[P-KS-51-3] 伸張性筋収縮による筋線維膜透過性亢進並びに筋収縮張力低下とその反復試行効果
Keywords:伸張性筋収縮, Evans blue dye, 反復試行効果
【はじめに,目的】電気刺激誘発性の伸張性筋収縮(ECC)は筋損傷を誘発する要因の一つである。ECCによる筋損傷では,1度目に比べて,2度目に同様のECCを行って生じる筋痛や筋損傷程度が小さくなる反復試行効果(repeated bout effect)が報告されている。これらの筋損傷は筋張力などの機能的低下にも関連する。また2度目のECC実施前にどの程度筋の構造的機能的回復がなされているか検証することは,反復効果を詳細に評価するうえでも重要である。本研究では,2度目のECC前の回復程度を検証し,筋の構造的機能的観点からECCの反復試行効果について検討することを目的とした。
【方法】F344系雄性ラット32匹(14-16週齢)を実験に供した。ECC処置の第1boutの前後(無処置対象群;Cont及びpost-ECC1st群),及び2boutの前後(pre-ECC2nd群及びpost-ECC2nd群)に相当する4群を設け(n=8/群),各bout間隔は2週間であった。両処置において,麻酔下で左前脛骨筋(TA)へ経皮的直接電気刺激(30V,100Hz,2秒間)により足関節の背屈を起こし,この時他動的に足関節を底屈するTAのECC(200deg/s)を合計80サイクル行った。post-ECC群ではECCの2日後にTAを採取し,Evans blue dye(EBD)は採取24時間前に腹腔内投与した。また採取に先立ちTAの等尺性最大筋収縮張力(Fmax)を計測した。TAの凍結横断切片を蛍光顕微鏡で観察し,画像解析ソフトにてEBD+筋線維数を計測した。
【結果】Cont群ではEBD+筋線維が観察されなかった。post-ECC1st群では平均約1700本のEBD+筋線維が確認されたが,その2週間後(pre-ECC2nd群)ではほとんど観察されず,post-ECC2nd群ではpost-ECC1st群より約20倍有意に低値を示した(p<0.01)。FmaxではCont群,pre-ECC2nd群(Cont群の約90%レベルに回復)に対する低下率は,それぞれpost-ECC1st群(63%)よりpost-ECC2nd群(26%)で小さかった。
【結論】1度目のECCから2週間後には,膜透過性が亢進した筋線維は少なく,最大筋収縮機能は90%程度回復することが示された。ECC実施による筋線維膜透過性の亢進及び筋収縮張力の低下は2度目の方が小さく,反復試行効果が認められたが,その効果の現れ方は両パラメータで異なる可能性が示唆された。
【方法】F344系雄性ラット32匹(14-16週齢)を実験に供した。ECC処置の第1boutの前後(無処置対象群;Cont及びpost-ECC1st群),及び2boutの前後(pre-ECC2nd群及びpost-ECC2nd群)に相当する4群を設け(n=8/群),各bout間隔は2週間であった。両処置において,麻酔下で左前脛骨筋(TA)へ経皮的直接電気刺激(30V,100Hz,2秒間)により足関節の背屈を起こし,この時他動的に足関節を底屈するTAのECC(200deg/s)を合計80サイクル行った。post-ECC群ではECCの2日後にTAを採取し,Evans blue dye(EBD)は採取24時間前に腹腔内投与した。また採取に先立ちTAの等尺性最大筋収縮張力(Fmax)を計測した。TAの凍結横断切片を蛍光顕微鏡で観察し,画像解析ソフトにてEBD+筋線維数を計測した。
【結果】Cont群ではEBD+筋線維が観察されなかった。post-ECC1st群では平均約1700本のEBD+筋線維が確認されたが,その2週間後(pre-ECC2nd群)ではほとんど観察されず,post-ECC2nd群ではpost-ECC1st群より約20倍有意に低値を示した(p<0.01)。FmaxではCont群,pre-ECC2nd群(Cont群の約90%レベルに回復)に対する低下率は,それぞれpost-ECC1st群(63%)よりpost-ECC2nd群(26%)で小さかった。
【結論】1度目のECCから2週間後には,膜透過性が亢進した筋線維は少なく,最大筋収縮機能は90%程度回復することが示された。ECC実施による筋線維膜透過性の亢進及び筋収縮張力の低下は2度目の方が小さく,反復試行効果が認められたが,その効果の現れ方は両パラメータで異なる可能性が示唆された。