[P-KS-12-4] 脊椎脊髄疾患患者の日常生活活動制限には痛み対する自己効力感も影響している
Keywords:慢性疼痛, 脊椎脊髄疾患, 自己効力感
【はじめに,目的】痛みによる日常生活活動(ADL)制限は身体活動量,下肢筋力や複合動作能力などの運動機能,うつ状態や転倒恐怖感といった精神・心理機能に影響することが報告されている。しかし,疼痛が慢性化しやすく,術後の治療も長期化する脊椎脊髄疾患患者のADL制限に影響を及ぼす因子についての検討は行われていない。そこで,我々は慢性疼痛を訴える脊椎脊髄疾患患者に対して多面的な調査を行った。
【方法】外来リハビリテーションに6ヶ月以上通院している脊椎脊髄疾患患者を対象とし,疼痛に影響を与える合併症や各種評価が実施困難な者を除外した22例(男性16例,女性6例,平均年齢72.3歳±9.1歳)から得られたデータを解析した。患者のADL制限重症度には疼痛生活障害評価尺度(PDAS)を用い,この中央値から軽症群(11例)と重症群(11例)に振り分けた。疼痛部位は口頭や身体模式図により調査し,痛みの性質の調査には日本語版Short-Form McGill Pain Questionnaire 2を用いた。身体活動量は,生活習慣記録計(ライフコーダGS,スズケン社製)を使用して7日間連続で測定し,低・中・高強度活動時間を算出した。運動機能はTimed Up and Go Test(TUG),最大歩行速度,5回立ち座り試験,握力により評価した。精神・心理機能はHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)を用いて,不安(HADS-A)と,うつ(HADS-D)の評価とPain Self-efficacy Questionnaire(PSEQ)を用いて痛みに対する自己効力感を評価した。統計学的解析には,Mann-WhitneyのU検定を用いて項目ごと2群間を比較し,有意水準は5%未満とした。
【結果】PDASにより分類された軽症群と重症群間の基礎データに有意差はみられなかった。両群(軽症群vs重症群)の生活習慣記録計により算出された1週間の低強度活動時間(339.6 vs 173.6分,P=0.047),中強度活動時間(58.7 vs 7.8分,P=0.007),高強度活動時間(1.5 vs 0.1分,P=0.016)に有意差を認めた。また,TUG(7.3 vs 8.9秒,P=0.006),HADS-D(4.0 vs 7.0, P=0.008),PSEQ(41.0 vs 30.0,P=0.013)についてもそれぞれ有意差を認めた。その他の項目については有意差を認めなかった。
【結論】慢性疼痛を訴える脊椎脊髄疾患患者のADL制限には,身体活動量,複合動作能力およびうつ状態に加え,痛みに対する自己効力感の関連が示唆された。
【方法】外来リハビリテーションに6ヶ月以上通院している脊椎脊髄疾患患者を対象とし,疼痛に影響を与える合併症や各種評価が実施困難な者を除外した22例(男性16例,女性6例,平均年齢72.3歳±9.1歳)から得られたデータを解析した。患者のADL制限重症度には疼痛生活障害評価尺度(PDAS)を用い,この中央値から軽症群(11例)と重症群(11例)に振り分けた。疼痛部位は口頭や身体模式図により調査し,痛みの性質の調査には日本語版Short-Form McGill Pain Questionnaire 2を用いた。身体活動量は,生活習慣記録計(ライフコーダGS,スズケン社製)を使用して7日間連続で測定し,低・中・高強度活動時間を算出した。運動機能はTimed Up and Go Test(TUG),最大歩行速度,5回立ち座り試験,握力により評価した。精神・心理機能はHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)を用いて,不安(HADS-A)と,うつ(HADS-D)の評価とPain Self-efficacy Questionnaire(PSEQ)を用いて痛みに対する自己効力感を評価した。統計学的解析には,Mann-WhitneyのU検定を用いて項目ごと2群間を比較し,有意水準は5%未満とした。
【結果】PDASにより分類された軽症群と重症群間の基礎データに有意差はみられなかった。両群(軽症群vs重症群)の生活習慣記録計により算出された1週間の低強度活動時間(339.6 vs 173.6分,P=0.047),中強度活動時間(58.7 vs 7.8分,P=0.007),高強度活動時間(1.5 vs 0.1分,P=0.016)に有意差を認めた。また,TUG(7.3 vs 8.9秒,P=0.006),HADS-D(4.0 vs 7.0, P=0.008),PSEQ(41.0 vs 30.0,P=0.013)についてもそれぞれ有意差を認めた。その他の項目については有意差を認めなかった。
【結論】慢性疼痛を訴える脊椎脊髄疾患患者のADL制限には,身体活動量,複合動作能力およびうつ状態に加え,痛みに対する自己効力感の関連が示唆された。