[P-KS-35-2] 片脚立位時の下腿と足部の連動について
キーワード:片脚立位, 下肢機能, 角速度
【はじめに,目的】
片脚立位(OLS)は,立位バランス能力や歩行能力,体幹および下肢機能の評価に用いられる。ところが,OLSを保持している間の接地側下肢の運動については明らかにされていない。本研究では,OLS時における接地側の下腿と足部の運動にどのような関係があるのかを検討した。
【方法】
対象は四肢体幹に整形外科的および神経学的疾患の既往のない健常男性20名(20~21歳)とした。機器について,小型無線多機能センサ(TSND121,ATR-Promotions Inc.,1000Hz,以下:センサ)2つを用いた。そのうち1つは,X軸が下腿軸と平行になるように右脛骨粗面直下部(L)に,もう1つは,第3中足骨と平行となるように右第2~4中足骨部(F)に固定した(2個のセンサのY軸は右側向き)。また,センサと身体との間に生じる隙間を補正するためにクッション材を加工して挟んだ。課題について,両手を腰にあてた状態で安静立位(閉足)を約10秒間保持したのち,右側OLS(左側遊脚)を約120秒間保持させた。その間,左側足先を床から10cm程度離し,3m前方の壁を直視させた。このときのLとFの加速度と角速度変化をセンサ内蔵メモリに記録した。計測後,そのデータをBluetooth通信によってコンピュータに取り込んだ。解析について,計測データに対してノイズ処理を施した。次に,安静立位時の加速度から,LのX軸およびFのZ軸が,鉛直方向を向くように座標変換した。Lの3軸加速度合成値の変化の極小値検出から,Lの運動が安定している区間の抽出をカスタムプログラムを用いて,OLS時すべてのデータに対して行った。そのときのLの3軸角速度(Lx,Ly,Lz)に対するFの3軸角速度(Fx,Fy,Fz)それぞれの相関係数を求めた。また,この処理を全被検者データに行い,相関係数の絶対値が0.7以上となった被検者の割合(%)を求めた。解析処理にPython3.5.2を用いた。
【結果】
①相関係数(最大/最小)と②相関係数の絶対値が0.7以上となった被検者の割合(%)について,Lx対するFx・Fy・Fzは,①:0.916/0.707・0.908/0.551・-0.14/-0.819,②:100・85・30,Lyに対するFx・Fy・Fzは,①:0.886/0.305・0.891/0.271・-0.067/-0.754,②:50・65・10,Lzに対するFx・Fy・Fzは,①:-0.621/-0.933・-0.41/-0.909・0.814/0.118,②:90・85・45,となった。
【結論】
今回の結果から,OLS接地側の下腿回旋・膝関節屈伸と,足部内-外がえし・足関節底背屈(特に下腿の回旋と足部の内-外がえし)の運動は連動することが明らかとなった。立位時の重心移動に伴う下肢の運動連鎖(膝関節の屈曲・外反・内旋,下腿の内旋・内側・前方と足部の回内,あるいは,その逆)と類似しており,OLSの姿勢保持間でも,接地側下肢に連鎖的な運動が生じていると推察できる。
片脚立位(OLS)は,立位バランス能力や歩行能力,体幹および下肢機能の評価に用いられる。ところが,OLSを保持している間の接地側下肢の運動については明らかにされていない。本研究では,OLS時における接地側の下腿と足部の運動にどのような関係があるのかを検討した。
【方法】
対象は四肢体幹に整形外科的および神経学的疾患の既往のない健常男性20名(20~21歳)とした。機器について,小型無線多機能センサ(TSND121,ATR-Promotions Inc.,1000Hz,以下:センサ)2つを用いた。そのうち1つは,X軸が下腿軸と平行になるように右脛骨粗面直下部(L)に,もう1つは,第3中足骨と平行となるように右第2~4中足骨部(F)に固定した(2個のセンサのY軸は右側向き)。また,センサと身体との間に生じる隙間を補正するためにクッション材を加工して挟んだ。課題について,両手を腰にあてた状態で安静立位(閉足)を約10秒間保持したのち,右側OLS(左側遊脚)を約120秒間保持させた。その間,左側足先を床から10cm程度離し,3m前方の壁を直視させた。このときのLとFの加速度と角速度変化をセンサ内蔵メモリに記録した。計測後,そのデータをBluetooth通信によってコンピュータに取り込んだ。解析について,計測データに対してノイズ処理を施した。次に,安静立位時の加速度から,LのX軸およびFのZ軸が,鉛直方向を向くように座標変換した。Lの3軸加速度合成値の変化の極小値検出から,Lの運動が安定している区間の抽出をカスタムプログラムを用いて,OLS時すべてのデータに対して行った。そのときのLの3軸角速度(Lx,Ly,Lz)に対するFの3軸角速度(Fx,Fy,Fz)それぞれの相関係数を求めた。また,この処理を全被検者データに行い,相関係数の絶対値が0.7以上となった被検者の割合(%)を求めた。解析処理にPython3.5.2を用いた。
【結果】
①相関係数(最大/最小)と②相関係数の絶対値が0.7以上となった被検者の割合(%)について,Lx対するFx・Fy・Fzは,①:0.916/0.707・0.908/0.551・-0.14/-0.819,②:100・85・30,Lyに対するFx・Fy・Fzは,①:0.886/0.305・0.891/0.271・-0.067/-0.754,②:50・65・10,Lzに対するFx・Fy・Fzは,①:-0.621/-0.933・-0.41/-0.909・0.814/0.118,②:90・85・45,となった。
【結論】
今回の結果から,OLS接地側の下腿回旋・膝関節屈伸と,足部内-外がえし・足関節底背屈(特に下腿の回旋と足部の内-外がえし)の運動は連動することが明らかとなった。立位時の重心移動に伴う下肢の運動連鎖(膝関節の屈曲・外反・内旋,下腿の内旋・内側・前方と足部の回内,あるいは,その逆)と類似しており,OLSの姿勢保持間でも,接地側下肢に連鎖的な運動が生じていると推察できる。