[P-HT-01-1] 息切れに着目した当院における急性心不全患者に対する理学療法プログラム進行状況と在院日数の関係
Keywords:心不全, 息切れ, 在院日数
【はじめに,目的】急性心不全患者に対しては,早期から理学療法と教育・カウンセリングからなる心臓リハビリを導入することが推奨されている。また,安静時の症状がなければ,静脈投与中であっても低強度の理学療法を行うこと,自立座位が可能になれば座位時間を延長し立位練習を行うとしている(急性心不全治療ガイドライン,心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン。日本循環器学会)。しかし,急性心不全患者に対する理学療法プログラムの進行基準に関しては,具体的な指標を示した報告が少ないのが現状である。本研究の目的は,心不全患者に特徴的な症状である息切れに着目し,①急性心不全患者に対する理学療法進行の判断状況について当院での現状を把握すること,②在院日数との関係を明らかにすることである。
【方法】対象は,2016年6月~9月までに当院へ心不全加療目的で入院となり,自宅退院可能であった58例とした。年齢は78.1±12.3歳,男性29例(50.0%),BMI 22.9±4.2kg/m2であった。入院時左室駆出率は,47.5±17.3%,入院時BNPは,827.0±681.0 pg/mLであった。心不全原因疾患の内訳は,虚血性心疾患13例,心筋症10例,弁膜症13例,不整脈18例,先天性心疾患1例,その他3例であった。息切れの評価は,7 point Likert scale(1~7)を用い,端座位,立位の各開始時に担当理学療法士が質問紙を用いて評価した。また,カルテより後方視的に基礎情報,理学療法進行状況(理学療法開始日,端座位・立位・歩行開始日)を調査した。統計学的解析は,端座位・立位開始時のLikert scaleの比率の比較にカイ二乗適合度検定,Likert scaleと在院日数との関係をSpearmanの順位相関係数,端座位・立位各開始時Likert scaleと入院中心血管イベントの有無とをMann-WhitneyのU検定を用いて検討した。危険率は5%未満とした。
【結果】理学療法プログラムにおける各開始日(病日)は,理学療法開始日3.3±1.9日,端座位3.4±1.9日,立位3.5±1.9日,歩行3.7±2.0日であった。端座位と立位を同日に開始した58例における端座位時Likert scale(scale;例)は,1;45例,2;6例,3;3例,5;4例で有意差を認めた(P<0.01)。立位と歩行を同日に開始した50例における立位時Likert scaleは,1;39例,2;7例,3;3例,4;1例で有意差を認めた(P<0.001)。端座位開始時Likert scaleと在院日数との相関係数は,ρs=0.425(P<0.05),立位開始時Likert scaleと在院日数との相関係数は,ρs=0.462(P<0.01)で各々に有意な正の相関を認めた。端座位開始時Likert scaleと入院中イベントの有無には有意差を認めず,立位開始時Likert scaleと入院中イベントの有無に有意差を認めた(P<0.001)。
【結論】当院における息切れに着目した立位および歩行開始の理学療法士による判断基準は,その程度にバラつきがあった。また,端座位・立位開始時の息切れの程度が強いほど在院日数が長くなる。
【方法】対象は,2016年6月~9月までに当院へ心不全加療目的で入院となり,自宅退院可能であった58例とした。年齢は78.1±12.3歳,男性29例(50.0%),BMI 22.9±4.2kg/m2であった。入院時左室駆出率は,47.5±17.3%,入院時BNPは,827.0±681.0 pg/mLであった。心不全原因疾患の内訳は,虚血性心疾患13例,心筋症10例,弁膜症13例,不整脈18例,先天性心疾患1例,その他3例であった。息切れの評価は,7 point Likert scale(1~7)を用い,端座位,立位の各開始時に担当理学療法士が質問紙を用いて評価した。また,カルテより後方視的に基礎情報,理学療法進行状況(理学療法開始日,端座位・立位・歩行開始日)を調査した。統計学的解析は,端座位・立位開始時のLikert scaleの比率の比較にカイ二乗適合度検定,Likert scaleと在院日数との関係をSpearmanの順位相関係数,端座位・立位各開始時Likert scaleと入院中心血管イベントの有無とをMann-WhitneyのU検定を用いて検討した。危険率は5%未満とした。
【結果】理学療法プログラムにおける各開始日(病日)は,理学療法開始日3.3±1.9日,端座位3.4±1.9日,立位3.5±1.9日,歩行3.7±2.0日であった。端座位と立位を同日に開始した58例における端座位時Likert scale(scale;例)は,1;45例,2;6例,3;3例,5;4例で有意差を認めた(P<0.01)。立位と歩行を同日に開始した50例における立位時Likert scaleは,1;39例,2;7例,3;3例,4;1例で有意差を認めた(P<0.001)。端座位開始時Likert scaleと在院日数との相関係数は,ρs=0.425(P<0.05),立位開始時Likert scaleと在院日数との相関係数は,ρs=0.462(P<0.01)で各々に有意な正の相関を認めた。端座位開始時Likert scaleと入院中イベントの有無には有意差を認めず,立位開始時Likert scaleと入院中イベントの有無に有意差を認めた(P<0.001)。
【結論】当院における息切れに着目した立位および歩行開始の理学療法士による判断基準は,その程度にバラつきがあった。また,端座位・立位開始時の息切れの程度が強いほど在院日数が長くなる。