[P-KS-48-4] 二重課題は片脚立位時の姿勢動揺を安定させる
メンタルローテーション課題を用いた検討
Keywords:二重課題, メンタルローテーション, 姿勢調節
【はじめに,目的】
最近の研究では,単一課題(以下,ST)の姿勢調節のみよりも,STと同時に認知課題を行った二重課題(以下,DT)条件下において,STのパフォーマンスが向上することが明らかとなっている。
一方,認知課題のひとつ,メンタルローテーション(以下,MR)課題を行うと,実際の身体部位の脳の運動関連領域が賦活されるため,運動能力とMR課題の成績は関係があると考える。
以上のことから,DT条件下でのMR課題の有用性,また,MR課題の成績と姿勢動揺の関係性を明らかにすることを目的とした。今回は姿勢動揺の指標として総軌跡長と矩形面積を用いた。また,MR課題の成績の指標として,正答率を用いた。
【方法】
本研究の対象は,健常大学生42名(男性22名,女性20名)を被験者として用いた。
①ST
「できるだけ揺れないで,片脚で立ってください」の口頭指示のもと,静止片脚立位を利き足で,1m先の壁にある指標を注視させ30秒間行った。
②DT
ディスプレイに両手(足)の手掌面(足底面)と手背面(足背面)を6方向に回転させた画像をランダムに表示させてから,できるだけ早く正確に「右手(足)」,「左手(足)」を,口頭にて回答させた。STである片脚立位を行いながら,それぞれ30秒間遂行した。
被験者は計3回片脚立位を行った。それぞれの片脚立位時の総軌跡長,矩形面積,正答率を測定した。STである片脚立位のみは対照群,MR課題中の片脚立位はそれぞれ,手刺激群,足刺激群とした。
統計処理は,姿勢動揺の比較としてTukey法を用いて多重比較を行った。また,姿勢動揺とMR課題の相関関係については,ピアソンの相関係数の検定を用いた。有意水準は危険率1%未満とした。
【結果】
対照群,手刺激群,足刺激群の総軌跡長および矩形面積を比較した結果,総軌跡長,矩形面積ともに対照群と比べ手刺激群,足刺激群は有意に低かった。また,MR課題の正答率と総軌跡長の間で,負の相関関係がみられた。
【結論】
本研究では,片脚立位のみよりも,MR課題施行中の片脚立位の方が,姿勢動揺が安定している結果となった。今回,MR課題へ注意が向き,片脚立位に対し最適な注意を向けられたため,姿勢動揺が安定したと考える。
さらにMR課題の成績が良い人ほど,姿勢動揺が安定していた。本研究では,DTいおいてMR課題中に脳の運動関連領域が賦活されたことによって,成績が高いとその能力が反映し姿勢制御能力も高かったと考える。
本研究から,DT条件下における片脚立位練習の認知課題として,MR課題の活用が期待される。また,MR課題の改善と同時に姿勢制御能力の改善に努めることができると考える。臨床で応用していくために,今後高齢者に対する認知課題として検討していくべきだと考える。
最近の研究では,単一課題(以下,ST)の姿勢調節のみよりも,STと同時に認知課題を行った二重課題(以下,DT)条件下において,STのパフォーマンスが向上することが明らかとなっている。
一方,認知課題のひとつ,メンタルローテーション(以下,MR)課題を行うと,実際の身体部位の脳の運動関連領域が賦活されるため,運動能力とMR課題の成績は関係があると考える。
以上のことから,DT条件下でのMR課題の有用性,また,MR課題の成績と姿勢動揺の関係性を明らかにすることを目的とした。今回は姿勢動揺の指標として総軌跡長と矩形面積を用いた。また,MR課題の成績の指標として,正答率を用いた。
【方法】
本研究の対象は,健常大学生42名(男性22名,女性20名)を被験者として用いた。
①ST
「できるだけ揺れないで,片脚で立ってください」の口頭指示のもと,静止片脚立位を利き足で,1m先の壁にある指標を注視させ30秒間行った。
②DT
ディスプレイに両手(足)の手掌面(足底面)と手背面(足背面)を6方向に回転させた画像をランダムに表示させてから,できるだけ早く正確に「右手(足)」,「左手(足)」を,口頭にて回答させた。STである片脚立位を行いながら,それぞれ30秒間遂行した。
被験者は計3回片脚立位を行った。それぞれの片脚立位時の総軌跡長,矩形面積,正答率を測定した。STである片脚立位のみは対照群,MR課題中の片脚立位はそれぞれ,手刺激群,足刺激群とした。
統計処理は,姿勢動揺の比較としてTukey法を用いて多重比較を行った。また,姿勢動揺とMR課題の相関関係については,ピアソンの相関係数の検定を用いた。有意水準は危険率1%未満とした。
【結果】
対照群,手刺激群,足刺激群の総軌跡長および矩形面積を比較した結果,総軌跡長,矩形面積ともに対照群と比べ手刺激群,足刺激群は有意に低かった。また,MR課題の正答率と総軌跡長の間で,負の相関関係がみられた。
【結論】
本研究では,片脚立位のみよりも,MR課題施行中の片脚立位の方が,姿勢動揺が安定している結果となった。今回,MR課題へ注意が向き,片脚立位に対し最適な注意を向けられたため,姿勢動揺が安定したと考える。
さらにMR課題の成績が良い人ほど,姿勢動揺が安定していた。本研究では,DTいおいてMR課題中に脳の運動関連領域が賦活されたことによって,成績が高いとその能力が反映し姿勢制御能力も高かったと考える。
本研究から,DT条件下における片脚立位練習の認知課題として,MR課題の活用が期待される。また,MR課題の改善と同時に姿勢制御能力の改善に努めることができると考える。臨床で応用していくために,今後高齢者に対する認知課題として検討していくべきだと考える。