[P-KS-14-5] リウマチ患者に対する足部腫脹・圧痛評価とADL動作について
Keywords:関節リウマチ, 足部, 評価
【はじめに,目的】
各関節における腫脹・圧痛チェックは疾患活動性の指標であるCDAI,SDAI,DAS-28を評価するために必要であるが,これらの評価に足部は含まれていない。過去の報告では,関節リウマチにおける初発関節は足部が26%と手部に次いで多く,その重要性について言及されている。当院では2016年4月より理学療法士による問診と理学所見の調査を行っており,腫脹・圧痛関節の評価に足部を含めている。本研究の目的は足部における腫脹・圧痛を調査し,その発生率とADL動作(歩行と階段)との関連性を調査することである。
【方法】
対象は欠損データの無い50歳以上のリウマチ患者621名とした。調査項目は罹病期間,足関節及び足趾の腫脹・圧痛(以下 足腫脹・圧痛群),膝関節の腫脹・圧痛(以下 膝腫脹・圧痛群),足関節及び足趾VAS(以下 足部VAS),膝関節VAS(以下 膝VAS),HAQにおける歩行scoreと階段scoreとした。なお,下肢手術例,明らかな活動性低下(HAQ点数2.5以上)は除外した。統計方法は歩行及び階段scoreを障害なし群(score0)とあり群(score1~3)の2群に分け,2群に対する腫脹・圧痛の影響度をカイ二乗検定におけるオッズ比にてそれぞれ算出した。さらに,罹病期間と足部及び膝VASを上記の2群で分けウィルコクソン符号付順位和検定を用い両群における差をそれぞれ求めた。
【結果】
足部における腫脹・圧痛の発生率は11.4%(71名),膝関節では11.9%(74名)であった。歩行scoreに対する足腫脹・圧痛群におけるオッズ比は10.2倍(p>0.0001),膝腫脹・圧痛群は3.5倍(p>0.0001)であった。階段scoreに対する足腫脹・圧痛群におけるオッズ比は2.9倍(p>0.0001),膝腫脹・圧痛群は5.4倍(p>0.0001)であった。歩行score(障害なし群vsあり群)における罹病期間(6.2年vs 8.3年)(p=0.31),足部VAS(4.0mm vs 11.9mm)(p=0.09),膝VAS(5.1mm vs 16.8mm)(p=0.13)に有意差は認めなかった。階段scoreにおいても罹病期間(6.0年 vs 8.4年)(p=0.12),足部VAS(4.2mm vs 9.7mm)(p=0.19),膝VAS(4.3mm vs 17.1mm)(p=0.31)に有意差は認めなかった。
【結論】
Kameda(2010)は足関節及び足趾(MTP)関節を含めた分類を作成し,疾患活動性評価に用いていることから足部評価への重要性が伺える。本研究では足部腫脹・圧痛関節の発生率は11.4%であり,膝関節の発生率とほぼ同様であった。ADLへの影響としては足部腫脹・圧痛は膝腫脹・圧痛よりも歩行能力を反映しており,階段では逆転していた。さらに,VAS評価のみでは歩行と階段能力は反映しないことがわかり,腫脹・圧痛評価を合わせて行うことが重要であると考えられる。また,腫脹・圧痛評価は裸足で行うため足趾における潰瘍を同時に発見でき,その有用性は高いと考えられた。また,歩行能力に影響を及ぼしている可能性が示唆されたことより,評価対象として重要な関節である。
各関節における腫脹・圧痛チェックは疾患活動性の指標であるCDAI,SDAI,DAS-28を評価するために必要であるが,これらの評価に足部は含まれていない。過去の報告では,関節リウマチにおける初発関節は足部が26%と手部に次いで多く,その重要性について言及されている。当院では2016年4月より理学療法士による問診と理学所見の調査を行っており,腫脹・圧痛関節の評価に足部を含めている。本研究の目的は足部における腫脹・圧痛を調査し,その発生率とADL動作(歩行と階段)との関連性を調査することである。
【方法】
対象は欠損データの無い50歳以上のリウマチ患者621名とした。調査項目は罹病期間,足関節及び足趾の腫脹・圧痛(以下 足腫脹・圧痛群),膝関節の腫脹・圧痛(以下 膝腫脹・圧痛群),足関節及び足趾VAS(以下 足部VAS),膝関節VAS(以下 膝VAS),HAQにおける歩行scoreと階段scoreとした。なお,下肢手術例,明らかな活動性低下(HAQ点数2.5以上)は除外した。統計方法は歩行及び階段scoreを障害なし群(score0)とあり群(score1~3)の2群に分け,2群に対する腫脹・圧痛の影響度をカイ二乗検定におけるオッズ比にてそれぞれ算出した。さらに,罹病期間と足部及び膝VASを上記の2群で分けウィルコクソン符号付順位和検定を用い両群における差をそれぞれ求めた。
【結果】
足部における腫脹・圧痛の発生率は11.4%(71名),膝関節では11.9%(74名)であった。歩行scoreに対する足腫脹・圧痛群におけるオッズ比は10.2倍(p>0.0001),膝腫脹・圧痛群は3.5倍(p>0.0001)であった。階段scoreに対する足腫脹・圧痛群におけるオッズ比は2.9倍(p>0.0001),膝腫脹・圧痛群は5.4倍(p>0.0001)であった。歩行score(障害なし群vsあり群)における罹病期間(6.2年vs 8.3年)(p=0.31),足部VAS(4.0mm vs 11.9mm)(p=0.09),膝VAS(5.1mm vs 16.8mm)(p=0.13)に有意差は認めなかった。階段scoreにおいても罹病期間(6.0年 vs 8.4年)(p=0.12),足部VAS(4.2mm vs 9.7mm)(p=0.19),膝VAS(4.3mm vs 17.1mm)(p=0.31)に有意差は認めなかった。
【結論】
Kameda(2010)は足関節及び足趾(MTP)関節を含めた分類を作成し,疾患活動性評価に用いていることから足部評価への重要性が伺える。本研究では足部腫脹・圧痛関節の発生率は11.4%であり,膝関節の発生率とほぼ同様であった。ADLへの影響としては足部腫脹・圧痛は膝腫脹・圧痛よりも歩行能力を反映しており,階段では逆転していた。さらに,VAS評価のみでは歩行と階段能力は反映しないことがわかり,腫脹・圧痛評価を合わせて行うことが重要であると考えられる。また,腫脹・圧痛評価は裸足で行うため足趾における潰瘍を同時に発見でき,その有用性は高いと考えられた。また,歩行能力に影響を及ぼしている可能性が示唆されたことより,評価対象として重要な関節である。