The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-30] ポスター(基礎)P30

Sat. May 13, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-30-4] 脊髄損傷後のリハビリテーションが皮質脊髄路の再編を促すメカニズムの解明

中西 徹, 藤田 幸, 山下 俊英 (大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学)

Keywords:脊髄損傷, 神経回路, 可塑性

【はじめに,目的】

近年,脊髄損傷モデル動物を用いた実験により,皮質脊髄路から発芽した側枝が,損傷を免れた脊髄固有ニューロンに接続し新たな神経回路を形成することで,脊髄損傷後の運動機能回復に寄与することが明らかとなった。この過程で,皮質脊髄路軸索は一度過剰な側枝を伸長した後,標的細胞とシナプスを形成した側枝のみが残り,神経回路に組み込まれなかった余分な側枝は刈り込みを受ける。本研究では,リハビリテーションが皮質脊髄路からの側枝の刈り込みを促すことで,損傷後の運動機能回復に寄与する可能性について検証した。


【方法】

7週齢のC57BL/6J雌性マウスの胸髄に背側半切除術を行い,脊髄不完全損傷モデルマウスを作製した。これらのマウスをトレーニング群と非トレーニング群に分け,トレーニング群に対し,損傷後14日目から28日目にかけてRotarodによるトレーニングを実施した。また,両群のマウスの大脳皮質運動野後肢領域に,順行性神経トレーサーであるBiotinylated dextran amine(BDA)を注入し,皮質脊髄路からの側枝を標識した。その後,マウスの運動機能を損傷後14日目,21日目,28日目においてRotarod test,Ladder walk testを用いて評価するとともに,皮質脊髄路からの側枝数を損傷後28日目において測定した。

次に,軸索誘因/反発を制御するSemaphorin-Neuropilinシグナルに着目し,刈り込みのメカニズムの解析を行った。脊髄不完全損傷マウスの大脳皮質運動野後肢領域に,Neuropilin-1(Nrp-1)に対するsmall hairpin RNA(shRNA)を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを注入した。その後,皮質脊髄路からの側枝数を損傷後28日目において測定した。

最後に,逆行性トレーサーであるFluoro-rubyを脊髄に注入し脊髄固有ニューロンを標識した。その後,免疫組織化学法により,Nrp-1のリガンドであるSemaphorin3A(Sema3A)の脊髄固有ニューロンにおける発現を検証した。

統計にはTukey-Kramer testとt検定を用い,統計学的有意水準は5%未満とした。




【結果】

Rotarodを用いたリハビリテーションによって,損傷後28日目における側枝数が減少するとともに,運動機能の回復が促進した。また,shRNAによるNrp-1のノックダウンによって,損傷後28日目における側枝数が増加した。さらに,Fluoro-rubyによって標識された脊髄固有ニューロンにおいて,Sema3Aの発現が観察された。


【結論】

リハビリテーションが側枝の刈り込みを促すことで,脊髄損傷後の運動機能回復に寄与していることが示唆された。また,ノックダウン実験と免疫組織化学法の結果,側枝の刈り込みにSema3A-Nrp-1シグナルが関与していることが示唆された。