[P-KS-47-2] 超音波画像解析を用いた大殿筋上部繊維,中殿筋後部線維の活動状態評価
大殿筋の活動状態が中殿筋後部線維に及ぼす影響について
Keywords:超音波画像解析, 筋活動, 中殿筋
【はじめに,目的】
中殿筋後部線維(以下,後部線維)は大殿筋上部繊維(以下,大殿筋)の深層に位置し,立脚時に大腿骨頭を求心位に引き付け,骨盤の安定化に作用していると報告されている。現在までの後部線維に関する先行研究は針筋電図を用いたものがほとんどであり,運動時における活動状態を報告したものは少ない。昨年度,我々はShear Wave Elastgraphyを用い,後部線維が股関節内旋位での片脚立位にて最も活動することを報告した。しかし,前述の通り後部線維は大殿筋に広く覆われている為,大殿筋の活動状態の影響を受けると考えられた。そこで今回,片脚立位時における大殿筋の活動状態が後部線維の活動状態に及ぼす影響について検討する事とした。
【方法】
対象は既往のない健常男性12名(年齢25.1±1.3歳)の左下肢の大殿筋および後部線維とした。測定機器は超音波診断装置(TOSHIBA社製,Aplio500)を用いた。測定箇所は上後腸骨棘と大転子を結ぶ線の50%の箇所とし,自作の固定具を用いてプローブを固定した。運動課題は股関節中間位・外旋位・内旋位での安静立位と片脚立位とした。各肢位にて安静立位時と片脚立位時の超音波画像を撮像し,各筋の筋弾性率と筋厚を測定した。その後,安静立位に対する片脚立位時の筋硬増加率と筋厚増加率を算出した。検討課題は被験者12名の中間位,外旋位,内旋位での片脚立位時における各筋の筋硬増加率と筋厚増加率の比較とした。統計学的解析はSPSS ver.20を使用し,一元配置分散分析,多重比較にはTukey法を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
筋硬増加率は後部線維において中間位91.8±31.5%,外旋位93.7±33.5%,内旋位121.2±42.5%であり内旋位と中間位,外旋位にて有意差を認めた。大殿筋では中間位149.6±67.7%,外旋位138.1±52.2%,内旋位174.0±87.6%であり,有意差は認めなかった。筋厚増加率は後部線維において中間位5.4±13.3%,外旋位5.1±12.2%,内旋位-6.6±12.7%であり内旋位と中間位,外旋位にて有意差を認めた。大殿筋では中間位4.9±18.8%,外旋位2.6±15.6%,内旋位17.5±24.3%であり,外旋位と内旋位にて有意差を認めた。
【結論】
大殿筋は内旋位での片脚立位において筋厚増加率が最も増加していた。一方,後部線維では筋硬増加率は内旋位,筋厚増加率は中間位と外旋位にて最も値が増加する結果となった。筋硬増加率にて大殿筋と後部線維が同様の傾向を示しているのは,内旋位によって筋線維が適度に伸張された結果,筋の長さ-張力の関係より筋張力が発揮しやすい状況になったと考える。しかし,筋厚増加率では大殿筋と後部線維は相反する結果となった。大殿筋の筋厚が増加することで,後部線維の筋厚増加が制限されたと考える。現在までに後部線維の筋硬と筋厚を同時に検討した報告はなく,後部線維の筋厚増加率は大殿筋の影響を受ける可能性があることが示された。
中殿筋後部線維(以下,後部線維)は大殿筋上部繊維(以下,大殿筋)の深層に位置し,立脚時に大腿骨頭を求心位に引き付け,骨盤の安定化に作用していると報告されている。現在までの後部線維に関する先行研究は針筋電図を用いたものがほとんどであり,運動時における活動状態を報告したものは少ない。昨年度,我々はShear Wave Elastgraphyを用い,後部線維が股関節内旋位での片脚立位にて最も活動することを報告した。しかし,前述の通り後部線維は大殿筋に広く覆われている為,大殿筋の活動状態の影響を受けると考えられた。そこで今回,片脚立位時における大殿筋の活動状態が後部線維の活動状態に及ぼす影響について検討する事とした。
【方法】
対象は既往のない健常男性12名(年齢25.1±1.3歳)の左下肢の大殿筋および後部線維とした。測定機器は超音波診断装置(TOSHIBA社製,Aplio500)を用いた。測定箇所は上後腸骨棘と大転子を結ぶ線の50%の箇所とし,自作の固定具を用いてプローブを固定した。運動課題は股関節中間位・外旋位・内旋位での安静立位と片脚立位とした。各肢位にて安静立位時と片脚立位時の超音波画像を撮像し,各筋の筋弾性率と筋厚を測定した。その後,安静立位に対する片脚立位時の筋硬増加率と筋厚増加率を算出した。検討課題は被験者12名の中間位,外旋位,内旋位での片脚立位時における各筋の筋硬増加率と筋厚増加率の比較とした。統計学的解析はSPSS ver.20を使用し,一元配置分散分析,多重比較にはTukey法を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
筋硬増加率は後部線維において中間位91.8±31.5%,外旋位93.7±33.5%,内旋位121.2±42.5%であり内旋位と中間位,外旋位にて有意差を認めた。大殿筋では中間位149.6±67.7%,外旋位138.1±52.2%,内旋位174.0±87.6%であり,有意差は認めなかった。筋厚増加率は後部線維において中間位5.4±13.3%,外旋位5.1±12.2%,内旋位-6.6±12.7%であり内旋位と中間位,外旋位にて有意差を認めた。大殿筋では中間位4.9±18.8%,外旋位2.6±15.6%,内旋位17.5±24.3%であり,外旋位と内旋位にて有意差を認めた。
【結論】
大殿筋は内旋位での片脚立位において筋厚増加率が最も増加していた。一方,後部線維では筋硬増加率は内旋位,筋厚増加率は中間位と外旋位にて最も値が増加する結果となった。筋硬増加率にて大殿筋と後部線維が同様の傾向を示しているのは,内旋位によって筋線維が適度に伸張された結果,筋の長さ-張力の関係より筋張力が発揮しやすい状況になったと考える。しかし,筋厚増加率では大殿筋と後部線維は相反する結果となった。大殿筋の筋厚が増加することで,後部線維の筋厚増加が制限されたと考える。現在までに後部線維の筋硬と筋厚を同時に検討した報告はなく,後部線維の筋厚増加率は大殿筋の影響を受ける可能性があることが示された。