第52回日本理学療法学術大会

講演情報

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-41] ポスター(基礎)P41

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-41-5] 地域在住女性高齢者における50mラウンド歩行テストと身体機能との関連

八谷 瑞紀1, 村田 伸2, 大田尾 浩1, 溝田 勝彦1, 久保 温子1, 古後 晴基1, 田中 真一1, 満丸 望1, 上城 憲司1, 浅見 豊子3 (1.西九州大学, 2.京都橘大学, 3.佐賀大学)

キーワード:50mラウンド歩行テスト, 地域在住高齢者, 身体機能

【はじめに,目的】我々は,高齢者の歩行能力を評価する方法として50mラウンド歩行テスト(50m-RWT)を開発した。これまで評価方法の妥当性および信頼性について日本理学療法学術大会において報告した(2014,2015年)。しかし,50m-RWTに独立して影響を及ぼす要因は明らかになっていない。そこで本研究は,50m-RWTと身体機能と関連を明らかにすることを目的とした。

【方法】対象は,自治体主催の体力測定会に参加した女性高齢者74名(平均年齢74±5歳)である。測定項目は,握力,大腿四頭筋筋力,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30),Functional reach test(FRT),片足立ちテスト,50m-RWTとした。50m-RWTは,10mの歩行路間に配置したコーンを2.5往復して合計50mを歩いてもらった。測定は歩行開始から50mに到達するまでの所要時間をストップウォッチで測定した。測定方法は,開始前の姿勢は静止立位とし,コーンの横に立つ。対象者には,検査者の合図で歩き出すこと,目印の外側を往復することを伝え,歩行条件は最速歩行とした。ストップウォッチの操作は,歩行開始から40m(2往復目)までは10m毎に区間経過時間の計測を行い,50m終了時にストップを押す。記録する評価項目は,50mの所要時間,および10m毎の所要時間(ラップ1から5)である。統計学的解析は,50m-RWTと身体機能との関連を見るために相関係数を求めた。そして,従属変数を50m-RWT,独立変数を握力,大腿四頭筋筋力,CS-30,FRT,片足立ちテストとした重回帰分析のStepwise法を用いて,50m-RWTに影響を及ぼす因子を抽出した。なお,統計解析にはSPSS22.0(IBM社)を用い有意水準は5%とした。

【結果】50m-RWTと有意な相関を認めたのは,CS-30(r=-0.54,p<0.01),FRT(r=-0.25,p<0.05),片足立ちテスト(r=-0.42,p<0.01)であった。握力と大腿四頭筋筋力は有意な相関を認めなかった。Stepwise法による重回帰分析の結果,50m-RWTに影響を及ぼす要因は,CS-30(β=-0.44,p<0.01)と片足立ちテスト(β=-0.24,p<0.05)が抽出された(R2=0.34,p<0.01)。

【結論】本研究では,健常な女性高齢者を対象に50m-RWTに影響を及ぼすことが考えられる,握力,大腿四頭筋筋力,CS-30,FRT,片足立ちテストを測定し関連を検討した。重回帰分析の結果より,CS-30と片足立ちテストが50m-RWTに独立して影響を及ぼす因子として抽出された。CS-30は回数が多いほど,片足立ちは保持時間が長いほどに50m-RWTが速くなるという関係が認められた。