[P-KS-21-4] 3軸角加速度計を用いた歩行時の体幹および骨盤の動揺性評価方法の再現性
Keywords:歩行, 3軸角加速度計, 動揺性
【はじめに,目的】
変形性股関節症患者はトレンデレンブルグ歩行やデュシャンヌ歩行を呈するため,歩行時の体幹や骨盤に着目し評価を実施する。臨床現場で客観的に歩行を評価する方法としてビデオカメラを用いた報告があるが,3次元的な評価は困難である。3軸角加速度計という小型の機器は,貼付部位に生じる前後,左右,回旋方向の角速度,加速度を計測できるため,臨床現場でも簡易的に3次元的な評価が実施できる可能性がある。しかし,計測方法は確立されておらず,再現性に関する報告は乏しい。よって本研究は3軸角加速度計を使用した歩行時の体幹と骨盤の動揺性評価および測定方法の再現性について検証した。
【方法】
対象は健常成人9名(年齢26.1±2.0歳),課題は16mの自由歩行とした。使用機器は3軸角加速度計,ストップウォッチとし,3軸角加速度計は第7頸椎および両側の上後腸骨棘の中点に貼付し,サンプリング周波数1000Hzで計測した。測定項目は歩行時の体幹および骨盤の加速度,角速度,課題動作時の歩数,歩行時間とした。解析区間は1歩行周期とし,5歩行周期の加算平均値を算出した。歩行周期は骨盤の前後方向の加速度波形より同定した。解析区間内の角速度を積分し,各方向の最大振れ幅(°)を求めた。課題動作時の歩数,歩行時間から歩行速度,歩行率,歩幅を算出した。計測は初回計測日に2回行い,再度4日以上間隔を開け初回の計測と同様の手順を経て再計測を実施した。統計は級内相関係数(以下,ICC)を用い,検者内再現性を検証した。初回計測日に実施した2回の計測間にて同一条件下での再現性を検証し,初回計測と再計測間にて機器の貼付などを含めた再現性を検証した。各歩行条件における歩行パラメーターの比較には対応のあるt検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
初回計測は,体幹前後傾斜1回目4±0.7°,2回目3.8±0.8°,回旋1回目5.9±1.0°,2回目5.9±1.1°,左右傾斜1回目3.6±1.3°,2回目3.5±0.9°であり,ICC(1.5)は前後傾斜0.89,回旋0.83,左右傾斜0.93を示した。骨盤動揺は前後傾斜1回目4.3±0.7°,2回目4.3±0.8°,回旋1回目12.5±2.2°,2回目12.9±2.8°,左右傾斜1回目8.4±2.8°,2回目8.5±2.8°でありICC(1.5)は前後傾斜0.86,回旋0.90,左右傾斜0.99を示した。再計測は体幹前後傾斜4.4±1.0°,回旋6.3±1.3°,左右傾斜4.0±1.1°,骨盤前後傾斜は4.5±1.0°,回旋14.2±3.0°,左右傾斜9.4±2.0°となり,初回計測1回目との比較において,ICC(1.5)は体幹前後傾斜0.65,回旋0.32,左右傾斜0.92,骨盤前後傾斜0.54,回旋0.65,左右傾斜0.72を示した。各計測で歩行パラメーターに有意な差は認められなかった。
【結論】
3軸角加速度計を用いた動揺性評価は固定部位が同一であれば,体幹,骨盤ともに再現性の高い計測が可能だが,縦断的な計測を行う場合には固定部位の変化と共に再現性が低下する可能性が示唆された。
変形性股関節症患者はトレンデレンブルグ歩行やデュシャンヌ歩行を呈するため,歩行時の体幹や骨盤に着目し評価を実施する。臨床現場で客観的に歩行を評価する方法としてビデオカメラを用いた報告があるが,3次元的な評価は困難である。3軸角加速度計という小型の機器は,貼付部位に生じる前後,左右,回旋方向の角速度,加速度を計測できるため,臨床現場でも簡易的に3次元的な評価が実施できる可能性がある。しかし,計測方法は確立されておらず,再現性に関する報告は乏しい。よって本研究は3軸角加速度計を使用した歩行時の体幹と骨盤の動揺性評価および測定方法の再現性について検証した。
【方法】
対象は健常成人9名(年齢26.1±2.0歳),課題は16mの自由歩行とした。使用機器は3軸角加速度計,ストップウォッチとし,3軸角加速度計は第7頸椎および両側の上後腸骨棘の中点に貼付し,サンプリング周波数1000Hzで計測した。測定項目は歩行時の体幹および骨盤の加速度,角速度,課題動作時の歩数,歩行時間とした。解析区間は1歩行周期とし,5歩行周期の加算平均値を算出した。歩行周期は骨盤の前後方向の加速度波形より同定した。解析区間内の角速度を積分し,各方向の最大振れ幅(°)を求めた。課題動作時の歩数,歩行時間から歩行速度,歩行率,歩幅を算出した。計測は初回計測日に2回行い,再度4日以上間隔を開け初回の計測と同様の手順を経て再計測を実施した。統計は級内相関係数(以下,ICC)を用い,検者内再現性を検証した。初回計測日に実施した2回の計測間にて同一条件下での再現性を検証し,初回計測と再計測間にて機器の貼付などを含めた再現性を検証した。各歩行条件における歩行パラメーターの比較には対応のあるt検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
初回計測は,体幹前後傾斜1回目4±0.7°,2回目3.8±0.8°,回旋1回目5.9±1.0°,2回目5.9±1.1°,左右傾斜1回目3.6±1.3°,2回目3.5±0.9°であり,ICC(1.5)は前後傾斜0.89,回旋0.83,左右傾斜0.93を示した。骨盤動揺は前後傾斜1回目4.3±0.7°,2回目4.3±0.8°,回旋1回目12.5±2.2°,2回目12.9±2.8°,左右傾斜1回目8.4±2.8°,2回目8.5±2.8°でありICC(1.5)は前後傾斜0.86,回旋0.90,左右傾斜0.99を示した。再計測は体幹前後傾斜4.4±1.0°,回旋6.3±1.3°,左右傾斜4.0±1.1°,骨盤前後傾斜は4.5±1.0°,回旋14.2±3.0°,左右傾斜9.4±2.0°となり,初回計測1回目との比較において,ICC(1.5)は体幹前後傾斜0.65,回旋0.32,左右傾斜0.92,骨盤前後傾斜0.54,回旋0.65,左右傾斜0.72を示した。各計測で歩行パラメーターに有意な差は認められなかった。
【結論】
3軸角加速度計を用いた動揺性評価は固定部位が同一であれば,体幹,骨盤ともに再現性の高い計測が可能だが,縦断的な計測を行う場合には固定部位の変化と共に再現性が低下する可能性が示唆された。