上が入職したことも要因と考えられる。
経験年数と患者の動作,介助量に有意差はみられず,経験年数を問わず様々な動作中に転倒が発生していた。35件の転倒事例の内セラピストが見守りをしていたにも関わらず支えきれずに転倒してしまった事例が多くみられた。歩行の13件中9件は見守りであったことから,今後リハ科での見守りの判断基準の検討も必要となってくると考えられる。新人教育での歩行評価の指導や科内全体への見守り中の注意点,KYTでの安全管理能力の向上を目的とした講習会を検討していく。
当院リハビリテーション科(以下リハ科)では平成28年度よりリハ科の転倒転落委員会によって,リハビリ中の転倒転落事例に対して当事者とカンファレンスを行うこととした。
今年度に入り,リハビリ中の転倒事例が現在に至るまで12件,昨年度総数23件の事例が挙げられた。本研究は平成27年度から平成28年10月までに提出された事例報告書に対して分析を行い,当院リハ科の事例の傾向,危険因子を調査し転倒転落の防止対策を検討することを目的とした。
経験年数や職種間,患者状況や事故の発生状況の傾向を調査しリハ科の安全管理について検討したので報告する。
【方法】
対象は2015年4月~2016年9月までに提出されたリハビリ介入中に発生した転倒転落事例報告書35件とした。35件の事例に対してセラピスト概要(職種・経験年数),対象患者の概要(年齢・診療科・認知症の有無),事故の発生状況(患者の動作,介助量)について内容分析,比率分析を行った。
事例報告書35件中記載漏れのなかった23件の事例報告書を経験年数(1~3年目,4~6年目,7年目以上)と転倒時の患者の動作(歩行,立ち上がり,立位,座位)・介助量(自立,見守り,軽介助,全介助)で群分けし,それぞれの関連性を比較した。統計学的手法はMann-WhitneyのU検定を用い,解析にはR2.8.1を使用した(有意水準5%)。
【結果】
対象期間内に提出された事例報告書総数280件中転倒事例は35件(12.5%)。
35件中,PTが26名(74.3%),OTが9名(25.7%),STは0名,1年目が全体の43.5%を占めていた。患者概要では脳外科が18名(51.4%),認知症を有するものが14名,視力障害2名,高次脳機能障害3名,病識の欠如2名。年代別では70~90代で31名(88.6%)。事故の発生状況は発生場所としてリハビリ室で14件(40%),患者の動作では歩行中が13件(37.1%),立ち上がり・立位時に8件(22.8%)。動作の介助レベルは自立3件(8.6%),見守り18件(51.4%),軽介助13件(37.1%),全介助1件(2.9%)であった。
経験年数と転倒時の動作・介助量それぞれに有意差はみられなかった(n.s)。
【結論】
転倒事例の傾向として職種間では新人のPTの介入中に多くみられた。当院リハ科のPTの在籍数も全スタッフ92人中60名とPTの割合が多く,新人も27,8年度と各10名以上が入職したことも要因と考えられる。
経験年数と患者の動作,介助量に有意差はみられず,経験年数を問わず様々な動作中に転倒が発生していた。35件の転倒事例の内セラピストが見守りをしていたにも関わらず支えきれずに転倒してしまった事例が多くみられた。歩行の13件中9件は見守りであったことから,今後リハ科での見守りの判断基準の検討も必要となってくると考えられる。新人教育での歩行評価の指導や科内全体への見守り中の注意点,KYTでの安全管理能力の向上を目的とした講習会を検討していく。