[P-KS-21-1] 加速度計を用いた動作分析の検討
Keywords:加速度計, 腰部, 機械的ストレス
【はじめに,目的】
腰痛は生活に支障を与える疾患で第1位といわれている。腰痛が原因で4日以上の休業を要した件数は職業性疾病の6割を占めており,その評価や予防が重要視されている。腰痛の発症や増悪は多因子的に起こるといわれているが,生活習慣や動作の影響が大きいことから,動作を客観的に評価する必要がある。現在,動作を客観的に評価するのに,三次元動作解析装置などが先行研究として多く用いられている。しかし,三次元動作解析装置は大規模な装置を必要とすることから臨床応用が困難である。その一方で,加速度計は現在,歩行分析や機械的ストレスを定量化するのに用いられている。そこで,本研究の目的は,動作中の腰部負荷を力学的に分析するのに加速度計は信頼性と妥当性があるか検討することとした。
【方法】
対象は,整形外科疾患の既往のない健常成人6名(年齢22.7±1.1歳,身長168.0±7.5cm,体重60.8±9.1kg)とした。測定には,三次元動作解析装置(NEXUS2.3,VICON社製)と床反力計(BP400600-2000,AMTI社製),加速度計(小型ハイブリッドセンサ,ワイヤレステクノロジー社製)を用いた。対象者は静止立位から体幹の屈曲(膝まで,最大),側屈(左右),屈曲回旋(左右)を至適速度にて実施した。測定は静止立位から各動作後,静止立位に戻ってくるまでとした。動作中の外部Waist屈伸モーメント(以下,体幹屈伸モーメント)と外部Waist側屈モーメント(以下,体幹側屈モーメント)のピーク値を体重で除した値を,腰部へ加わる垂直方向への力および左右方向への力として用い,第3腰椎部から得られた加速度とニュートンの運動方程式(F=ma)の値を用いた。統計学的解析には,各動作における加速度の信頼性には級内相関係数を用い,体幹モーメントと加速度,ニュートンの運動方程式の関連性検討にはそれぞれスピアマンの相関係数を用いた。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
各動作における加速度の信頼性は,屈伸方向加速度,側屈方向加速度とも0.56から0.98(p<0.05)であった。体幹モーメントと加速度における相関は,体幹の屈曲時の屈伸方向でr=0.83,屈曲左回旋時の屈伸方向でr=0.83,屈曲右回旋時の側屈方向でr=0.83(p<0.05)であり相関がみられた。体幹モーメントとニュートンの運動方程式における相関は,体幹の屈曲右回旋時でr=0.83(p<0.05)であり相関がみられた。その他では,相関がみられなかった(p>0.05)。
【結論】
第3腰椎部の加速度は,各動作において信頼性の高い値であることが示された。体幹屈曲を含む動作においては,第3腰椎部の加速度と体幹屈伸モーメントには相関があることが示された。加速度計を用いることは体幹への機械的ストレスを客観的に評価するのに妥当性のある指標の一つとなる可能性がある。臨床では,日常生活や仕事の際の機械的ストレスを客観的に評価できるツールとなる可能性がある。
腰痛は生活に支障を与える疾患で第1位といわれている。腰痛が原因で4日以上の休業を要した件数は職業性疾病の6割を占めており,その評価や予防が重要視されている。腰痛の発症や増悪は多因子的に起こるといわれているが,生活習慣や動作の影響が大きいことから,動作を客観的に評価する必要がある。現在,動作を客観的に評価するのに,三次元動作解析装置などが先行研究として多く用いられている。しかし,三次元動作解析装置は大規模な装置を必要とすることから臨床応用が困難である。その一方で,加速度計は現在,歩行分析や機械的ストレスを定量化するのに用いられている。そこで,本研究の目的は,動作中の腰部負荷を力学的に分析するのに加速度計は信頼性と妥当性があるか検討することとした。
【方法】
対象は,整形外科疾患の既往のない健常成人6名(年齢22.7±1.1歳,身長168.0±7.5cm,体重60.8±9.1kg)とした。測定には,三次元動作解析装置(NEXUS2.3,VICON社製)と床反力計(BP400600-2000,AMTI社製),加速度計(小型ハイブリッドセンサ,ワイヤレステクノロジー社製)を用いた。対象者は静止立位から体幹の屈曲(膝まで,最大),側屈(左右),屈曲回旋(左右)を至適速度にて実施した。測定は静止立位から各動作後,静止立位に戻ってくるまでとした。動作中の外部Waist屈伸モーメント(以下,体幹屈伸モーメント)と外部Waist側屈モーメント(以下,体幹側屈モーメント)のピーク値を体重で除した値を,腰部へ加わる垂直方向への力および左右方向への力として用い,第3腰椎部から得られた加速度とニュートンの運動方程式(F=ma)の値を用いた。統計学的解析には,各動作における加速度の信頼性には級内相関係数を用い,体幹モーメントと加速度,ニュートンの運動方程式の関連性検討にはそれぞれスピアマンの相関係数を用いた。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
各動作における加速度の信頼性は,屈伸方向加速度,側屈方向加速度とも0.56から0.98(p<0.05)であった。体幹モーメントと加速度における相関は,体幹の屈曲時の屈伸方向でr=0.83,屈曲左回旋時の屈伸方向でr=0.83,屈曲右回旋時の側屈方向でr=0.83(p<0.05)であり相関がみられた。体幹モーメントとニュートンの運動方程式における相関は,体幹の屈曲右回旋時でr=0.83(p<0.05)であり相関がみられた。その他では,相関がみられなかった(p>0.05)。
【結論】
第3腰椎部の加速度は,各動作において信頼性の高い値であることが示された。体幹屈曲を含む動作においては,第3腰椎部の加速度と体幹屈伸モーメントには相関があることが示された。加速度計を用いることは体幹への機械的ストレスを客観的に評価するのに妥当性のある指標の一つとなる可能性がある。臨床では,日常生活や仕事の際の機械的ストレスを客観的に評価できるツールとなる可能性がある。