The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-23] ポスター(基礎)P23

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-23-5] 端座位における体幹伸展屈曲時は腰椎運動が主体である

春名 匡史1, 田村 栄治1, 立花 孝1, 田中 洋2, 信原 克哉2 (1.信原病院リハビリテーション科, 2.信原病院バイオメカニクス研究所)

Keywords:体幹運動, 腰椎, 胸椎

【はじめに,目的】端座位において,胸を張った肢位と体を丸めた肢位を反復して行う,体幹伸展屈曲運動は,理学療法の臨床場面で頻繁に用いられる運動である。しかし,この運動に関する胸椎運動と腰椎運動の運動量や運動パターンを定量評価した研究はない。本研究の目的は,端座位における体幹伸展屈曲時の胸腰椎運動を動的に定量評価することである。

【方法】対象は健常男性7名(平均年齢25±2.9歳)とした。体幹伸展屈曲を動的に計測するために,胸椎および腰椎棘突起に赤外線反射マーカを貼付した。そして,端座位での体幹伸展屈曲中の赤外線反射マーカの位置を光学式モーションキャプチャ・システム(Oqus 7+;Qualisys Inc., Goteborg, Sweden)を用いて計測した。その際,被検者の最大努力下において体幹伸展屈曲を30秒間連続で行わせた。そして,視線前方注視かつ上肢脱力位で行うよう指示した。次に,胸椎および腰椎運動の評価方法について述べる。上位胸椎(第1から第7胸椎)と下位胸椎(第7から第12胸椎),腰椎(第12胸椎から第5腰椎)に分け,それぞれのマーカ間の距離の和で胸椎および腰椎運動を表現した。そのため,後彎すれば距離は増加することになる。そして,体格の影響を除外するために,体幹中間位(測定開始肢位)の値を用いて胸椎および腰椎運動の規格化を行い,最大伸展位を0%,最大屈曲位を100%として周期化した。そして,それぞれの椎体での運動相違を明らかにするために,伸展での変化量,屈曲での変化量,伸展と屈曲での変化量の比較を周期区間10%ごとに行った。統計は3要因の反復測定分散分析を行った後に,対応のあるt検定,ウイルコクソンの符号付順位検定を行い,求めたp値をボンフェローニ法で補正した。有意水準は5%未満とした。


【結果】伸展運動は全区間で腰椎,下位胸椎,上位胸椎の順に有意に変化量が大きかった(p<.05)。屈曲運動では,最大伸展位0%から50%までは腰椎,下位胸椎,上位胸椎の順に有意に変化量が大きかった(p<.05)。しかし50%から最大屈曲位100%までは腰椎と下位胸椎の変化量に有意差はなく,70%から最大屈曲位100%までは上位胸椎も含めて有意差がみられなかった。伸展と屈曲の比較では,腰椎は40%から50%区間を除いて変化量に有意差がみられ,最大伸展位0%から40%までは屈曲の変化量が,50%から最大屈曲位100%までは伸展の変化量が有意に大きかった(p<.05)。上位胸椎は20%から40%まで,下位胸椎は30%から40%,80%から最大屈曲位100%まで屈曲の変化量が大きかった。しかし,それ以外の区間では変化量に有意差がみられなかった。


【結論】端座位での体幹伸展屈曲時の胸腰椎運動の主体は腰椎であった。これは,胸椎より腰椎の方が,伸展屈曲の可動域が大きいためと考える。しかし,腰椎の動きは伸展と屈曲で運動パターンが異なる。臨床において,体幹伸展屈曲を行う場合に配慮すべき点と考える。