The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » ポスター発表

[P-ED-19] ポスター(教育)P19

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本理学療法教育学会

[P-ED-19-1] 当室キャリア開発と収入アップへの取り組み

朴 容成1, 中川 一彦2 (1.医療法人甲風会有馬温泉病院総合リハビリテーション室, 2.医療法人甲風会有馬温泉病院)

Keywords:クリニカルラダー, キャリア開発, ベースアップ

【はじめに,目的】

インターネットを利用し,「理学療法士 未来」をキーワードに検索すると,将来への不安に対するページが多いように感じる。特に給与について,将来の見通しがつかないことがひとつ影響しているのではないか。今回,総合リハビリテーション室(以下当室)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下セラピスト)の明るい未来への取り組みとして,クリニカルラダーと整合した給与表を定め,これからのキャリアと収入の両面アップを図ることとした。

当室のクリニカルラダーと給与表を紹介する。



【方法】

平成26年4月から平成27年3月の間,次年度のベースアップ交渉を図り,当室の量的(売上)確保に取り組んだ。その実績をもとに,第一段階は,経験年数と整合した給与表を定め,平成27年4月1日時点に在職するセラピストの給与をそれに沿ってベースアップすることとした。第二段階は,当室の質的(教育)確保を図り,3つの構成要素(臨床実践能力,役割遂行能力,教育・研究能力)からなるクリニカルラダーを作成した。これをレベルIからVIの計54ランクに区分し,平成28年4月1日時点に在籍するセラピストの給与をそれに沿ってベースアップすることとした。その他,大学院を卒業した者,認定療法士,資格を有する者などに手当を付加することとした。



【結果】

今回,理学療法士12名,作業療法士7名,言語聴覚士5名が給与見直しの対象となった。第一段階では,理学療法士10名,作業療法士6名,言語聴覚士3名が収入プラスの結果となった。第二段階では,理学療法士4名,作業療法士3名が収入プラスとなった。

平成28年10月1日時点の当室理学療法士では,経験年数3年以上の者すべてが日本理学療法士協会新人教育プログラム修了し,認定理学療法士2名,その他資格を取得する者が増えた。また学会発表にも積極的に取り組み,来年度に向け認定療法士を目指す者は4名,他の資格取得を目指す者が8名となった。



【結論】

当室は,昭和40年代からリハビリテーション科を標榜する歴史ある病院であり,その頃からの在籍者や経験年数5年未満の者など幅広い経験層のセラピストが在籍している。長きにわたる病院経営状況やセラピスト需要程度が影響し,採用時の条件やその後のベースアップに浮き沈みが生じ,将来,セラピストが安心して働ける環境ではなかった。今回,クリニカルラダーと整合した給与表を設けることで,将来の給与の見通しがつき,認定療法士,学会発表,資格を取得する者が増え,またそれらを目指す者も増え,キャリア開発にもつながった。