[P-HT-02-1] 個別心臓リハビリテーションを施行した高齢患者の臨床的特徴
Keywords:個別心リハ, 高齢患者, 臨床的特徴
【はじめに,目的】
高齢患者はデコンディショニングのため集団での心臓リハビリテーション(リハ)が困難な場合が多く,個別リハを要する場合も少なくない。本研究では個別に心リハを施行した高齢患者の臨床的特徴について検討した。
【方法】
研究デザインは2015年1月~2016年8月に当院で心リハを施行した65歳以上の高齢患者32名を対象とした後ろ向きコホート研究。対象者を,デコンディショニングのため個別心リハを施行した17名(個別群:心臓術後7名,心不全5名,大血管術後5名)と,通常の集団心リハを施行できた15名(集団群:心臓術後14名,心不全1名)の2群に分け,2群間の単変量解析を行った。個別群は介入前に自立歩行が困難で,有酸素運動にアシスト機能付エルゴメータを用い,個別の歩行練習やレジスタンストレーニングを必要とした。解析に用いた情報は,自宅復帰率,BNP,呼吸機能,身体機能,生体インピーダンス法による体組成分析,膝伸展筋力,等とした。統計はMann-WhitneyのU検定,χ2検定を用いて,有意水準を5%とした。
【結果】
2群間の比較では,個別群は集団群に比べてより高齢(82±6 vs 73±5,歳)であり,介入前後の肺活量(前:1.6±0.3vs2.0±0.5,後:1.9±0.2vs2.6±0.6,L),10m歩行時間(前:15±2vs11±2,後:12±1vs9±2,秒),BMI(前:21.2±2.8vs23.4±1.9,後:20.9±2.5 vs23.3±2.0,kg/m2),膝伸展筋力(前:8.6±3.4vs20.3±5.8,後:10.8±4.4vs23.1±6.5,kg),FIM(前:93±23vs119±4,後:108±18vs125±2,点)が低値であった。また,個別群では介入後の6MD(229±101 vs 405±66,m)と骨格筋指数(5.7±0.9 vs 6.6±1.0,kg/m2)も低値であった。性別,リハ期間,自宅復帰率,BNP,1秒率,脂肪量では2群間で差を認めなかった。さらに,個別群は介入前後で10m歩行時間,BMI,骨格筋指数や膝伸展筋力の有意な改善を認めなかったものの,6MD,肺活量やFIMは有意に向上した。
【結論】
心リハで個別対応を要した患者は高齢であり,介入前後の呼吸機能,歩行速度,肥満,筋力やADLは低く,リハ後の運動能力や骨格筋指数も低値であったが,個々の能力に応じたリハを実施することで運動能力や呼吸機能,ADLが向上することが示唆された。
高齢患者はデコンディショニングのため集団での心臓リハビリテーション(リハ)が困難な場合が多く,個別リハを要する場合も少なくない。本研究では個別に心リハを施行した高齢患者の臨床的特徴について検討した。
【方法】
研究デザインは2015年1月~2016年8月に当院で心リハを施行した65歳以上の高齢患者32名を対象とした後ろ向きコホート研究。対象者を,デコンディショニングのため個別心リハを施行した17名(個別群:心臓術後7名,心不全5名,大血管術後5名)と,通常の集団心リハを施行できた15名(集団群:心臓術後14名,心不全1名)の2群に分け,2群間の単変量解析を行った。個別群は介入前に自立歩行が困難で,有酸素運動にアシスト機能付エルゴメータを用い,個別の歩行練習やレジスタンストレーニングを必要とした。解析に用いた情報は,自宅復帰率,BNP,呼吸機能,身体機能,生体インピーダンス法による体組成分析,膝伸展筋力,等とした。統計はMann-WhitneyのU検定,χ2検定を用いて,有意水準を5%とした。
【結果】
2群間の比較では,個別群は集団群に比べてより高齢(82±6 vs 73±5,歳)であり,介入前後の肺活量(前:1.6±0.3vs2.0±0.5,後:1.9±0.2vs2.6±0.6,L),10m歩行時間(前:15±2vs11±2,後:12±1vs9±2,秒),BMI(前:21.2±2.8vs23.4±1.9,後:20.9±2.5 vs23.3±2.0,kg/m2),膝伸展筋力(前:8.6±3.4vs20.3±5.8,後:10.8±4.4vs23.1±6.5,kg),FIM(前:93±23vs119±4,後:108±18vs125±2,点)が低値であった。また,個別群では介入後の6MD(229±101 vs 405±66,m)と骨格筋指数(5.7±0.9 vs 6.6±1.0,kg/m2)も低値であった。性別,リハ期間,自宅復帰率,BNP,1秒率,脂肪量では2群間で差を認めなかった。さらに,個別群は介入前後で10m歩行時間,BMI,骨格筋指数や膝伸展筋力の有意な改善を認めなかったものの,6MD,肺活量やFIMは有意に向上した。
【結論】
心リハで個別対応を要した患者は高齢であり,介入前後の呼吸機能,歩行速度,肥満,筋力やADLは低く,リハ後の運動能力や骨格筋指数も低値であったが,個々の能力に応じたリハを実施することで運動能力や呼吸機能,ADLが向上することが示唆された。