[P-KS-34-3] 負荷量の差における大腿四頭筋筋厚変化と最大等尺性膝伸展筋力の関係性
Keywords:超音波画像診断, 筋厚, 大腿四頭筋
【目的】
近年,超音波画像診断装置を用いた筋厚測定は,低コスト・無侵襲であり対象となる筋を的確に評価する方法として注目されている。過去には,大腿四頭筋筋厚と膝伸展筋力の関係性を報告する論文も散見されるが,負荷量の変化に応じた大腿四頭筋筋厚の変化は報告が少ない。そこで本研究は,超音波画像診断装置を用いて,負荷量の差における大腿四頭筋筋厚の変化を評価し,大腿四頭筋における筋出力の差と筋厚の関係性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は成人男性10名とした。測定肢は,対象者に対し筋力測定器イージーテックプラス(イージーテック社製)を用いて膝関節60度屈曲位における最大等尺性膝伸展トルクを測定し,高値の側10肢を採用した。筋厚測定は,レッグエクステンション(Technogym社製)を用い,安静時に加え,最大トルク計測時と同条件で,0kg(下腿重のみ),5kg,10kg,15kg,20kgの負荷下における収縮時の計6条件で行った。計測項目は,各条件における収縮時,最大等尺性膝伸展運動における収縮時の大腿直筋(RF)と中間広筋(VI)の筋厚,身長,体重,最大膝伸展トルクとした。プロトコールは,最大膝伸展トルク測定を1日目,他項目の測定は疲労を考慮し2日目に行った。2日目の計測は,被験者に各負荷量を無作為な順番で実施した。筋厚測定は超音波画像診断装置Xario(東芝メディカルシステムズ(株)製)を使用,プローブはリニア型9.0(MHz)を用いた。プローブは被験者の大腿長50%位にあて,短軸像を撮影した。撮影した画像をもとにRF筋厚とVI筋厚を測定した。測定した筋厚は体重で除し,体重比筋厚として使用した。
統計処理に関して,各項目の関係性はPearsonの積率相関係数を用いて検定を行った。また,各負荷量間の差は一元配置分散分析を用いて検証し,有意差を認めた場合,Tukeyの多重比較検定を行った。負荷量は既定負荷量と,各被験者の最大膝伸展トルクより求めた相対的負荷量の2視点から統計処理を行った。
【結果】
大腿直筋の既定負荷量における収縮時筋厚は,0kgと他負荷量間でのみ有意差を認め,5kgから20kgの各負荷量間では有意差を認めなかった。相対的負荷量と大腿直筋の収縮時筋厚はやや高い正の相関を示した(r=0.61,p<0.01)。大腿直筋の0kg収縮時筋厚は最大膝伸展トルクとの間に高い負の相関を示した(r=-0.82,p<0.01)。中間広筋の収縮時筋厚は,すべての負荷量間で有意差を認めなかった。
【結論】
負荷量は既定負荷量ではなく相対的負荷量として扱うことで負荷量の増加に応じた変化を捉えることが可能になることが示唆された。また,等尺性膝伸展運動の際,極低負荷時の筋厚が最大筋力を予測する一要因となりうることが示された。
近年,超音波画像診断装置を用いた筋厚測定は,低コスト・無侵襲であり対象となる筋を的確に評価する方法として注目されている。過去には,大腿四頭筋筋厚と膝伸展筋力の関係性を報告する論文も散見されるが,負荷量の変化に応じた大腿四頭筋筋厚の変化は報告が少ない。そこで本研究は,超音波画像診断装置を用いて,負荷量の差における大腿四頭筋筋厚の変化を評価し,大腿四頭筋における筋出力の差と筋厚の関係性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は成人男性10名とした。測定肢は,対象者に対し筋力測定器イージーテックプラス(イージーテック社製)を用いて膝関節60度屈曲位における最大等尺性膝伸展トルクを測定し,高値の側10肢を採用した。筋厚測定は,レッグエクステンション(Technogym社製)を用い,安静時に加え,最大トルク計測時と同条件で,0kg(下腿重のみ),5kg,10kg,15kg,20kgの負荷下における収縮時の計6条件で行った。計測項目は,各条件における収縮時,最大等尺性膝伸展運動における収縮時の大腿直筋(RF)と中間広筋(VI)の筋厚,身長,体重,最大膝伸展トルクとした。プロトコールは,最大膝伸展トルク測定を1日目,他項目の測定は疲労を考慮し2日目に行った。2日目の計測は,被験者に各負荷量を無作為な順番で実施した。筋厚測定は超音波画像診断装置Xario(東芝メディカルシステムズ(株)製)を使用,プローブはリニア型9.0(MHz)を用いた。プローブは被験者の大腿長50%位にあて,短軸像を撮影した。撮影した画像をもとにRF筋厚とVI筋厚を測定した。測定した筋厚は体重で除し,体重比筋厚として使用した。
統計処理に関して,各項目の関係性はPearsonの積率相関係数を用いて検定を行った。また,各負荷量間の差は一元配置分散分析を用いて検証し,有意差を認めた場合,Tukeyの多重比較検定を行った。負荷量は既定負荷量と,各被験者の最大膝伸展トルクより求めた相対的負荷量の2視点から統計処理を行った。
【結果】
大腿直筋の既定負荷量における収縮時筋厚は,0kgと他負荷量間でのみ有意差を認め,5kgから20kgの各負荷量間では有意差を認めなかった。相対的負荷量と大腿直筋の収縮時筋厚はやや高い正の相関を示した(r=0.61,p<0.01)。大腿直筋の0kg収縮時筋厚は最大膝伸展トルクとの間に高い負の相関を示した(r=-0.82,p<0.01)。中間広筋の収縮時筋厚は,すべての負荷量間で有意差を認めなかった。
【結論】
負荷量は既定負荷量ではなく相対的負荷量として扱うことで負荷量の増加に応じた変化を捉えることが可能になることが示唆された。また,等尺性膝伸展運動の際,極低負荷時の筋厚が最大筋力を予測する一要因となりうることが示された。