[P-KS-34-1] 低速度レジスタンス運動による運動時の筋内活動分布の解析
~高密度表面筋電図を用いて~
Keywords:サルコペニア, 高密度表面筋電図, 低速度レジスタンス運動
【はじめに】超高齢社会に突入している本邦において,加齢に伴うサルコペニアの増加は社会的な問題となっている。サルコペニアに特徴的な筋量低下に対しては,レジスタンス運動が有効であるが,虚弱高齢者や慢性疾患を有する患者の場合,推奨される運動は過負荷となることが多い。近年,低速度レジスタンス運動(Low-velocity Resistance Training:LRT)は低負荷にも関わらず,高負荷のレジスタンス運動と同様の筋力増強効果が得られることが明らかとなっている。しかしながら,LRTにおける筋力増強メカニズムについて,神経・筋活動動態の観点からは明らかとなっていない。そこで本研究は,高密度表面筋電図を用いて筋内活動分布を計測することにより,LRT時の神経・筋活動動態を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は健常成人男性14名とした(21.5±1.0歳)。初めに,筋力測定器(BIODEX社)を用いて,2種類の等速性運動(45°/sec,22.5°/sec)における膝伸展最大トルクを測定した。その後,3条件での膝関節伸展レジスタンス運動をランダムに別々の日に実施した。各条件はそれぞれ,①LRT:22.5°/sec,40%最大トルクで7回×3セット,②高負荷運動(High Intensity:HI):45°/sec,80%最大トルクで7回×3セット,③低負荷運動(Low Intensity:LI):45°/sec,40%最大トルクで14回×3セットとした。また,全ての運動時に64チャンネルの高密度表面筋電図(OT Bioelettronica社)を使用して外側広筋の筋活動を測定した。データ解析は,各条件において,1・3セット目の膝関節屈曲65~75°のRMS(Root Mean Square)を最大随意収縮時のデータをもとに正規化を行った後,64チャンネル分の平均値および変動係数を算出した。統計学的解析は,一元配置分散分析を用い,事後検定としてKruskal-Wallis検定を行った。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】1セット目の%MVCにおいて,HIはLRTと比較して有意に高い値を示した(p=0.00005)。また,3セット目においてもHIはLRTより有意に高い値を示した(p=0.00009)。1セット目における変動係数は,3条件間で有意な差は認めなかった(p=0.33)。また,3セット目においても3条件間での有意差は認められなかった(p=0.10)。
【結論】変動係数は筋内活動分布の均一性を示し,同種の運動単位は局在していることから,LRTはHIと同種類の運動単位の動員が起こっているものと思われる。しかしながら,活動強度はHIより低く,動員された運動単位の数が異なることが推察される。一般的に,サイズの原理より動員される運動単位の大きさと数は増加するとされているが,本研究結果より,LRTは低強度にもかかわらず,HIと同種の運動単位を動員している可能性が示唆された。今後,介入研究や,LRTの主な筋肥大メカニズムの1つとされる代謝・内分泌系作用の影響も検討する必要があるものと考えられる。
【方法】対象は健常成人男性14名とした(21.5±1.0歳)。初めに,筋力測定器(BIODEX社)を用いて,2種類の等速性運動(45°/sec,22.5°/sec)における膝伸展最大トルクを測定した。その後,3条件での膝関節伸展レジスタンス運動をランダムに別々の日に実施した。各条件はそれぞれ,①LRT:22.5°/sec,40%最大トルクで7回×3セット,②高負荷運動(High Intensity:HI):45°/sec,80%最大トルクで7回×3セット,③低負荷運動(Low Intensity:LI):45°/sec,40%最大トルクで14回×3セットとした。また,全ての運動時に64チャンネルの高密度表面筋電図(OT Bioelettronica社)を使用して外側広筋の筋活動を測定した。データ解析は,各条件において,1・3セット目の膝関節屈曲65~75°のRMS(Root Mean Square)を最大随意収縮時のデータをもとに正規化を行った後,64チャンネル分の平均値および変動係数を算出した。統計学的解析は,一元配置分散分析を用い,事後検定としてKruskal-Wallis検定を行った。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】1セット目の%MVCにおいて,HIはLRTと比較して有意に高い値を示した(p=0.00005)。また,3セット目においてもHIはLRTより有意に高い値を示した(p=0.00009)。1セット目における変動係数は,3条件間で有意な差は認めなかった(p=0.33)。また,3セット目においても3条件間での有意差は認められなかった(p=0.10)。
【結論】変動係数は筋内活動分布の均一性を示し,同種の運動単位は局在していることから,LRTはHIと同種類の運動単位の動員が起こっているものと思われる。しかしながら,活動強度はHIより低く,動員された運動単位の数が異なることが推察される。一般的に,サイズの原理より動員される運動単位の大きさと数は増加するとされているが,本研究結果より,LRTは低強度にもかかわらず,HIと同種の運動単位を動員している可能性が示唆された。今後,介入研究や,LRTの主な筋肥大メカニズムの1つとされる代謝・内分泌系作用の影響も検討する必要があるものと考えられる。