第52回日本理学療法学術大会

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日本心血管理学療法学会 » ポスター発表

[P-HT-02] ポスター(心血管)P02

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本心血管理学療法学会

[P-HT-02-3] 1986年から2015年に学術誌「理学療法学」に発表された論文の計量書誌学的分析~心血管理学療法領域に着目して~

村上 雅仁1, 樋室 伸顕2, 泉水 朝貴1, 日高 惠喜3, 小林 英司4 (1.つじもと整形外科, 2.札幌医科大学医学部公衆衛生学講座, 3.あらき整形外科, 4.札幌山の上病院リハビリテーション部)

キーワード:計量書誌学的分析, 心血管理学療法領域, 理学療法学

【はじめに,目的】日本理学療法士協会は学術誌として「理学療法学」を発刊しているが,理学療法学投稿規定の目的において,(1)理学療法学および関連する分野の研究を公表し,理学療法学を発展させる,(2)理学療法士の卒後教育に資する教育的な論文を掲載する等と記され,我々理学療法士における発表の場の一つとして捉えられている。そこで本研究の目的は過去30年間に報告された研究論文全てを計量書誌学的分析し,特に心血管理学療法領域に着目して分析することとした。

【方法】方法は,CiNiiのウェブサイト上において1986年から2015年に報告された論文を検索した。取り込み基準として,(1)原著論文,システマティックレビュー,症例報告,(2)論文のための一次的データ収集をしていることとした。除外基準は,学会や研修会の発表をまとめた論文と学会抄録とした。先行研究を参考にコード表を作成し,論文の特徴をコード化した。解析対象は,筆頭筆者の所属,研究デザイン,論文の目的などとした。コード化は2人の研究者が独立して行った。統計学的処理は各データを数量的に度数分布として分析し,年次推移は線形回帰分析で検討した。

【結果】1986年から2015年に発表された論文数は1111論文であった。心血管理学療法領域の解析対象は,41(3.7%)であった。1987年に初めて1論文が報告され,1990年,1991年で各1論文と心血管理学療法領域の論文が少なかったが,年次推移において増加する傾向がみられた。筆者の所属は,大学附属病院が21(51%),病院が19(46%)であり,医療機関での報告が多数であった。研究デザインは,被験者内・被験者間研究が11(27%),前方視的研究が9(22%),後方視的研究が7(17%)であった。症例報告1(2%),質的研究は0であった。年次推移においては,前方視的研究が増加した。論文の目的は,病因と治療が各々14(34%)と多く,予後が10(24%)であった。予防や診断は0であった。統計分析は,t検定とχ二乗検定が各々24(24%)と多く,次いでANOVAが10(10%),Pearsonの相関分析が9(9%)であった。年次推移においては,平均してχ二乗検定が多く用いられ,ANOVAが増加する傾向がみられた。

【結論】今回,「理学療法学」の30年間の特徴が明らかになった。心血管理学療法領域においては,筆者の所属に特徴がみられ,ほとんどの筆者が医療機関所属であった。対象者の疾患が大きく関与していると示唆された。また,多変量解析を使用した論文が多い事も特徴であった。今後は更に専門的な病院における疾患に対する研究手法を検討する課題も認められた。本研究の限界は研究方法や報告の質,エビデンスレベルを検証していないこと,分科学会の分類を研究者の判断で行ったことである。