[P-KS-45-5] 体幹側背部筋群の選択的収縮が体幹偏位および体幹左右荷重比に及ぼす影響
Keywords:体幹偏位, 荷重比, 側背部筋群
【はじめに,目的】
体幹の側方偏位を形成する要因の一つとして,一側の体幹側背部筋群の強い関与が考えられる。それは胸郭や腰椎のアライメントを正中位より逸脱させることを意味するものであり,体幹の骨格のゆがみが体幹筋全体にわたる長さや張力に不均衡を与え,一層体幹筋に散在的な筋緊張を形成する。そして運動における開始肢位においては,体幹の左右での荷重比に偏りが生じた状態となり,運動方向を既定してしまう結果に陥るものと考える。本研究では,体幹側背部筋群に対し人為的に筋収縮を起こし,体幹偏位および体幹の左右荷重比との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は健常成人男性11名(25.3±2.6歳)とした。測定肢位は坐骨支持の端坐位とし,体幹偏位の観察には3次元動作解析装置(VICON MX)を用いた。胸郭および骨盤セグメントを作成するため赤外線反射マーカーを貼付した。胸郭セグメントは第2胸肋関節レベルで,体幹前面と側面に体幹中心から等間隔に左右2点,計4点配置した。骨盤セグメントは左右ASIS・PSISに4点配置した。胸郭・骨盤マーカーの中心点を算出し,X座標値で体幹偏位量を算出した。体幹荷重比は体重計を用いて荷重量を測定し,左右の比率値を代表値とした。筋収縮には電気刺激装置(プロテクノPNF PRIME)を使用し,広背筋・外腹斜筋・下後鋸筋への収縮を主とした位置へ電極を貼付した。統計学的処理は,体幹側方偏位量と体幹荷重比変化量を安静時と体幹側背部筋群の左右活動でそれぞれ対応のあるt検定を用いて比較検討した。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者の82%が安静時において体幹の左偏位を呈していた。左側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に右側へ偏位しており,右側の筋活動刺激においては安静時と比較し有意に左側へ偏位した(p<0.05)。また,左側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に右側の荷重比が増加し(p>0.01),右側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に左側の荷重比が増加した(p<0.05)。また,各施行において体幹の側屈・回旋角度に有意な差はみられなかった(p>0.05)。
【結論】
今回の検討により,体幹の側背部筋群の人為的な活動が体幹を非活動側へ偏位させ,荷重にも影響を及ぼすことが示唆された。しかしこれは,課題により体幹に側屈・回旋運動を与えるものではなく,ほぼ単純な並進方向への運動変化として捉えられた。今回対象とした被験筋の協同的な収縮は体幹を側方から支持し,中心軸方向へ偏位させる作用を有するといえる。したがって,今回の検討により得られた結果は,体幹の偏位に関与する一要因を証明するものであり,過剰な体幹偏位を有する者に対しその偏位を修正するヒントになると考える。
体幹の側方偏位を形成する要因の一つとして,一側の体幹側背部筋群の強い関与が考えられる。それは胸郭や腰椎のアライメントを正中位より逸脱させることを意味するものであり,体幹の骨格のゆがみが体幹筋全体にわたる長さや張力に不均衡を与え,一層体幹筋に散在的な筋緊張を形成する。そして運動における開始肢位においては,体幹の左右での荷重比に偏りが生じた状態となり,運動方向を既定してしまう結果に陥るものと考える。本研究では,体幹側背部筋群に対し人為的に筋収縮を起こし,体幹偏位および体幹の左右荷重比との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は健常成人男性11名(25.3±2.6歳)とした。測定肢位は坐骨支持の端坐位とし,体幹偏位の観察には3次元動作解析装置(VICON MX)を用いた。胸郭および骨盤セグメントを作成するため赤外線反射マーカーを貼付した。胸郭セグメントは第2胸肋関節レベルで,体幹前面と側面に体幹中心から等間隔に左右2点,計4点配置した。骨盤セグメントは左右ASIS・PSISに4点配置した。胸郭・骨盤マーカーの中心点を算出し,X座標値で体幹偏位量を算出した。体幹荷重比は体重計を用いて荷重量を測定し,左右の比率値を代表値とした。筋収縮には電気刺激装置(プロテクノPNF PRIME)を使用し,広背筋・外腹斜筋・下後鋸筋への収縮を主とした位置へ電極を貼付した。統計学的処理は,体幹側方偏位量と体幹荷重比変化量を安静時と体幹側背部筋群の左右活動でそれぞれ対応のあるt検定を用いて比較検討した。なお,有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者の82%が安静時において体幹の左偏位を呈していた。左側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に右側へ偏位しており,右側の筋活動刺激においては安静時と比較し有意に左側へ偏位した(p<0.05)。また,左側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に右側の荷重比が増加し(p>0.01),右側の筋活動刺激では安静時と比較し有意に左側の荷重比が増加した(p<0.05)。また,各施行において体幹の側屈・回旋角度に有意な差はみられなかった(p>0.05)。
【結論】
今回の検討により,体幹の側背部筋群の人為的な活動が体幹を非活動側へ偏位させ,荷重にも影響を及ぼすことが示唆された。しかしこれは,課題により体幹に側屈・回旋運動を与えるものではなく,ほぼ単純な並進方向への運動変化として捉えられた。今回対象とした被験筋の協同的な収縮は体幹を側方から支持し,中心軸方向へ偏位させる作用を有するといえる。したがって,今回の検討により得られた結果は,体幹の偏位に関与する一要因を証明するものであり,過剰な体幹偏位を有する者に対しその偏位を修正するヒントになると考える。