[P-KS-41-1] 足踏み時の術側下肢荷重率は歩行練習の歩行補助具を選択するための指標となる
Keywords:足踏み動作, 荷重率, 歩行補助具
【はじめに,目的】
下肢術後患者の理学療法では,廃用性の筋力低下や骨萎縮の予防のためにできる限り早期の段階で可能な限り荷重を行う必要がある。一方で,下肢術後患者は疼痛があるため術後早期から全荷重をかけることが難しい場合が多い。そのため,術後歩行練習では患者が荷重できる荷重率に合わせて適切に歩行補助具を選択する必要がある。一般的に,下肢荷重率は市販の体重計を用いて静的な立位で測定することが多い。近年,動的な足踏み動作の荷重量を測定する機器が普及し始めている。しかし,使用している歩行補助具の種類により動的条件で測定された荷重率が異なるかはまだ明らかではない。そこで,本研究の目的は歩行補助具の種類により荷重率が異なるかを明らかにすることである。
【方法】
対象は当院整形外科下肢術後患者で,主治医から全荷重の許可を得たものとした。除外基準は測定が適切に行えないもの,受傷前に歩行をしていないものとした。評価項目は術側下肢荷重率と理学療法中に使用している歩行補助具の種類とした。荷重量の測定は,重心動揺計を使用した。荷重量を測定する動作は歩行器内での足踏みとした。足踏み中はできる限り歩行器を把持しないように説明し,歩行器を把持しなくても足踏みが行えるものは歩行器を把持しないで足踏みを行った。足踏みは連続14回とした。新しい歩行補助具での歩行練習を開始した日のデータを得るために,理学療法開始前に毎日測定を行った。今回対象とした歩行補助具の種類は,車輪付き歩行器,1本杖,歩行補助具なしの3種類とした。解析対象は足踏みの開始から4回を除いた術側下肢の5回とした。荷重量を体重で除した値を荷重率として算出し,術側下肢の最大値を術側最大荷重率とした。統計解析はShapiro-wilk検定にて正規性を確認した後に,一元配置分散分析を用い各歩行補助具使用開始時の術側最大荷重率の比較を行った。なお有意水準は5%とした。
【結果】
対象は人工膝関節全置換術後5名,大腿骨頸部骨折骨接合術後6名,人工骨頭置換術後3名,足関節テンションワイアリング術後1名の計15名であった。対象の平均年齢は79歳,改訂長谷川式簡易知能評価スケールの平均は24点であった。全対象がすべての歩行補助具の種類を経験しなかったため,理学療法中に各歩行補助具を使用した人数は車輪付き歩行器が6名,1本杖が8名,歩行補助具なしが9名であった。各歩行補助具使用開始時の術側最大荷重率は,車輪付き歩行器が69.8±5.1%,1本杖が83.3±9.9%,歩行補助具なしが104.5±3.6%であり,すべての歩行補助具間で有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
補助具使用開始時の術側最大荷重率は歩行補助具の種類により異なることが明らかとなった。このことから足踏み時の術側最大荷重率は,歩行補助具を選択する指標になりえると考えられる。今後は各歩行補助具間のカットオフ値と尤度比を求める必要がある。
下肢術後患者の理学療法では,廃用性の筋力低下や骨萎縮の予防のためにできる限り早期の段階で可能な限り荷重を行う必要がある。一方で,下肢術後患者は疼痛があるため術後早期から全荷重をかけることが難しい場合が多い。そのため,術後歩行練習では患者が荷重できる荷重率に合わせて適切に歩行補助具を選択する必要がある。一般的に,下肢荷重率は市販の体重計を用いて静的な立位で測定することが多い。近年,動的な足踏み動作の荷重量を測定する機器が普及し始めている。しかし,使用している歩行補助具の種類により動的条件で測定された荷重率が異なるかはまだ明らかではない。そこで,本研究の目的は歩行補助具の種類により荷重率が異なるかを明らかにすることである。
【方法】
対象は当院整形外科下肢術後患者で,主治医から全荷重の許可を得たものとした。除外基準は測定が適切に行えないもの,受傷前に歩行をしていないものとした。評価項目は術側下肢荷重率と理学療法中に使用している歩行補助具の種類とした。荷重量の測定は,重心動揺計を使用した。荷重量を測定する動作は歩行器内での足踏みとした。足踏み中はできる限り歩行器を把持しないように説明し,歩行器を把持しなくても足踏みが行えるものは歩行器を把持しないで足踏みを行った。足踏みは連続14回とした。新しい歩行補助具での歩行練習を開始した日のデータを得るために,理学療法開始前に毎日測定を行った。今回対象とした歩行補助具の種類は,車輪付き歩行器,1本杖,歩行補助具なしの3種類とした。解析対象は足踏みの開始から4回を除いた術側下肢の5回とした。荷重量を体重で除した値を荷重率として算出し,術側下肢の最大値を術側最大荷重率とした。統計解析はShapiro-wilk検定にて正規性を確認した後に,一元配置分散分析を用い各歩行補助具使用開始時の術側最大荷重率の比較を行った。なお有意水準は5%とした。
【結果】
対象は人工膝関節全置換術後5名,大腿骨頸部骨折骨接合術後6名,人工骨頭置換術後3名,足関節テンションワイアリング術後1名の計15名であった。対象の平均年齢は79歳,改訂長谷川式簡易知能評価スケールの平均は24点であった。全対象がすべての歩行補助具の種類を経験しなかったため,理学療法中に各歩行補助具を使用した人数は車輪付き歩行器が6名,1本杖が8名,歩行補助具なしが9名であった。各歩行補助具使用開始時の術側最大荷重率は,車輪付き歩行器が69.8±5.1%,1本杖が83.3±9.9%,歩行補助具なしが104.5±3.6%であり,すべての歩行補助具間で有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
補助具使用開始時の術側最大荷重率は歩行補助具の種類により異なることが明らかとなった。このことから足踏み時の術側最大荷重率は,歩行補助具を選択する指標になりえると考えられる。今後は各歩行補助具間のカットオフ値と尤度比を求める必要がある。