[P-KS-15-2] 全身姿勢と顎運動が頭頚部の筋活動に及ぼす影響
Keywords:頭頚部, 顎活動, 筋活動
【はじめに】これまでに頭頚部の筋活動は全身姿勢にも大きく関わるといわれてきた。また,その姿勢習慣により,肩甲帯や脊柱,腰背部にも疼痛や障害を呈することがあるといわれている。最近では,立位や歩行などの姿勢制御に対する顎関節の関与が報告されており,頭頚部の筋活動が全身に及ぼす影響は少なくないと考える。
【目的】全身姿勢や顎運動の違いが頭頚部の筋活動にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的に行った。
【方法】対象は頭頚部に明らかな既往がない成人男性4名,女性4名の計8名であった。表面筋電図を用い測定した。筋電図の測定は,右側の側頭筋,咬筋,顎舌骨筋群,胸鎖乳突筋,僧帽筋の計5筋で,各筋の中央部で記録した。筋電図の測定は,安静座位,後方臼歯で咬んだ肢位,座位舌挙上位,座位舌挙上位(キシリトールタブレット使用),安静立位,立位舌挙上位(キシリトールタブレット使用),後方臼歯で咬んだ立位(咬合立位)の7試行を行った。試行の順序は各被験者でランダムに行った。筋電図より肢位による活動電位,肢位による変化量,被験者ごとの姿勢変化の影響について検討した。
【結果】全被験者の平均値においては,咬合立位以外の6肢位において側頭筋の活動が最も高く,咬合肢位においては顎舌骨筋群が最も高い活動を示したが,統計的有意差はみとめられなかった。肢位による変化では,統計的有意差はないものの,各被験者において活動の違いがみられた。次に肢位による変化量については,安静座位とそれ以外の6肢位については,姿勢変化によって僧帽筋の活動に差が生じることが明らかとなった(p<0.05)。立位における顎活動での変化量については,いずれの肢位も有意な変化はみとめられなかった。また被験者ごとにおいては肢位による筋活動に個人差がみられ,肢位変化による特徴的な傾向はみとめられなかった。
【結論】頭頚部の筋活動において,MVCに対する活動量の比較ではないため,筋ごとの比較は困難である。しかしながら肢位が変化しても側頭筋の活動が高いことから,姿勢保持に関与していることが考えられる。また安静座位との比較で僧帽筋の活動に差が生じる点については,座位・立位の変化のみならず,顎活動が僧帽筋の関与に変化をもたらすことが示唆された。また被験者ごとの検討については,個人差が大きく,安静座位・安静立位の静止姿勢におけるアライメントの違いが個別性に影響を及ぼしていると考えられる。これらの結果は全身姿勢の変化と顎活動は頭頚部の筋活動に影響を及ぼすことを示すものであり,頭頚部のアライメントや顎活動を評価することにより介入できると考える。また個人差が大きいことからも,頭頚部の筋に介入する際には,姿勢評価を行い,どの筋がより強く関与しているかを把握することも必要であると考える。
【目的】全身姿勢や顎運動の違いが頭頚部の筋活動にどのような影響を及ぼすかを検討することを目的に行った。
【方法】対象は頭頚部に明らかな既往がない成人男性4名,女性4名の計8名であった。表面筋電図を用い測定した。筋電図の測定は,右側の側頭筋,咬筋,顎舌骨筋群,胸鎖乳突筋,僧帽筋の計5筋で,各筋の中央部で記録した。筋電図の測定は,安静座位,後方臼歯で咬んだ肢位,座位舌挙上位,座位舌挙上位(キシリトールタブレット使用),安静立位,立位舌挙上位(キシリトールタブレット使用),後方臼歯で咬んだ立位(咬合立位)の7試行を行った。試行の順序は各被験者でランダムに行った。筋電図より肢位による活動電位,肢位による変化量,被験者ごとの姿勢変化の影響について検討した。
【結果】全被験者の平均値においては,咬合立位以外の6肢位において側頭筋の活動が最も高く,咬合肢位においては顎舌骨筋群が最も高い活動を示したが,統計的有意差はみとめられなかった。肢位による変化では,統計的有意差はないものの,各被験者において活動の違いがみられた。次に肢位による変化量については,安静座位とそれ以外の6肢位については,姿勢変化によって僧帽筋の活動に差が生じることが明らかとなった(p<0.05)。立位における顎活動での変化量については,いずれの肢位も有意な変化はみとめられなかった。また被験者ごとにおいては肢位による筋活動に個人差がみられ,肢位変化による特徴的な傾向はみとめられなかった。
【結論】頭頚部の筋活動において,MVCに対する活動量の比較ではないため,筋ごとの比較は困難である。しかしながら肢位が変化しても側頭筋の活動が高いことから,姿勢保持に関与していることが考えられる。また安静座位との比較で僧帽筋の活動に差が生じる点については,座位・立位の変化のみならず,顎活動が僧帽筋の関与に変化をもたらすことが示唆された。また被験者ごとの検討については,個人差が大きく,安静座位・安静立位の静止姿勢におけるアライメントの違いが個別性に影響を及ぼしていると考えられる。これらの結果は全身姿勢の変化と顎活動は頭頚部の筋活動に影響を及ぼすことを示すものであり,頭頚部のアライメントや顎活動を評価することにより介入できると考える。また個人差が大きいことからも,頭頚部の筋に介入する際には,姿勢評価を行い,どの筋がより強く関与しているかを把握することも必要であると考える。