[P-KS-05-4] 二重課題下での手指動作課題の動作練習効果の検討
脳磁図を用いた報告
Keywords:脳磁図, 運動準備磁界(Readiness Fields:RF), 二重課題
【はじめに,目的】
近年,二重課題(Dual task:以下,DT)下でのパフォーマンスの低下と転倒リスクとの関連性が注目されている。DT条件下では,2つの課題への注意を適切に配分しながら課題を遂行することが要求される。この機能は前頭連合野が担っていると考えられており,課題に向けられる注意量にも限界があることが知られている。
歩行と同時に認知課題を課した際に,歩行安定性,歩行速度および姿勢制御機能が低下するとの報告がある。その際,動作に不安がある場合には,注意量が増大することが予想される。このような状態で認知課題を強制させると,動作に対する注意量が減少するため,動作パフォーマンスの低下が現れると考えられる。
そこで本研究では,手指動作と計算課題を同時に遂行させた際の手指動作に対する脳活動(注意量)が動作練習によって,どのように変化するのか検討した。また,注意量の指標は運動準備磁界(Readiness Fields:以下,RF)を評価した。そして,練習による注意量とパフォーマンスレベルの変化についても検討した。
【方法】
対象は健常成人とした。手指動作課題(利き手4指を用いたシークエンス課題)および計算課題のDTを遂行した際の脳磁場応答を計測した。計測は以下の手順で行った。
①DT下での脳磁場活動および動作課題の正確性,動作速度および計算課題の正答率を評価した。計測条件は,手指運動課題のみ,手指運動課題+計算課題(DT条件)の2条件とした。
②毎日5分間の手指運動(計測時と同じシークエンス課題)の練習を,1週間継続して行った。
③1週間後に再度,①と同様の評価を行い,動作練習前後での比較を行った。
【結果】
練習前と比べて練習後では,運動課題の正確性,動作速度および計算課題の正答率が向上した。また,RFが減少した。
【結論】
1週間の手指動作練習によって,RFが減少し,運動課題の正確性および動作速度が向上した。また,計算課題の正答率も増加した。動作の反復練習により,手指動作に要する注意量が減少し,計算課題に充てる注意量が増加したものと考えられる。
本研究では,動作の反復練習が,二重課題下での注意配分の改善につながる可能性を示した。転倒リスクの高い患者への運動学習方法考案の一助となると期待される。
近年,二重課題(Dual task:以下,DT)下でのパフォーマンスの低下と転倒リスクとの関連性が注目されている。DT条件下では,2つの課題への注意を適切に配分しながら課題を遂行することが要求される。この機能は前頭連合野が担っていると考えられており,課題に向けられる注意量にも限界があることが知られている。
歩行と同時に認知課題を課した際に,歩行安定性,歩行速度および姿勢制御機能が低下するとの報告がある。その際,動作に不安がある場合には,注意量が増大することが予想される。このような状態で認知課題を強制させると,動作に対する注意量が減少するため,動作パフォーマンスの低下が現れると考えられる。
そこで本研究では,手指動作と計算課題を同時に遂行させた際の手指動作に対する脳活動(注意量)が動作練習によって,どのように変化するのか検討した。また,注意量の指標は運動準備磁界(Readiness Fields:以下,RF)を評価した。そして,練習による注意量とパフォーマンスレベルの変化についても検討した。
【方法】
対象は健常成人とした。手指動作課題(利き手4指を用いたシークエンス課題)および計算課題のDTを遂行した際の脳磁場応答を計測した。計測は以下の手順で行った。
①DT下での脳磁場活動および動作課題の正確性,動作速度および計算課題の正答率を評価した。計測条件は,手指運動課題のみ,手指運動課題+計算課題(DT条件)の2条件とした。
②毎日5分間の手指運動(計測時と同じシークエンス課題)の練習を,1週間継続して行った。
③1週間後に再度,①と同様の評価を行い,動作練習前後での比較を行った。
【結果】
練習前と比べて練習後では,運動課題の正確性,動作速度および計算課題の正答率が向上した。また,RFが減少した。
【結論】
1週間の手指動作練習によって,RFが減少し,運動課題の正確性および動作速度が向上した。また,計算課題の正答率も増加した。動作の反復練習により,手指動作に要する注意量が減少し,計算課題に充てる注意量が増加したものと考えられる。
本研究では,動作の反復練習が,二重課題下での注意配分の改善につながる可能性を示した。転倒リスクの高い患者への運動学習方法考案の一助となると期待される。