The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-39] ポスター(基礎)P39

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-39-3] 経皮的動脈血炭酸ガスと経皮的酸素飽和度測定値のタイムラグ

石坂 正大1, 田崎 正倫2, 梅田 啓3, 鈴木 悠2, 久保 晃1 (1.国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科, 2.国際医療福祉大学塩谷病院リハビリテーション室, 3.国際医療福祉大学塩谷病院呼吸器内科)

Keywords:経皮的動脈血液ガス分析, 経皮的酸素飽和度, タイムラグ

【はじめに,目的】非侵襲的代替検査法により,CO2分圧測定を含めた動脈血液ガス分析を経皮的に行うことが可能となった。経皮的動脈血液ガス分析は拡散するO2とCO2が電極を介した電位差とpH変化により測定され,経皮的酸素飽和度(以下SpO2)は異なる波長の光による脈波の振幅比により測定され異なる測定原理である。一方,臨床では運動中に息切れが生じ,O2またはCO2のモニターにより運動を制御するが,自覚症状とO2またはCO2の測定値にはタイムラグが生じると考えられる。そこで,本研究は健常成人における「Breath Holding法:以下BH法」と「Paper Bag Rebrething法;以下PB法」における経皮的動脈血CO2とSpO2測定値のタイムラグを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,呼吸器疾患の既往のない健常成人男性13名,年齢は24.0±3.0歳(平均±標準偏差)とした。対象者はBH法とPB法を行い,2つの機器で同時測定を行った。測定プロトコルはBH法を行い,最低15分以上の休憩を行った後,PB法を実施した。BH法,PB法ともに課題の終了は本人が課題継続困難と感じて終了した場合またはSpO2が90%を下回ったときは検者より課題を終了させた。また,課題終了時にはボルグスケールにて自覚症状を測定した。経皮的動脈血ガス測定として経皮的血液ガス分析装置TCM4(ラジオメーター社製)にてtcPO2およびtcPCO2,経皮的酸素飽和度モニターにてSpO2および脈拍数を測定した。また本研究ではBH法およびPB法の課題終了から最低値または最高値を示すまでのタイムラグに着目した。BH法とPB法の課題間およびtcPO2とSpO2の測定機器間の比較を対応のあるt検定で比較した。なお,有意水準はすべて5%とした。【結果】課題継続時間はBH法が93.5±24.1秒,PB法は126.1±23.1秒であり,10名はBH法の方が早く課題を終了した。BH法よりPB法が早く終了した対象者は3名であった。ボルグスケールは,両課題とも中央値15(最小13-最大19)であった。SpO2のタイムラグはBH法14.0±5.7秒,PB法17.1±10.9秒であった。また,tcPO2ではBH法23.7±8.6秒,PB法26.5±10.1秒であった。測定機器間の比較においてSpO2に比べ,tcPO2は有意に長いタイムラグがみられた。また,SpO2モニターによる脈拍数のタイムラグはBH法18.7±13.2秒,PB法16.4±11.8秒であった。tcPCO2ではBH法31.7±12.7秒,PB法34.9±11.5秒であった。BH法とPB法の課題間のタイムラグはすべて有意差がみられなかった。【結論】BH法とPB法の課題時終了時の呼吸苦は同程度であり,PB法の方が長く課題を継続することが可能であった。しかし,BH法とPB法の課題間のタイムラグに統計的な違いはみられなかった。健常成人のBH法とPB法は,tcPO2が約25秒,tcPCO2が約35秒,SpO2および脈拍数が約20秒のタイムラグであることが明らかとなった。つまり,測定機器により課題終了後に生じる測定値のタイムラグが異なっていた。