[P-KS-38-1] 立位における体幹伸展運動の反復回数の違いが腰背筋の血液循環動態および筋活動に及ぼす影響
Keywords:体幹伸展運動, 腰背筋, 血液循環動態
【はじめに】
近年,腰痛症に対する運動療法として,立位での体幹伸展運動(伸展運動)が推奨される。その生理的機序は明確でないことから,我々は第51回本学会にて腰背筋の血液循環動態を検討した結果,血液循環動態の改善が期待できることを示唆した。しかし,今後,妥当な伸展運動の施行回数についての検討が課題となった。本研究の目的は,伸展運動の反復回数の違いが,腰背筋の血液循環動態および筋活動に及ぼす影響を検討し,妥当な施行回数の一指標を得ることである。
【方法】
対象は健常成人男性16名(年齢23.2±6.2歳,身長170.1±4.4cm,体重61.8±5.6kg,modified Schober test伸展-3.7±0.8cm)とした。運動課題は両手を両腸骨稜後面に位置させた立位から最大体幹伸展で保持(伸展相),そこから再び立位に戻り,立位姿勢を保持(立位相),これを1セットとする運動を行わせた。運動課題の反復回数は5セットとし,各姿勢の保持時間は10秒間とした。運動中は頭頸部中間位で,呼吸は止めることなく実施した。測定項目は伸展相と立位相における腰背筋の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deOxy-Hb),総ヘモグロビン(total-Hb)を近赤外線組織酸素モニタ装置(Pocket NIRS Duo,DynaSense社製)を用いて,筋活動量を表面筋電計(TeleMyo2400,Noraxon社製)を用いて計測した。なお各ヘモグロビン値は運動課題前における立位時の値を0とした相対的変化で求めた。各相の筋活動量は運動課題前における立位時の値で正規化した。立位相と伸展相における反復回数要因(5水準)と姿勢要因(2水準,立位相と伸展相)での各ヘモグロビン値の相対的変化と筋活動量を二元配置分散分析,post hoc testはShafferの方法を用いて比較検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
筋活動量は反復回数,姿勢,いずれの要因においても各水準間に有意差を認めなかった。姿勢要因では,Oxy-Hb,deOxy-Hb,total-Hbのいずれも立位相と比較して伸展相で有意に増加する主効果を認めた。反復回数要因では,Oxy-Hb,deOxy-Hbのいずれも各水準間に有意差を認めなかった。total-Hbは伸展相での2セット目と3セット目が1セット目よりも高値を示し,4セット目からは有意差を認めなかった。
【結論】
伸展相では動脈環流量の増加に伴う血流量の増加が期待できることが示唆され,それは3セット目までは期待できる可能性が示された。
近年,腰痛症に対する運動療法として,立位での体幹伸展運動(伸展運動)が推奨される。その生理的機序は明確でないことから,我々は第51回本学会にて腰背筋の血液循環動態を検討した結果,血液循環動態の改善が期待できることを示唆した。しかし,今後,妥当な伸展運動の施行回数についての検討が課題となった。本研究の目的は,伸展運動の反復回数の違いが,腰背筋の血液循環動態および筋活動に及ぼす影響を検討し,妥当な施行回数の一指標を得ることである。
【方法】
対象は健常成人男性16名(年齢23.2±6.2歳,身長170.1±4.4cm,体重61.8±5.6kg,modified Schober test伸展-3.7±0.8cm)とした。運動課題は両手を両腸骨稜後面に位置させた立位から最大体幹伸展で保持(伸展相),そこから再び立位に戻り,立位姿勢を保持(立位相),これを1セットとする運動を行わせた。運動課題の反復回数は5セットとし,各姿勢の保持時間は10秒間とした。運動中は頭頸部中間位で,呼吸は止めることなく実施した。測定項目は伸展相と立位相における腰背筋の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deOxy-Hb),総ヘモグロビン(total-Hb)を近赤外線組織酸素モニタ装置(Pocket NIRS Duo,DynaSense社製)を用いて,筋活動量を表面筋電計(TeleMyo2400,Noraxon社製)を用いて計測した。なお各ヘモグロビン値は運動課題前における立位時の値を0とした相対的変化で求めた。各相の筋活動量は運動課題前における立位時の値で正規化した。立位相と伸展相における反復回数要因(5水準)と姿勢要因(2水準,立位相と伸展相)での各ヘモグロビン値の相対的変化と筋活動量を二元配置分散分析,post hoc testはShafferの方法を用いて比較検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
筋活動量は反復回数,姿勢,いずれの要因においても各水準間に有意差を認めなかった。姿勢要因では,Oxy-Hb,deOxy-Hb,total-Hbのいずれも立位相と比較して伸展相で有意に増加する主効果を認めた。反復回数要因では,Oxy-Hb,deOxy-Hbのいずれも各水準間に有意差を認めなかった。total-Hbは伸展相での2セット目と3セット目が1セット目よりも高値を示し,4セット目からは有意差を認めなかった。
【結論】
伸展相では動脈環流量の増加に伴う血流量の増加が期待できることが示唆され,それは3セット目までは期待できる可能性が示された。