[P-MT-02-1] 変形性膝関節症患者の歩行活動量の個人差に関連する歩行異常性指標
Keywords:変形性膝関節症, 活動量, 歩行異常性
【はじめに,目的】
変形性関節症の初発部位は膝関節で67%とされ(Buckwalter),変形性膝関節症(膝OA)罹患者が最も多いことがわかる。膝OAの臨床症状は疼痛や関節可動域制限であり,痛みによって歩行活動量が減少する活動制限モデルが報告されている(Dekker)。また,活動量低下に伴う循環器疾患発症リスクの増大が報告され(Hawker),今後より一層,生活健康問題の発生に対する関心が高まっていくことが推察される。膝OAの臨床研究では活動制限と膝関節内反モーメントとの関連性が報告され(Kito),歩行異常性に研究関心が注がれている。また,膝関節内反モーメントは他の関節で代償されることが知られている。つまりは,歩行異常性と活動量との関連性に関する報告が蓄積されれば,専門家の評価によって活動量を維持できる可能性がある。しかしながら,歩行異常性評価は信頼性・妥当性が確立していないため,活動制限との関連については未だ不明瞭である。本研究では構成概念妥当性,検者間・検者内信頼性が検証された歩行異常性評価を用いて,活動量との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は膝OA者27例とした。歩行異常性指標には,I:歩行リズム,II:toe-out,III:toe-in,IV:足部の接地,V:立脚期の足関節運動,VI:膝関節の側方動揺性,VII:立脚期の膝関節運動,VIII:遊脚期の膝関節運動,IX:股関節の伸展範囲,X:体幹の側方動揺性の10項目を使用した。歩行は7.6mの歩行路を通常歩行で1往復し,ビデオカメラで前額面と矢状面を撮影した。それらを異常性なし,ありで採点し,2群に分類した。活動量の計測には3軸加速度計Active Style Pro(OMRON社製)を用いた。加速度計は腰部に装着し,睡眠時,入浴時,激しい接触のある運動時以外を除き,1日中装着し,7日間の歩数の計測を行った。計測した1日あたりの歩数と歩行時の異常性なし,ありの2群において10項目それぞれを対応のないt検定にて関連性を検討した。
【結果】
有意であった変数として,項目Iの異常性なしは3953±1835歩(平均±標準偏差),ありは1614±1424歩であった。項目IVの異常性なしは4094±1826歩,ありは1878±1430歩であった。項目Vの異常性なしは4137±1844歩,ありは1757±1092歩であった。項目VIIの異常性なしは4655±1686歩,ありは2466±1633歩であった。項目VIIIの異常性なしは4490±1685歩,ありは2619±1828歩であった。項目IXの異常性なしは4806±1683歩,ありは2491±1563歩であった。
【結論】
本研究の知見は歩行リズム,足部の接地,足関節の運動,立脚期・遊脚期の膝関節運動,股関節の運動範囲が活動量減少へ繋がる可能性を持った歩行異常性の因子であることを関連付けた。そのため,膝関節以外の歩行異常性も含めた評価の重要性を示した。
変形性関節症の初発部位は膝関節で67%とされ(Buckwalter),変形性膝関節症(膝OA)罹患者が最も多いことがわかる。膝OAの臨床症状は疼痛や関節可動域制限であり,痛みによって歩行活動量が減少する活動制限モデルが報告されている(Dekker)。また,活動量低下に伴う循環器疾患発症リスクの増大が報告され(Hawker),今後より一層,生活健康問題の発生に対する関心が高まっていくことが推察される。膝OAの臨床研究では活動制限と膝関節内反モーメントとの関連性が報告され(Kito),歩行異常性に研究関心が注がれている。また,膝関節内反モーメントは他の関節で代償されることが知られている。つまりは,歩行異常性と活動量との関連性に関する報告が蓄積されれば,専門家の評価によって活動量を維持できる可能性がある。しかしながら,歩行異常性評価は信頼性・妥当性が確立していないため,活動制限との関連については未だ不明瞭である。本研究では構成概念妥当性,検者間・検者内信頼性が検証された歩行異常性評価を用いて,活動量との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は膝OA者27例とした。歩行異常性指標には,I:歩行リズム,II:toe-out,III:toe-in,IV:足部の接地,V:立脚期の足関節運動,VI:膝関節の側方動揺性,VII:立脚期の膝関節運動,VIII:遊脚期の膝関節運動,IX:股関節の伸展範囲,X:体幹の側方動揺性の10項目を使用した。歩行は7.6mの歩行路を通常歩行で1往復し,ビデオカメラで前額面と矢状面を撮影した。それらを異常性なし,ありで採点し,2群に分類した。活動量の計測には3軸加速度計Active Style Pro(OMRON社製)を用いた。加速度計は腰部に装着し,睡眠時,入浴時,激しい接触のある運動時以外を除き,1日中装着し,7日間の歩数の計測を行った。計測した1日あたりの歩数と歩行時の異常性なし,ありの2群において10項目それぞれを対応のないt検定にて関連性を検討した。
【結果】
有意であった変数として,項目Iの異常性なしは3953±1835歩(平均±標準偏差),ありは1614±1424歩であった。項目IVの異常性なしは4094±1826歩,ありは1878±1430歩であった。項目Vの異常性なしは4137±1844歩,ありは1757±1092歩であった。項目VIIの異常性なしは4655±1686歩,ありは2466±1633歩であった。項目VIIIの異常性なしは4490±1685歩,ありは2619±1828歩であった。項目IXの異常性なしは4806±1683歩,ありは2491±1563歩であった。
【結論】
本研究の知見は歩行リズム,足部の接地,足関節の運動,立脚期・遊脚期の膝関節運動,股関節の運動範囲が活動量減少へ繋がる可能性を持った歩行異常性の因子であることを関連付けた。そのため,膝関節以外の歩行異常性も含めた評価の重要性を示した。