The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-20] ポスター(基礎)P20

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-20-4] 地域高齢者の転倒発生に関する調査

瀧 昌也1, 寺谷 章弘1, 浅野 光香1, 村土 実於1, 戸田 芙美2, 馬渕 まりえ3 (1.独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院リハビリテーションセンター, 2.独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院リハビリテーション科, 3.独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院整形外科)

Keywords:高齢者, 転倒, 聞き取り調査

【はじめに,目的】当院が位置する名古屋市南区は,名古屋市の中でも高齢化率が28.2%と最も高く,要支援・要介護者数も年々増加している。要支援の方が要介護になる原因として,「高齢による衰弱」,「関節炎」,「骨折・転倒」がある。転倒事故に関する内閣府の調査では,60歳以上の男女2062人のうち,1年間に転んだことのある人は9.5%,そのうち85歳以上では19.4%であったこと,また転倒した人の3人に2人が何らかのけがを負っているとの報告があり,加齢とともに転倒リスク,骨折のリスクが高くなることが分かる。また,転倒の発生状況は様々で身体的条件としての内的因子,環境的な条件としての外的因子があり,高齢者の転倒発生を把握することは転倒予防にも重要であると考える。本研究では,転倒による骨折で当院に入院した高齢者の生活活動能力と転倒発生状況を聞き取り調査にて分析したので報告する。


【方法】調査は,平成28年4月から9月に転倒による骨折で入院した75名のうち,認知症がなく本研究の主旨を理解し聞き取りが可能であった26名を対象とした。聞き取り調査項目は,転倒発生状況・転倒時の動作・場所・時間帯,過去1年間の転倒歴(転倒歴),睡眠時間,運動習慣,転倒予防に関する知識の有無とした。生活活動能力には,古谷野らの老研式活動能力指標を使用した。転倒発生状況の分類は,聞き取り調査で得られた発言をKJ法におけるグループ分けの手法を使用して5人の療法士が分類を行った。また,聞き取り調査項目について,老研式活動能力指標総得点が低い群(10点以下)と高い群(11点以上)の群間差をχ2検定にて比較した。


【結果】調査対象の平均年齢は81±9歳,21名が後期高齢者であった。性別は男性(7名)よりも女性(19名)が多かった。転倒発生状況はふらつきが最も多く(38%),次につまずき,自転車走行,滑ったの順に多かった。転倒場所は屋内が多く(62%),居間・寝室が30%であった。屋外では道路での転倒が多かった。転倒時の動作は,歩行が46%と最も多く,次いで自転車,立ち上がりの順に多かった。転倒予防に対する知識は,20名(77%)がないと答えた。老研式活動能力指標総得点の低い群・高い群の比較において,各項目には差が認められなかった。


【結論】転倒の原因は,ふらつきや目まいで転んだなどの内因性,つまずいた,滑ったなどの外因性に分けられ,屋内では内因性が多い傾向にあると言われている。本研究の調査対象者は後期高齢者が多く,転倒の場所は屋内,発生状況はふらつきが多く,同様の結果となった。また,生活活動能力の違いによる調査項目間に差が認められなかったことから,活動能力が高い方が転倒しないとは言えない。生活活動能力の違いに関わらず,転倒・骨折のリスクに対する知識を得ることが転倒予防に貢献できる可能性があると考える。