[P-KS-04-3] 膝立ちからの一歩踏み出し動作の特徴
立位からのstep動作との比較から
Keywords:kneeling, step, 立位
<はじめに>
演者はバイオメカニカルデータの定量解析からkneelingからのstep動作(以下,kneeling動作)のメカニズムの解明を試み,足圧中心(以下,COP)は動作開始相でstep脚前方に移動することを報告した。
一方歩き始めや立位からのstep動作(以下,立位動作)では,動作開始相でCOPがstep脚後方に移動することがわかっている。
Kneeling動作と立位動作は最終的には新たな支持基底面内に重心(以下,COG)を移動するという力学的課題は同じであるが,COPの移動軌跡には相違がみられ,それぞれの動作的特性が内在しているものと思われる。
本研究の目的は,立位動作との比較からkneeling動作の特徴を明らかにすることである。
<対象および方法>
対象は健常男性11名で,平均年齢は21.6歳であった。
課題運動はkneeling動作,立位動作とし,本実験では測定者の口頭指示後に自然速でのstep動作を3回試行させた。課題はkneeling動作,立位動作の順で行い,step脚はボールをキックする脚とし,全被験者が右脚であった。
実験では赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社製),床反力計(BP6001200,AMTI社製)4台を使用した。
分析項目は各方向の床反力(以下,GRF)ピーク値,その時のCOP,COG,股関節モーメント(以下,股関節M)・パワー,体幹角度,骨盤角度,そしてCOP,COG側方最大移動量,体幹,骨盤最大傾斜角とし,kneeling動作と立位動作の各測定項目における比較検討を行った。
各測定項目の比較には各データをShapiro-Wilk検定にて正規性を確認し,正規性が認められた場合は対応のあるt検定を,正規性が認められない場合はWilcoxonの符号付順位和検定を行った。有意水準は5%とした。
<結果>
COG最大側方移動量,体幹最大左傾斜角度,骨盤最大左傾斜角度はkneeling動作で6.3cm/m,7.5°,18.5°,立位動作で4.4cm/m,2.6°,3.2°といずれもkneeling動作で有意に大きかった。
左方GRFピーク値はkneeling動作で有意に大きく,その時の左方向COG移動量,体幹左傾斜角,骨盤右傾斜角もkneeling動作で有意に大きかった。一方右股関節外転Mは立位動作で有意に大きく,左股関節外内転Mは立位動作が外転Mだったのに対してkneeling動作は内転Mだった。
右方GRFピーク値はkneeling動作で有意に大きく,その時の左方向COG移動量,体幹左傾斜角,骨盤左傾斜角もkneeling動作で有意に大きかった。一方左股関節外転Mは立位動作で有意に大きかった。
<結論>
Kneeling動作は動作開始時にstep脚股関節外転筋活動に加え,支持脚股関節内転筋活動,そして体幹左側屈運動により支持脚方向へのGRFを高めた戦略が行われ,立位動作より体幹・骨盤の左傾斜運動,支持脚へのCOG移動が大きいことが明らかになった。
演者はバイオメカニカルデータの定量解析からkneelingからのstep動作(以下,kneeling動作)のメカニズムの解明を試み,足圧中心(以下,COP)は動作開始相でstep脚前方に移動することを報告した。
一方歩き始めや立位からのstep動作(以下,立位動作)では,動作開始相でCOPがstep脚後方に移動することがわかっている。
Kneeling動作と立位動作は最終的には新たな支持基底面内に重心(以下,COG)を移動するという力学的課題は同じであるが,COPの移動軌跡には相違がみられ,それぞれの動作的特性が内在しているものと思われる。
本研究の目的は,立位動作との比較からkneeling動作の特徴を明らかにすることである。
<対象および方法>
対象は健常男性11名で,平均年齢は21.6歳であった。
課題運動はkneeling動作,立位動作とし,本実験では測定者の口頭指示後に自然速でのstep動作を3回試行させた。課題はkneeling動作,立位動作の順で行い,step脚はボールをキックする脚とし,全被験者が右脚であった。
実験では赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社製),床反力計(BP6001200,AMTI社製)4台を使用した。
分析項目は各方向の床反力(以下,GRF)ピーク値,その時のCOP,COG,股関節モーメント(以下,股関節M)・パワー,体幹角度,骨盤角度,そしてCOP,COG側方最大移動量,体幹,骨盤最大傾斜角とし,kneeling動作と立位動作の各測定項目における比較検討を行った。
各測定項目の比較には各データをShapiro-Wilk検定にて正規性を確認し,正規性が認められた場合は対応のあるt検定を,正規性が認められない場合はWilcoxonの符号付順位和検定を行った。有意水準は5%とした。
<結果>
COG最大側方移動量,体幹最大左傾斜角度,骨盤最大左傾斜角度はkneeling動作で6.3cm/m,7.5°,18.5°,立位動作で4.4cm/m,2.6°,3.2°といずれもkneeling動作で有意に大きかった。
左方GRFピーク値はkneeling動作で有意に大きく,その時の左方向COG移動量,体幹左傾斜角,骨盤右傾斜角もkneeling動作で有意に大きかった。一方右股関節外転Mは立位動作で有意に大きく,左股関節外内転Mは立位動作が外転Mだったのに対してkneeling動作は内転Mだった。
右方GRFピーク値はkneeling動作で有意に大きく,その時の左方向COG移動量,体幹左傾斜角,骨盤左傾斜角もkneeling動作で有意に大きかった。一方左股関節外転Mは立位動作で有意に大きかった。
<結論>
Kneeling動作は動作開始時にstep脚股関節外転筋活動に加え,支持脚股関節内転筋活動,そして体幹左側屈運動により支持脚方向へのGRFを高めた戦略が行われ,立位動作より体幹・骨盤の左傾斜運動,支持脚へのCOG移動が大きいことが明らかになった。