The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-33] ポスター(基礎)P33

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-33-3] メンタルプラクティスの介入頻度の違いが持続効果に与える影響に関する検討

平岩 正太郎1, 坂野 裕洋1, 尾藤 伸哉2, 戸澤 望3 (1.日本福祉大学, 2.医療法人医仁会さくら総合病院, 3.新城市民病院)

Keywords:メンタルプラクティス, 持続効果, 介入頻度

【はじめに,目的】

スポーツ選手やリハビリテーションを受けている患者では,外傷や発熱などによりトレーニングを休止しなければならない状況が生じる。これをデトレーニングといい,この期間を経過すると身体機能はトレーニング前の状態に戻ってしまう。一方,メンタルプラクティス(Mental practice,以下MP)は,運動の実施なしに課題を認知的にリハーサルするイメージトレーニングのことであり,MPによる筋力増強効果については多数報告されている。このことから,デトレーニング期間にMPを行うことで,いったん獲得したトレーニング効果を維持できる可能性が考えられるが,これらを検討した報告は少なく,適切な介入頻度やその持続期間についても不明である。そこで本研究では,筋力増強後のデトレーニング期間に異なる介入頻度でMPを実施し,デトレーニング期間中の最適なMP介入頻度とその持続効果について検討した。

【方法】

対象は健常男子大学生25名(平均年齢20.8±1.4歳)とし,10週間の介入研究を行った。介入の前半4週間はトレーニング期間とし,最大発揮筋力の80%の負荷量で3回/週のレッグエクステンションエクササイズを行い,後半6週間はデトレーニング期間とし,デトレーニング期間の1~3週では,3回/週の頻度でMPを行う群9名(3回/週群),1回/週の頻度でMPを行う群8名(1回/週群),トレーニングを中止する群8名(対照群)に無作為割付けを行った。また,デトレーニング期間の4~6週には,すべての群でトレーニングを中止した。評価は4週間のトレーニング期間の前後,デトレーニング期間前半3週経過時点,デトレーニング期間終了時点に等速性運動機器(BTE社製PRIMUS RS)を用いて等速性最大膝伸展筋力(60 °/sec)を測定し,トレーニング開始前の値で補正した変化率を算出して統計学的な解析に用いた。また,介入前にはイメージ能力の評価として日本語版Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version(以下,JMIQ-R)を実施した。統計学的解析は,群内比較にFriedman検定とWilcoxonの符号付順位検定(Bonferroni修正),群間比較にKruskal-Wallis検定,Mann-WhitneyのU検定,イメージ能力の群間比較に対応のないt検定を用い,有意水準を5%未満として比較検討した。

【結果】

最大筋力は,3群ともにトレーニング開始前と比較してトレーニング期間終了時に有意な増大を認め,その効果は3群間に差を認めなかった。一方,デトレーニング期間では3回/週群のみ,獲得された最大筋力が維持される結果となった。なお,日本語版JMIQ-Rは3群間に差を認めなかった。

【結論】

本研究結果より,デトレーニング期間中に3回/週のMP介入を行うことによって,獲得した筋力を維持することが可能であり,その後にMP介入を中止しても3週間までは筋力増強効果が維持されるとことが明らかとなった。