[P-KS-51-5] カヘキシア誘発マウスにおける中鎖脂肪酸経口摂取が抗腫瘍と骨格筋量におよぼす影響
Keywords:カヘキシア, 骨格筋, 中鎖脂肪酸
【はじめに,目的】
進行期がん患者の80%はカヘキシアを発症し,その30%は死に関連する。またカヘキシアは骨格筋萎縮を誘導し,それらは患者の日常生活動作範囲を減少,生活の質を低下させる。それらの治療には栄養介入と運動療法が基盤となるが,栄養状態は運動療法実施時の基準ともなり得るため,本実験は栄養介入に着目した。近年,中鎖脂肪酸における抗腫瘍効果について数々報告されているが,それらのモデルにおける骨格筋量に着目した報告はない。中鎖脂肪酸は,カルチニン・シャトルを経由せず,ミトコンドリアに取り込まれ,アセチルCoAに変換し,TCAサイクルにおける酸化的リン酸化を起こす。これらは,解糖系を主とする,腫瘍にはエネルギー代謝系の強制変更を起こす可能性があり,抗腫瘍効果が期待される。それらの代謝経路が骨格筋のATP産生の観点では有益に働く可能性がある。よって本研究の目的は,カヘキシア誘発マウスにおける中鎖脂肪酸の経口摂取が抗腫瘍,骨格筋量に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】
実験動物は,Balb/cマウス(雄・6週齢)を使用した。カヘキシアモデルの作成は,腫瘍腹膜播腫モデルを作成した。モデル作成に使用した腫瘍は同系の大腸癌細胞株であるCT26を使用し,1×10^7/0.2 mLの濃度でPBS希釈し,鼠頸部より腹膜へ0.2 mLを注射し作成した。中鎖脂肪酸食は,ラウリン酸(Lauric acid以下LAA)を使用,通常食であるCE2に対し重量比で2%を混合し作成した。群分けは,Control群(Con群),LAA群,腫瘍群,腫瘍+LAA群とした。各群毎に食物のみ変更し,その他は全て同一条件下で飼育した。飼育中,食事摂取量,体重を2,3日毎に測定した。16日間の飼育後,安楽殺を行い,腸間膜内の腫瘍,左右大腿四頭筋を摘出し,重量を測定した。得られた,食事摂取量,体重,腫瘍重量,大腿四頭筋重量に関する数値に対して統計解析を行った。
【結果】
食事摂取量に差は認められなかった。体重は,Con群23.6/LAA群22.5±0.8/腫瘍群24.9±1.5/腫瘍+LAA群22.5±0.9でありLAA摂取で体重減少効果を認めた。腫瘍重量は,腫瘍群2.5±0.6/腫瘍+LAA群1.8±0.7でありLAA摂取で抗腫瘍効果を認めた。大腿四頭筋重量は,Con群0.18/LAA群0.19±0.01/腫瘍群0.109/±0.01/腫瘍+LAA群0.102±0.01であり,腫瘍の有無で重量差は認めたが,LAAによる重量増加は認められなかった。また体重で除した骨格筋の体重比率でも,腫瘍群0.44/腫瘍+LAA群0.46と差は認められなかった。
【結論】
今回の結果は,LAAは体重減少と抗腫瘍効果を引き起こす可能性が示唆され,骨格筋の萎縮は誘導しないことが示唆された。抗腫瘍効果は先行研究と類似した結果であるが,骨格筋の萎縮の非誘導性が示唆されたことから,LAA摂取とその他の骨格筋成長因子を組み合わせることで,抗腫瘍効果に加え,骨格筋萎縮予防に繋がると考える。
進行期がん患者の80%はカヘキシアを発症し,その30%は死に関連する。またカヘキシアは骨格筋萎縮を誘導し,それらは患者の日常生活動作範囲を減少,生活の質を低下させる。それらの治療には栄養介入と運動療法が基盤となるが,栄養状態は運動療法実施時の基準ともなり得るため,本実験は栄養介入に着目した。近年,中鎖脂肪酸における抗腫瘍効果について数々報告されているが,それらのモデルにおける骨格筋量に着目した報告はない。中鎖脂肪酸は,カルチニン・シャトルを経由せず,ミトコンドリアに取り込まれ,アセチルCoAに変換し,TCAサイクルにおける酸化的リン酸化を起こす。これらは,解糖系を主とする,腫瘍にはエネルギー代謝系の強制変更を起こす可能性があり,抗腫瘍効果が期待される。それらの代謝経路が骨格筋のATP産生の観点では有益に働く可能性がある。よって本研究の目的は,カヘキシア誘発マウスにおける中鎖脂肪酸の経口摂取が抗腫瘍,骨格筋量に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】
実験動物は,Balb/cマウス(雄・6週齢)を使用した。カヘキシアモデルの作成は,腫瘍腹膜播腫モデルを作成した。モデル作成に使用した腫瘍は同系の大腸癌細胞株であるCT26を使用し,1×10^7/0.2 mLの濃度でPBS希釈し,鼠頸部より腹膜へ0.2 mLを注射し作成した。中鎖脂肪酸食は,ラウリン酸(Lauric acid以下LAA)を使用,通常食であるCE2に対し重量比で2%を混合し作成した。群分けは,Control群(Con群),LAA群,腫瘍群,腫瘍+LAA群とした。各群毎に食物のみ変更し,その他は全て同一条件下で飼育した。飼育中,食事摂取量,体重を2,3日毎に測定した。16日間の飼育後,安楽殺を行い,腸間膜内の腫瘍,左右大腿四頭筋を摘出し,重量を測定した。得られた,食事摂取量,体重,腫瘍重量,大腿四頭筋重量に関する数値に対して統計解析を行った。
【結果】
食事摂取量に差は認められなかった。体重は,Con群23.6/LAA群22.5±0.8/腫瘍群24.9±1.5/腫瘍+LAA群22.5±0.9でありLAA摂取で体重減少効果を認めた。腫瘍重量は,腫瘍群2.5±0.6/腫瘍+LAA群1.8±0.7でありLAA摂取で抗腫瘍効果を認めた。大腿四頭筋重量は,Con群0.18/LAA群0.19±0.01/腫瘍群0.109/±0.01/腫瘍+LAA群0.102±0.01であり,腫瘍の有無で重量差は認めたが,LAAによる重量増加は認められなかった。また体重で除した骨格筋の体重比率でも,腫瘍群0.44/腫瘍+LAA群0.46と差は認められなかった。
【結論】
今回の結果は,LAAは体重減少と抗腫瘍効果を引き起こす可能性が示唆され,骨格筋の萎縮は誘導しないことが示唆された。抗腫瘍効果は先行研究と類似した結果であるが,骨格筋の萎縮の非誘導性が示唆されたことから,LAA摂取とその他の骨格筋成長因子を組み合わせることで,抗腫瘍効果に加え,骨格筋萎縮予防に繋がると考える。