The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-33] ポスター(基礎)P33

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-33-5] 週1回の運動が身体に与える影響

杉山 弘樹1, 成田 崇矢2, 小林 孝至3, 堀内 美貴也4, 安久津 純也5 (1.笹本整形外科, 2.健康科学大学, 3.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院, 4.上田整形外科クリニック, 5.河北リハビリテーション病院)

Keywords:トレーニング効果, 運動, 理学療法効果

【はじめに,目的】

筋力や柔軟性の機能向上のためには,少なくとも週2回以上のトレーニングが推奨されている。しかし,外来病院における理学療法では,患者が週2回以上来院することが困難な場合がある。これまで週2回未満の運動による具体的な効果は明らかになっていない。そこで,本研究の目的は,週1回の運動を行い,身体にどのような影響を与えるのかを明らかにし,理学療法提供の一助とすることとした。




【方法】

対象は,健常大学生男女16名とした。

運動は,柔軟性,持久力,瞬発力,俊敏性,運動の質の5項目の向上を目的とし,週1回1時間半行った。測定は,柔軟性,持久力,瞬発力,俊敏性,運動の質の5項目に,形態を加えた,計6項目に関して行った。運動の質は,予備実験により検者間信頼性を認めたランジ,エルボートゥー,スクワット,エルボートゥー+バランスボールで円を描く,スクワット(重鎮保持・上肢挙上)動作を測定した。また,これらの動作の質は4段階で点数化し,課題に対する動作が十分に可能であれば3点,動作は可能だが十分ではなければ2点,動作が不可能であければ1点,痛みを有するものは0点とした。測定時期は,運動開始前(プレ測定),運動開始から1か月後(2回目),2か月後(3回目),4か月後(4回目),5か月後(5回目)とした。なお,3回目と4回目の測定の間の約1か月間は,運動を中止した。

統計処理はSPSSを用いて,1か月ごとの各身体機能の変化を一元配置分散分析にて検討した。また,Spearmanの順位相関係数を用い,運動の質と,持久力,敏捷性,瞬発力の各項目との関係性を検討した。有意水準は5%未満とした。




【結果】

運動の質を評価したランジ動作は,プレ測定(1.88±0.8点)と2回目(2.63±0.7点),3回目(2.69±0.点),5回目(2.63±0.6点)との間に有意な点数の向上を認め,週1回の運動により,運動の質が向上した。運動中止期間後の4回目(2.44±0.8)と,各測定間との間に有意差を認めなかったが,2,3,5回目と比較し運動の質が低下傾向であった。エルボートゥーは,プレ測定(1.19±0.5点)と4回目(2.06±1.0点),5回目(2.31±0.8点)との間に有意な点数の向上を認め,週1回の運動により,運動の質が向上した。

形態,柔軟性,持久力,瞬発力,俊敏性の各項目は,週1回の運動により有意な変化を認めなかった。運動の質と各測定項目との間に有意な相関関係を認めなかった。




【結論】

本研究では,週1回の運動によって運動の質が向上した。この結果から,週1回の外来理学療法においても,身体機能を向上できる可能性があると示唆された。ただし,運動を中止することで,運動の質が再び低下する可能性も示されたため,継続した理学療法の提供が重要であると考える。また,運動の質と各測定項目間に相関関係を認めなかったことから,運動の質の向上には課題となる動作そのものの学習が必要であると考える。