The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-12] ポスター(基礎)P12

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-12-2] Cancer Functional Assessment Setを用いた終末期がん患者の身体機能評価に関する検討

岡田 努1,2, 三浦 靖史2 (1.淀川キリスト教病院, 2.神戸大学大学院保健学研究科)

Keywords:評価尺度, がん, 離床

【はじめに,目的】

Cancer Functional Assessment Set(以下,cFAS)は,宮田らによって開発された“がん患者の身体機能”の評価尺度である。cFASは関節可動域・筋力・感覚・バランス・動作能力・活動性に関する15項目について評価し,最高点は102点となる。cFASの特長は,簡便に短時間に評価が可能な点である。当院では,2013年1月からリハビリテーションを実施するがん患者に対し,cFASでの記録を行っている。今回,cFASによる終末期がん患者の身体機能の評価の変化について解析を行った。本研究の目的は,cFASによる身体機能評価のリハビリテーションを実施している終末期がん患者における有用性を検討することである。

【方法】

対象は,2013年1月1日~2014年3月31日に当院でがんリハビリテーションとして理学療法を開始し,転帰が死亡となったがん患者。診療情報を,カルテより後方視的に抽出・分析した。属性として,性別・年齢・がんの原発部位・cFASの合計点数(以下,点数)・cFASを記録した回数(当院では,1週毎に記録することとしている)・最終離床日・最終離床状況(介助下も含む)・最終離床日~死亡日までの日数を抽出した。次に,最終離床日~死亡日が7日以内だった群(以下,7日以内)と,8日以降だった群(以下,8日以降)に分けて比較検討した。

【結果】

対象期間内に理学療法を開始し転帰が死亡となった症例は,合計41例であった。このうち,開始時から一度も離床できなかった症例,がん以外で死亡した症例,記録が不十分であった症例を除いた32例を対象とした。32名の内訳は,男性16例,女性16例,年齢74.9±10.2(45~91)歳,がんの原発部位:血液8例・肺7例・肝臓・大腸・子宮各3例・胃・胆管・乳腺・膀胱2例,cFAS点数53.9±19.2(6.0~84.7)点,cFASの記録回数3.2±4.6(1~24)回,最終の離床形態:歩行・車いす乗車・トイレ移動・ポータブルトイレ移動等,最終離床日~死亡日までの日数11.9±8.9(1~32)日,7日以内は14例(男性8例,女性6例),年齢73.7±12.0(45~86)歳,cFAS点数62.5±13.5(34.0~84.7)点,最終離床日~死亡日までの日数4.3±1.9(1~7)日。8日以降は18例(男性8例,女性10例),年齢75.8±8.8(62~91)歳,cFAS点数47.2±20.5(6.0~79.0)点,最終離床日~死亡日までの日数17.8±7.7(8~32)日であった。cFASを複数回記録した症例の点数については,その平均点を採用した。

7日以内の群のcFAS点数は,8日以降の群と比べ有意に高かった(p=0.025)。

【結論】

cFASは,がん患者の生命予後の予測ならびに,それに基づくがんリハビリテーションの計画立案に有用であることが示唆された。