[P-MT-03-5] 回復期リハビリテーション病棟における大腿骨近位部骨折患者のADL向上に影響を及ぼす因子
Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 大腿骨近位部骨折, FIM
【はじめに,目的】回復期リハビリテーション病棟は,入院患者に集中的なリハビリテーションを提供することで寝たきり予防や自宅退院率の向上などを目指すシステムである。近年の高齢社会において,転倒受傷による大腿骨近位部骨折の患者が増加しており,大腿骨近位部骨折患者のActivities of daily living(ADL)向上は重要な課題となっている。また,厚生労働省から,患者の入院日数やFunctional Independence Measure(FIM)の変化から求めた数値を回復期リハビリテーション病棟におけるADL改善の指標とする旨の提言が出された。本研究では,大腿骨近位部骨折の患者について,厚生労働省の提示する数値をADL改善の指標とし,数値に影響を及ぼす因子を検討した。
【方法】平成21年度から平成27年度に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者のうち,データに欠損の無い456名(男性75名,女性381名,平均年齢84.0±8.02歳)を対象とした。当院で運用しているデータベースより,年齢,性別,発症から入院までの日数,入院時経口摂取可否,BMI,入院時血中アルブミン量,入院時FIM各項目点数,入院時病棟内移動手段を調査した。また,各患者の入院中のFIM運動項目利得を当該患者の回復期算定上限日数あたりの入院日数で除したものを便宜上FIM実績指数と定義した。調査項目を独立変数,FIM実績指数を従属変数とした重回帰分析を実施し,FIM実績指数に影響を及ぼす因子を検討した。性別については女性を0,男性を1,入院時移動手段については車椅子を0,補助具の有無に関わらず歩行を1,入院時経口摂取可否は経管を0,経口を1としてダミー変数を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】調査項目のうち,FIM実績指数に有意に影響を及ぼすものは年齢,食事,下衣更衣,排尿管理,浴槽移乗であった。入院時食事と排尿管理以外は,偏回帰係数が負の値であった。
【結論】回復期リハビリテーション病棟において,入院時の年齢が低く,入院時FIMの食事と排尿管理が高く,入院時FIMの下衣更衣と入浴が低いとFIM実績指数が高くなることが示唆された。食事と排尿管理が高いと病棟内の活動量向上から能力向上に繋がり,下衣更衣と入浴が低いとそこが伸びしろとなりFIM実績指数の向上へと結びつくと考えられる。
【方法】平成21年度から平成27年度に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者のうち,データに欠損の無い456名(男性75名,女性381名,平均年齢84.0±8.02歳)を対象とした。当院で運用しているデータベースより,年齢,性別,発症から入院までの日数,入院時経口摂取可否,BMI,入院時血中アルブミン量,入院時FIM各項目点数,入院時病棟内移動手段を調査した。また,各患者の入院中のFIM運動項目利得を当該患者の回復期算定上限日数あたりの入院日数で除したものを便宜上FIM実績指数と定義した。調査項目を独立変数,FIM実績指数を従属変数とした重回帰分析を実施し,FIM実績指数に影響を及ぼす因子を検討した。性別については女性を0,男性を1,入院時移動手段については車椅子を0,補助具の有無に関わらず歩行を1,入院時経口摂取可否は経管を0,経口を1としてダミー変数を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】調査項目のうち,FIM実績指数に有意に影響を及ぼすものは年齢,食事,下衣更衣,排尿管理,浴槽移乗であった。入院時食事と排尿管理以外は,偏回帰係数が負の値であった。
【結論】回復期リハビリテーション病棟において,入院時の年齢が低く,入院時FIMの食事と排尿管理が高く,入院時FIMの下衣更衣と入浴が低いとFIM実績指数が高くなることが示唆された。食事と排尿管理が高いと病棟内の活動量向上から能力向上に繋がり,下衣更衣と入浴が低いとそこが伸びしろとなりFIM実績指数の向上へと結びつくと考えられる。